スタバで違うドリンクを頼めなくなる瞬間
弁護士石井琢磨です。

よく行くスタバでレジに並んだ後、いつも頼む「イングリッシュブレックファーストティーラテ、ショートサイズ」を注文したら、0.5秒で出てきました

イングリッシュブレックファーストティーラテ




店員さんが私が並んでいるのを見て、先回りして準備してくれていたようです。

私が過去に99パーセント以上の確率でこのドリンクを頼んでいるというデータを元に動いたようです。


非常に嬉しいサプライズですが、怖い面もあります。


万一、このようなサービスが常態化し、いつも0.5秒でドリンクが出てくるようになると、
このドリンクを頼むことが黙示の合意(言わなくても成立する)となってしまうかもしれません。

注文直後にドリンクが出てくるとすると、違うドリンクを頼みたい場合、私は、レジで並んでいる段階から、店員とアイコンタクトを取り「今日は、コーヒーを頼むぜ」と伝えるとか、ボディランゲージで伝えるとか、注文書という紙を持っていくかなど、別の意思表示をしないといけなくなりそうです。

継続的な取引関係
が続いた場合、契約の当事者は、「それが続く」と期待してしまいます。

店員さんは、「あの白い男は、『イングリッシュブレックファーストティーラテ、ショートサイズ』を注文する」と期待して、動きます。

私が、この動きを認識しつつ、無視して「スタバではグランデを頼めっていう本を読んだので、コーヒーをグランデサイズで」とか注文しちゃうと、せっかく作ってくれた「イングリッシュブレックファーストティーラテ、ショートサイズ」が無駄になってしまいます。

損害です。


継続的な関係にある場合、当事者間の損害はなるべく少なくするよう動くことが求められます。


そのため、万一、0.5秒で「イングリッシュブレックファーストティーラテ、ショートサイズ」が出てくるようなことが日常的になった場合、店員さんの期待を保護する、その一方で石井の動きに制約が生じる(早い段階で意思表示をすることで損害を回避しなければならない)可能性があるのです。

嬉しいサプライズを受けても、こんな法的な、悲劇的未来を想像してしまう自分の職業病が憎いです。


このように、法律の世界では、当事者間にいったん生じた期待を保護する、という価値観があります。

事業者間で継続的な契約をした場合、急にこれを打ち切る、ということが認められないこともあります。打ち切られる側に、問題行為があれば別ですが、それ以外の場合には、急な打ち切りが認められにくい。
契約期間があればもちろん、なくても、相手の損害を減らすために、猶予期間を与えなさい、とする裁判例が多いです。


たとえば、東京高等裁判所昭和59年12月24日判決

「期間の定めのない継続的売買約においては、当者間にその旨の合意がなくとも、原則として、当事者の一方は、いつでも右契約を将来に向かって解除(解約申し入れ)しうるものと解するのが相当であるが、前記のような本件契約の内容、契約締結後の状況等に徴すれば、右解約申し入れをするためには相当の予告期間を設けるか、これを設けなかった場合には、右解約申し入れがあってから相当の期間を経過したのちはじめて本件契約が終了するものと解すべきであり、また、相手方に著しい不信行為等、契約の継続を期待しがたい特段の事由の存する場合には、直ちに解約申し入れができるものというべきである。」

「契約なんだからいつ切っても良いだろう」という残酷な考え方は、
せっかく作ってくれた「イングリッシュブレックファーストティーラテ、ショートサイズ」を無駄にするものだと肝に銘じてください。

ちなみに、この長いドリンク名は何とかしてほしいです。
スタバドリンクのカロリーを一覧にしたブログを見たら、全ドリンクの中で一番長い名前じゃないですか。


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2013/02/21(Thu) | 厚木の話 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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