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ベテラン弁護士にキャバクラ好きが多いワケ
キャバ嬢の社会学



弁護士石井琢磨です。

以前、自分の本にキャバクラっぽい話を書いたら、アルファブロガーさんからツッコミが入りましたが、

※マインドマップ的読書感想文さんに紹介される&疑われる

別に、キャバラクが好きなワケでも、いま行きたいワケでもありません。


キャバクラには、数えるほどしか行ったことありませんが、その多くは、修習時代や新人時代に、ベテラン弁護士に連れて行ってもらったものです。


みなさん、けっこう楽しそうだったので、どうしてだろうと冷静に考えていました。



そんな私ですが、『キャバ嬢の社会学』という本には、興奮しました。

キャバ嬢の社会学 (星海社新書)
キャバ嬢の社会学 (星海社新書)




風俗・キャバクラなどの性産業に嫌悪感を抱いていた女子大生が、修士論文を書くために、キャバクラ嬢になって観察するという話。


著者が、男性スタッフに「労働基準法違反は大丈夫なのか?」と真面目に質問したり(当然の如く無視されている)、キャバクラのマニュアル等に真面目にツッコミを入れているのが面白いです。

たとえば、キャバクラ嬢の募集広告にも。

募集広告には「時給三五○○円以上!」とあったが、私に告げられた額は二六○○円。おかしいな、と思い突っ込んでみると、広告の「三五○○円」は社長まで含めた賃金の平均だそうだ。

広告には「携帯電話貸与」とあったが、実際は「携帯電話を一台も持っていない場合にのみ貸与」するとのこと。今時、携帯を持っていない若い女性はいない。要は、営業には自分の携帯を使えということだ
(78ページ)



まあ、虚偽広告ですね。

そんなキャバクラについて、著者によると、人気のポイントは、
キャバ嬢の素人っぽさにあるということ。

そのため、修士論文のために潜入してみた、という素人の著者でも十分働けるわけです。


ある男性向けマニュアル本は、「女の子に構って欲しいならクラブ、女の子を構いたいならキャバクラヘ行け」と説く。素人が多いキャバクラでは、「女の子を構う」、つまりキャバ嬢に対して具体的なアクション(口説く、積極的に場を盛り上げるなど)を起こすことすら求められているのだ。
(63ページ)



そうだったのか。
キャバクラでは、客側に積極的な行動が求められているのですね。
そりゃあ、私が楽しめなかったわけです。


このようにキャバクラについて著者のツッコミを見ながら学べる点も面白いのですが、これは前座


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本書の後半では、キャバ嬢の葛藤が描かれており、それこそが本書の読みどころです。


キャバクラの売りは、キャバ嬢の素人っぽさにある。
つまり、客は、高級クラブとは違って、キャバクラで働く女性は素人っぽいから、「ひょっとして付き合えたりするかも?」的な幻想を抱き、通うようになるのです。


ということは、キャバ嬢の使命として、

1 素人っぽさを出さないといけない → お金じゃないのよ


ただし、当然ながら、

2 キャバ嬢の仕事をしないといけない → お金を出してね



この2つのバランスを取りながら働かなければならないのです。


1 素人っぽさが強すぎると、問題が生じます。

自宅の場所などプライベートな情報を教えるよう求められたり、「店外で会おう」と求められたり、客側が本気で恋愛モードに入ってしまいます。

これだと指名が取れないなど、キャバ嬢として評価されません。

この問題を回避するためには、客には、「自分がキャバ嬢である」というメッセージを投げ続けなければならないのです。


2 キャバ嬢の仕事 → お金を出してね

かといって、こちらの要素が強すぎると、客は引いてしまいます。

来店約束があったのに、当日になり腹痛で行けないという客に対し、著者が「残念です。来てくれると思ったのに」とメールすると、
客は「僕のお金が目当てなんだね。もう行かないよ!」と、2度と来なくなってしまったそう。

お金目当てだが、それを隠して、金を出させ続ける必要があるのです。


この素人っぽさ vs キャバ嬢として金を出させる

の矛盾に対して、それぞれのキャバ嬢がどうやって折り合いを付けているのか。


たとえば、
素人っぽいキャラを本当の自分とは別に設定して演じる
金を出させた後に、最後だけ無料の水を飲ませて、金目当てじゃないことをアピールする
客と疑似恋愛関係ではなく、友達関係に持ち込む
など、それぞれのキャバ嬢が工夫しているのです。

この折り合いがつかないと、客が来なくなってしまうほか、客にキレられる、襲われかける、などと問題が発生してしまう。

素人っぽさ = 本当の自分
キャバ嬢 = 演じている自分

という矛盾する人格のバランスを取っていくなかで、多くのキャバ嬢が病んでいく。


これは、いろんな仕事に通じるものです。
大抵の仕事では、演技が必要です。
つまり、この問題の解決策は、私たちにも役立つということ。


では、この矛盾する問題をうまく解決するためには、どうすれば良いのでしょうか。


著者が働いたキャバクラの店長は、自分側でも、客に対しても、演技と本当の自分をうまく使い分けると良いと言います。



相手のことも人間として見てあげて、自分のことも人として見てもらわないと

キャバ嬢としてみられたら、お客さんも、キャバ嬢を変な話、すごい軽く見たりする人もいるから。そうではなくて、一人の人間なんやから。「私はこういう考えをしてるんです」っていうのを、相手に理解してもらう。

次はまったく逆になるけど、お客さんをお客さんとして割り切ること。これは例えばマイナスなこと言われた時に、さっきも言ってたけど、「可愛くない」って言われたりとか、そういうマイナスな発言でも、「ま、お客さんの言うことやしな」って。
(173ページ)




これは・・・

「要は、相手の感情について、いいとこ取りをせよ、ということです。」
(プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 194ページより)
プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法




やはりこれが、感情労働で自分を守るために一番大事なことなんですね。



さて、このように矛盾する人格でしなければならない仕事

私たち弁護士にも通じるものがあります。


いろんな事件のいろんな立場を弁護する私たちは、

午前10時の法廷で、浮気する夫を訴えつつ、

10時30分の法廷で、別の浮気した夫を弁護する、

なんてことが日常的にあるわけです。


代金を請求する側、支払を拒絶する側。
奪う側、取られる側。
加害者、被害者。


こんな仕事を長期間続けたベテラン弁護士ほど、その矛盾に対する葛藤が無意識に蓄積されているに違いありません。

だからこそ、あのベテラン弁護士たちは、キャバクラに行き、

「キャバ嬢の抱えている矛盾は、自分たちと同じなんだ」

と親近感を抱き、盛り上がっていたのでしょう。

自分と重ね合わせることで、あれだけ楽しい時間を過ごしているに違いないのです。


この本のおかげで、長年の疑問がようやく解けました。

私もあと10年くらい働いたらキャバクラ通いをしちゃっているかもしれません。


そういえば、小学校の同級生が、飲むたびに「キャバクラに行きたい」と騒いでいたので、行く前に、この本を読ませようと思います。たぶん、より楽しめるんじゃないかな。



キャバ嬢の社会学 (星海社新書)
キャバ嬢の社会学 (星海社新書)北条 かや

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2014/04/25(Fri) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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