「茶色のチョコレートを取り除きなさい」という契約、スゴすぎ

あなたが、ある有名バンドを招く立場だったとしましょう。

会社を代表して、バンドと交渉をし、ライブを開催できることになりました。

ロックバンド



そこで、バンド側は契約書を示してきます。

「このルールは守って欲しい」という条項がたくさん並んでいます。

あなたが契約書の条項をチェックしていくと、施設の点検義務などが細かく書かれています。

まあ、当然ですね。


しかし、思わず目を止めてしまう条項がありました。

「おやつはm&m'sのチョコレートを出すこと」

ああ、そんなにチョコ好きなのか。
まあ、有名なバンドだし、どこかで買ってくればいいですね。

その条項には続きがありました。

「m&m'sから茶色いチョコレートは取り除くこと」





・・・

は!?

あのカラフルなチョコレートから、茶色のチョコだけを取り除けと?

一体、何のために・・・?

あなたの創造力が働きます。

きっとm&m'sって、色ごとに味が違って、赤色はイチゴ味、緑はメロン味、茶色はチョコ味で、このバンドはチョコ味が嫌い・・・っていうか、全部、チョコじゃねーか!

と一人ボケツッコミをしながら、契約書を床にたたきつけることでしょう。

このバンド、めんどくさっ!


いやいや、きっとギャグだな。冗談に違いない。

そう思って、このバンドを過去に招致した知り合いに問い合わせをしてみます。

「ああ、あのチョコね、うちは茶色を取り除かないで出したらさ、更衣室をボコボコに壊されたよ。マジメにやった方がいいよ」


茶色のチョコを取り除かないと、更衣室を破壊されても文句を言えない?
本当?顧問弁護士に聞いてみよう。

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弁護士石井琢磨です。

この契約の話は、『0ベース思考』という本の7章に紹介されていた話です。

0ベース思考



ヴァン・ヘイレンというロックバンドが、1980年代にツアーに関して結んでいた契約書。

このバンドは、ツアー中に羽目を外すことで有名でした。
破天荒な彼らは、バンドのツアーに関する契約書に、技術や安全面の細かい指示だけではなく、食べものや飲みものに関しても細かく指示していたそう。
付帯条項が53ページもあったと言います。

アメリカだから契約書が細かいのかと思いきや、他のバンドの付帯条項はペラペラでした。

実際に茶色のチョコレートを取り除かないと、彼らは更衣室を荒らして帰ったようです。
「なんちゅうワガママな!」と批判されることもあったそうです。

なぜ、このバンドは、チョコレートの色まで契約書に盛り込んだのでしょうか。


バンドのメンバーが後日、語ってくれました。

ロックバンドイメージ

※注:写真はイメージです。ロックバンドの・・・


超訳すると、こんな感じ。

「あれはテストさ」

「テストって、どういう意味ですか?」

「ほら、俺らのライブは、激しいだろ?だから、ステージの強度、耐えられる電圧とか安全面を守ってもらわないと困るわけ」

「そうですよね」

「だから、契約書もちゃんと読んでもらわないと困るだろう?」

「そりゃー、そうですよね」

「現場に行ってからさ、俺らが照明とか舞台とか細かくチェックするの大変だろ?」

「ライブ前はお忙しいでしょうしね」

「だから、おやつのチョコを見るんだよ」




「え?どういうことですか?」

「おやつのチョコを見て、茶色のチョコが入ってたら、こいつら契約書を読んでねえな!ってなる。俺らが一つ一つチェックしなきゃいけなくなる。
茶色がなかったら、契約書をちゃんと読んでるなって分かるわけ」


そう、このチョコ条項は、契約書を読んでいるかどうかのテストだったのです。
契約書も読まず、安全面に配慮していない業者をあぶり出すためのテスト。

だから、テストに落ちた(茶色のチョコを取り除かなかった)場合、きちんと更衣室を荒らし、「あいつらの契約書を読まないとヤバイ」と思わせておく必要があったのです。

『0ベース思考』の7章では、このように、ずるをする人、ウソをつく人などをあぶり出すための事例が紹介されています。


たとえば、毎年、大量の社員を採用する会社には、やる気のない新入社員も含まれてしまいます。
これを避けるために、就職面接の手続をあえて複雑にし、乗り越えてきた人だけを採用対象にする。
これにより、やる気のない人は自動的に去っていきます。ラクだ。


さらに、ナイジェリア詐欺の話も。
詐欺の本などでは有名なのですが、
「ナイジェリアに隠し財産があります。あなたにあげます。口座を教えてください」というメールが今もなくならない。

この手の話は世界中に広まっていて、「ナイジェリア」と聞くだけで、「ああ、あれか」とピンと来る人が多数。

それなのに、なぜか詐欺師は「ナイジェリア」という言葉を使い続けているのです。

ナイジェリアっぽい



そう、これもテストなのです。

詐欺師はこのようなメールを大量に送りつけ、騙せそうな見込み客をあぶり出します。その際に、中途半端な人はいらないのです。騙せる確率が高い人だけをあぶり出したい。

「Amazonのギフト券1000円分プレゼント」という詐欺メールだったら
「怪しいけど・・・ひょっとしてもらえるかも・・・?」
中途半端に疑う人がいっぱい連絡してきます。

やりとりをした後に
「やっぱり怪しい話だ」と言われるのは、時間のムダです。コストです。
これをカットしたい。
中途半端に疑う人はいらない。

「え?ナイジェリアに宝が?初めて聞いたぜ、すげー」

と反応してくれる人だけ欲しいのです。

このような人を選び出すために、あえて使い古された「ナイジェリア」という言葉を使い続けるそうです。



3つの事例とも、褒められるかどうかは別にして、設定者がラクをするためのテストです。


なんなの、このルール?
と感じたときには、そのルールで誰かがラクをしていないか?
そう考えてみると、思わぬ発見があるかもしれません。


「ルールというのは、誰かがラクをするために作られたものなのだ。」
めんどうな人を サラリとかわし テキトーにつき合う 55の方法

『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』より


さらには、自分がラクをするために、このようなテストを思いつけるかもしれません。

ラクをするためには、やはり頭を使う必要があります。

『0ベース思考』ぜひチェックしてみてください。

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ロックバンドのみなさま、もし同じような契約書を作りたいときには、日本バージョンとして「おやつはコアラのマーチ(ただし、眉毛つきに限る)」という条項を盛り込んだ契約書を作りますので、お任せください!



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2015/03/07(Sat) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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