弁護士の職業病
弁護士石井琢磨です。

先日、裁判所の支部で法曹三者協議会が開催されたそうです。
私は行っていないので、事務所の伏木弁護士から聞いたところによると、

弁護士会から、裁判所に対して、成年後見人の報酬が安い
という意見が出されたとのこと。

これ、研修などでもよく出る話です。

成年後見人の報酬は裁判所が決めますが、本人財産額等から算出されるようです。
つまり、お金をいっぱい持っている人の後見人は報酬が高く、持っていない人の後見人だと報酬が安い。

やっていることはほとんど変わらないのに。


この安い事件ばかり来ると、弁護士としては不満を抱くわけです。

たいてい、裁判所の回答は、
お金がない事件もあるのは仕方がない
報酬が高い事件も割り振るので、平均でガマンして
みたいなものです。

まあ、今の制度上では、仕方ない気がします。

ただ、報酬の話だけなら、弁護士の範疇なので我慢すれば良いのですが、後見人事件の中には、本人の施設費用だけで家計が破綻しそうな事件もあります。

報酬どころか、本人が破綻しそう。


そういう事件と、お金持ちの事件を見ると、なんかもう、うまいこと配分できないのかね、と思ってしまいます。

お金が多い人が、破綻しそうな人を支える。
後見人の場合には、相続人がいるケースもありますが、誰も相続人がいない相続財産管理事件なども扱っていると、ますます、そう思います。

この家裁の事件の中で、うまい配分方法があるのではないかと。


そんなときに、ちきりんさんの『未来の働き方を考えよう』を読んだら、究極の老後対策として、面白い制度提案がありました。

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる




「65歳くらいの段階で10人程度の人たちが、同じマンションに住みます。」
「そして、たとえばランチだけは毎日もちまわりで誰かの家で一緒に食べるというようなルールを決めます」
「これでみんな孤独にならず、(あまりいい言い方ではありませんが)毎日の生存確認ができます」
「ここからがポイントなのですが、それぞれが自分の財産の相続人として、その仲間を指定するのです。10人のうち誰が死んでも、その人の財産は残りの9人が分割して相続するということです。
残りが9人になると、次に亡くなった人の資産は残りの8人で相続します。これを続けていくと、最も長生きする最後の一人が、他の人の財産を全部もらって、長寿の生活費に充てていくことができます。」

いわば「長生きリスクを、同世代の中で経済的に担保する、私的でこぢんまりした保険制度」です。




各論部分を法的にどうするか考えなければならないでしょうけど、総論としては、うまい配分方法です。

ただ、私が、この制度について読んだとき、最初に感じたのは、

裏切り者

が出ないような制度作りが大事という点でした。

他人の財産だけ奪って、集団から離れるという人が出てくる可能性があります。
これをどう防ぐか、という問題です。

新しい制度提案があった際、法律家って、このようにリスクを全面に意識して考えちゃうんですよね。
職業病です。


しかし、私はまだマシなほうでした。

事務所の弁護士でランチをしているときに、この話をしたら、
他の弁護士から、

「その制度って、周りが早く死ねば死ぬほど、自分の利益が多くなりますね」

と恐ろしい発言がされました。


ああ、サスペンスドラマ化されそうです。


「なんて怖い発言をするんだ!」


「いや、直接の加害行為をしなくても、医療機器を●●するとか、事故を装うとかありそうじゃないですか」


弁護士を数年続けていると、こんな視点で人を見てしまうようになります。


冒頭の成年後見制度についても、当面、新しい制度ができるとは期待できず、協議会のたびに、「報酬が安い」などの意見が出され続けてしまうのでしょう。


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2013/07/15(Mon) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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