弁護士石井琢磨です。
この本、『ローマ法王に米を食べさせた男』、おもしろいですね。
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
公務員が、過疎地で作られている米をブランド化して売る話です。
まず、著者の行動力に惹きつけられます。
この米をローマ法王に食べてもらうことで、知名度を上げて売れるようになったわけですが、最初から成功したわけではありません。
知名度を上げるために、彼がアプローチした人物。
天皇
ローマ法王
アメリカ大統領
ひるんでしまいそうな方々です。
天皇からは断られてしまったのですが、たくさんアプローチしたことで、成果を出しています。
ローマ法王ベネディクト16世はドイツの出身、ふだんからお米を食べているか?いいえ、そんなこと考えるまでもありません。食べてもらうんです、食べてもらうよう説得するんです!善は急げです。すぐに手紙を出しました。
「山の清水だけを使って作った米がありますが、召し上がっていただく可能性は1%もないですか」
(108ページ)
ローマ法王から回答が来る前に、アメリカ大統領にもアプローチしていきます。
神子原地区のコメ、こめ、米……。また思いつきました。
日本ではアメリカを米国と書く。米国とはまさにお米の国だ。米の国の大統領は、神子原米を食べない手はないと。
当時の大統領はジョージ.W・ブッシュでした。けれど「これを食べてくれ」と神子原米をホワイトハウスに送ると、穀類だから税関でひっかかる。そこで大統領の父親、パパ・ブッシュの住所を調べて、大使館経由で送れば大使館特権で検疫を逃れられる。
(109~110ページ)
そんなノリでアプローチしていいのか・・・
これだけの行動をしているからこそ、ローマ法王もOKしてくれたんでしょうね。
この行動力!身につけたいです。
しかし、彼の交渉力がすごいのはここから。
ローマ法王に食べてもらったことで、この米への問い合わせが増えます。
東京の田園調布から電話があった時には絶対売りませんでした。白金の人にも売らない。
成城や目白の人にも売らなかった
(116ページ)
売るために、知名度を上げたのに、売らなかった。
なぜでしょうか?
高級富裕住宅街から電話があった時は、「先日まではございましたが、たった今、売り切れました」と答えるようにしたんです。
「行きつけのデパートにお問い合わせされてはいかがでしょうか。ひょっとするとあるかもしれません」
と。でも、ないですよ。私たち、デパートと取り引きしていないですから。
(117ページ)
彼は、この米を高級デパートに置いてもらいたかったのです。
でも、自分たちから売り込まない。
自分たちから売り込むと、交渉条件が悪くなります。
それよりも、デパートから「売ってくれ」と要求させるのです。
そのためには、デパートの常連客から、デパートに「なぜ、あの米が売っていないのか」と問い合わせを入れさせ続ければ良い。
だからこそ、すぐには売らず、さりげなくデパートへの問い合わせを促す。
富裕層客→デパート→農家
という問い合わせルートを確立させたのです。
すべては農家を救うため。
こちらから頭を下げて売ってもらおうとすると、定価の25%は最初に差し引かれて、輸送費や袋代、そして米を保管するための保冷庫代まで持たされてしまう。
(117ページ)
しかし、デパートから売って欲しいと要求させた結果、
「お値段は1割しか引きません」
「お米を入れる袋、いります?1枚の切断ごとですと125円いただきます。ロールにするんでしたら.…..」
(118ページ)
と強気な交渉ができるのです。
策士です。
正攻法でターゲットを動かせない場合、ターゲットの周囲から攻める方法が有効です。
とくに、ターゲットが重視している相手や、大事にしているものを攻めていきましょう。
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? | |
高野 誠鮮 講談社 2012-04-06 売り上げランキング : 1102 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ご相談は相模川法律事務所ホームページへ
弁護士石井琢磨twitter
ランキング参加中です→人気blogランキングへ
- 関連記事
→http://sagamigawa.blog73.fc2.com/tb.php/672-ef9dbc9d