ネズミ講の上位者利益の返還を命じた最高裁判決
弁護士石井琢磨です。

ねずみ



ネズミ講について、最高裁判決が出されました。
「ネズミ講利益、上位会員らに返還命令…最高裁」(Yahoo!ニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141028-00050076-yom-soci

ネズミ講って言われても、イメージ湧かない人が多いと思います。
ネズミが大量に増えて困っていた時代に名付けられたものでしょう。

法的には、無限連鎖講と言います。

金銭配当を目的としてピラミッド型の勧誘をするものです。

1人が4人を勧誘して加入。加入された4人がそれぞれ4人を勧誘して加入・・・と繰り返していく。
加入した人がお金を払い、それが本部や上の会員に分配され、払ったお金以上のものがもらえるという勧誘がされます。
会員が増えれば増えるほど、上の会員にたくさん分配されるわけですが、勧誘される人は有限ですから、いずれ誰も勧誘する人がいなくなり、破綻するというシステムです。

ネズミ講

(簡単なピラミッド図なんてパワポのテンプレートで1分で作れるだろうと思ったら、こんなのしか作れませんでした、はい)


小中学校のクラス内で、「不幸の手紙を受け取ったら、まだ受け取っていない3人に出せ」と言われて、周りを見たら誰も出す相手がいない、
みたいなイメージです。


この無限に増えていく図が、かつては「ネズミみたいだ!」と言われ、ネズミ講と呼ばれるに至ったわけです。
ネズミってそんなに多かったんですね。
都会では、ドラえもんの中でくらいしか見かけなくなりました。

このピラミッドで、下の方の人は、払ったお金だけの分配を受け取ることはできず、被害を受けるのです。
もう勧誘する人、いないじゃないか、騙された!と。

いずれ破綻する、こんなシステムは人間を狂わせるということで、法律では、
無限連鎖講の防止に関する法律
で、全面的に禁止
このシステムを開設や運営したら3年以下の懲役等、
勧誘した人も罰金という刑事罰まで用意されています。

このように違法行為なので、支払の合意は無効となります。

無効なものを払ったのだから、返せ、と請求するわけですが、ここで、請求された側は、
不法原因給付の反論をして拒絶するのです。

不法原因給付は、一言で言えば「お前も悪いんだから返さない」という主張です。

裏口入学図1



賭博をして払ったお金を返せという主張は認められないのです。
裏口入学金を返せというケースでブログでも取り上げましたので、詳しくはそちらを。
※参考記事「残酷な裏口入学裁判で取り返すたったひとつの方法」
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-509.html

今回のケースでは、高裁までは、この不法原因給付を認め、
ネズミ講は無効だけど、払った方も悪いんだから、返さなくて良い
と判断していました。

これに対して、最高裁は、
「お前も悪いんだから返さない」という主張は、信義則上ダメ
だとして、返すよう命じたものです。


「仮に,被上告人が破産管財人に対して本件配当金の返還を拒むことができるとするならば,被害者である他の会員の損失の下に被上告人が不当な利益を保持し続けることを是認することになって,およそ相当であるとはいい難い。
したがって,上記の事情の下においては,被上告人が,上告人に対し,本件配当金の給付が不法原因給付に当たることを理由としてその返還を拒むことは,信義則上許されないと解するのが相当である。」(最判 平成26年10月28)


被上告人がピラミッドの上の人、上告人・破産管財人が請求している側です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84582

信義則って、「信義に従って誠実に」みたいな曖昧なルールで、あまりこれに頼りたくはないのですが、仕方がありません。
同じような仕組みで、被害者が権利主張するシーンでは使える判例ではないでしょうか。


「すごいビジネスを思いついた!」と言う人がいるので聞いてみたら、「思いきりネズミ講じゃないか!」ということがたまにあります。

知らないうちに犯罪、なんてことにならないよう、気をつけてください。



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2014/10/30(Thu) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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