20歳と19歳で刑事手続は大きく変わる
「あと3日で20歳の誕生日」という日に刑事事件を起こしたら?


弁護士石井琢磨です。

関東地方で成人の日が雪なのは15年ぶりだと報道されています。
ん?
私の成人式の日も雪だったような。雪なので行くの止めようか悩んでいたような。
よく考えたら、15年前のホワイト成人式は、私の年だったようです。


成人の日ということで、20歳の法律話を。
法律上、20歳以上か、20歳未満かで結果は大きく変わります。

民事では、一人で契約をすることができる能力が備わります。

みなさんの中の法律知識が急に身につくわけではないのにね。
20歳になると、一人で契約できるとみなされちゃうのです。

このような契約という民事分野以外に、刑事の分野でも、20歳は一人前とされます。

一人前なのだから、悪いことをしたら、それなりの責任を取らないといけません。

刑事手続では、20歳未満は、「少年」です。
19歳は「少年」
20歳は「成年」

これは大きな違いです。
少年だから悪いことしても許されるということはありませんが、少年は、「守ってあげなきゃね」というスタンスで刑事手続に乗せられます。
20歳以上の成年は、「処罰します」というスタンスです。

スタンスが大きく違うのです。

そのため、事件を起こしてしまったとき、受ける手続も変わってきます。

少年事件では、共犯事件といって複数人で犯行に及ぶケースも多いですね。
同級生のグループで事件を起こしてしまったとき、20歳と19歳では、大きく手続が変わるのです

ときに、不公平だと感じることもあるでしょう。

事件を起こした側にとって、20歳か19歳かで大きく違う点を確認しておきましょう。



1 起訴猶予がない

20歳未満の少年事件では、逮捕後に親から相談を受けるケースが多いです。

成年の事件の場合、事実に争いがない(悪いことをしたことは認める)場合、早く示談して、刑事裁判に持ち込ませず、起訴猶予としてもらって、釈放してもらうための活動をメインにおこなうことが多いです。
10日間の勾留後には起訴猶予で釈放してもらうために全力で動くのです。
起訴猶予にするかどうかを決めるのは検察官。

これに対して、少年事件の場合には、検察官は、すべての事件を家庭裁判所に送らないといけないことになっています。
つまり、自分の判断で起訴猶予にするかどうか決められない

逮捕・勾留されている事件では、少年は家庭裁判所に送られた後、高い確率で鑑別所に行きます。
8~9割程度と言われます。鑑別所に行くと、裁判所の結論が出るまで4週間程度は拘束されます。

そのため、起訴猶予になるような事件で、19歳と20歳が逮捕された場合、
20歳は10日程度で釈放されたのに、
19歳が釈放されるのは4週間後、
となることもあります。

一見すると、19歳の少年の方が不利なようにも見えます。

これは、19歳は守ってあげなきゃいけないので、その前提として色々と調べる必要があるからなのです。




2 保釈がない

成年の刑事事件では、保釈という制度があります。
検察官が起訴猶予ではなく、裁判にかける起訴をした場合、保釈金を担保にして、身柄を解放してもらう制度。

保釈は、起訴されて刑事裁判にかけられることが条件です。

ところが、少年の場合には、刑事裁判よりもまず先に家庭裁判所が処分を決めます。
審判と言います。

審判までの間は、少年は「守ってあげなきゃ」という対象で、色々と調べる手続をおこなっています。
成年の場合の、起訴されて裁判を待っている段階とは違うのです。

そのため、お金を積んで解放してもらうという制度はありません。


そのため、保釈が認められるような事件で、19歳と20歳が逮捕された場合、
20歳は10日程度で起訴された後に保釈されたのに、
19歳が釈放されるのは審判が終わる4週間後、
となることもあります。

もっとも、この場合、20歳は刑事裁判を受けることになりますので、前科がつきます。


なお、少年事件であっても、非常に重い犯罪では、家庭裁判所に送られた後、さらに刑事裁判となるケースもあります。逆送と呼ばれます。


3 処分結果が軽い

一般的には、成年の事件よりも、少年事件の方が処分結果が軽いと言われます。
成年の前科とも異なる扱いがされます。

少年事件の場合の審判は、少年の更生を重視するので、罪の重さだけではなく、家庭や生活の環境面も結果に大きく影響します。審判の結果、釈放される保護観察、試験観察処分のほか、身柄を拘束されたままの少年院であっても、成年の事件よりは拘束期間が短いことが多いです。少年院は、そもそも刑務所とは異なり、更生させることを目的としています。


また、非常に重い事件で、少年が刑事裁判を受けるケースでも、成年よりは刑は軽くなることが多いです。

犯行時18歳未満であれば死刑ではなく無期懲役(少年法51条)、無期懲役を選ぶできときでも有期懲役にすることができるとされています。
刑務所からの仮釈放が必要な期間も短縮されています(少年法58条)。

これにより、実刑になるような事件で、19歳と20歳が逮捕された場合、19歳の方が早く社会復帰できるというケースは多く認められます。



以上の3点以外にも、色々と少年と成年の刑事手続では違う面があります。
20歳を基準に、大きく変わる区切りとなるのです。

この基準は、審判時で判断します。

つまり、逮捕・勾留などで取り調べを受けて、鑑別所を経て、家庭裁判所で審判されるときに、20歳未満かどうかが重要です。

「あと3日で20歳」という時に事件を起こして逮捕されたようなケースでは、審判まで時間がかかるので、少年と扱われる可能性はものすごく低いでしょう。

「あと1カ月ちょっとで20歳」というような微妙なラインのときは、家庭裁判所でこれを考慮してくれ、審判の時期を多少早めてくれるということもないわけではありません。


少年の間に事件を起こすのもダメですが、20歳の誕生日が近づいてきたら、なおさら気をつける必要があることを頭に入れておいてくださいね。




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2013/01/14(Mon) | 刑事事件 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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