誰もが「死」に向かって走っているときに何を考えればよいのだろう
「やればできる」は幻
ほとんどの人生は負けで終わる
誰もが「死」に向かって走っている



弁護士石井琢磨です。

おもいっきりネガティブな始まりですね。
今年は統計上の自殺者は減っているものの、周囲で亡くなられた人が多く、悔しい年でした。

冒頭のネガティブワードは、為末大さんの『走りながら考える』の目次からピックアップしたもの。

走りながら考える
走りながら考える



「陸上部出身者としては読んでおかなければ」と手に取った一冊です。

陸上400mハードルで3大会連続オリンピックに出場。
銅メダルを2つ取った選手です。
2012年夏に引退したとのこと。

そんな為末さんが書いた自己啓発書なのですが、冒頭の紹介のように、なんともネガティブな項目が目立ちます。

「やればできる」は幻
ほとんどの人生は負けで終わる
誰もが「死」に向かって走っている


しかし、これが現実。彼は自分でも認めているようにリアリストです。
当初は100mを走っていたところ、勝てる分野として400mハードルに転向した。
こんなところからも、現実を受け止めて闘う姿勢が見えますね。

実際に厳しいレースをくぐり抜けてきたからこそ、現実的な話を伝えたかったのでしょう。

もちろんネガティブな内容だけではなく、私たちに新しい視点を与えてくれる内容です。
少しだけ紹介してみます。

1 勝利そのものは自信にならない

なんですと?
勝ったという成功体験こそが自信を生むのではないのか?

彼は、「本番で勝負強い選手は、自己肯定感が強い」と説明しています。
「自分は大丈夫」という自信です。
勝負どころでは、この自己肯定感が大事です。

このような気持ちって、過去の成功体験から来るものと思っていました。
「あそこで成功したのだから、今回も大丈夫」と自分に言い聞かせるものかと。

しかし、彼は違うと言います。


むしろ勝負どころで頼れるのは、あのとき転んだけどまた立ち上がったじゃないかという気持ち。「あのとき俺は勝ったじゃないか」というよりも、「あのとき自分は逃げなかったじゃないか」というほうが、明らかに自信につながる。自分の「立ち上がり際」が自信になる。




ハードルという競技では、転倒することがあります。

ハードルで転倒し、勝てる可能性がなくなったレースでも全力で走る。
逃げない。結果よりは、プロセスにおける自分の気持ち。

その気持ちこそが、将来の自信につながるというのです。

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ・・・」ってやつですよ。


2 衰えた今を前提に目標を決める


陸上のトラック競技は、他のスポーツと比較すると、肉体の衰えを技術で補える余地が少ないです。
50歳で100mの世界記録を出す、というのは今のところ難しそうでしょ?
筋力が落ちると、記録も落ちる。しかも、結果は、タイムという数字で明確に比較されます。


多くの選手は、タイムが落ちていく体験をする。
為末さんも同じで、この本では、そのような衰え、下降をどう捉えるかについて詳しく説明しています。

大事なのは、現状における目標設定。
過去の結果から離れた、現状を見て、そのうえで目標を決める。
これって難しいですよね。

ベストタイムが9秒台の選手は10秒1を目標にすることが難しく、メダリストは決勝進出を目標にすることが難しい。自尊心や自負心などが邪魔をして、自分を小さく扱うかのように思えてしまうのに加え、「目標を下げること=弱気」と解釈され、下方修正は許きれない文化も影響している。




銅メダルを取ったらインタビューされます。

「次は何を狙いますか?」

「金です」

言っちゃいますよね、やっぱり。そう期待されちゃいますし。


自分が衰えているときには、過去の結果、それに伴う評価はいったん忘れて、今の自分にできることを、恥じずに考えましょう。

今の自分の評価、他人からの評価に重きを置く人間は、こだわりが捨てきれずに伸びが止まる。「今はこんなものでしかない自分」をちゃんと認めて、それでも前を向き続ける人が成長できる人なのだと思う。




3 ピークの波を感じる

陸上競技は、そのときの調子によってタイムが変わります。調子の波があるのです。
いかにレース時に調子をよくするのか、ピークの設定も技術の一つなのです。

調子が悪いときにはケガもしやすい。
無理してはいけないのです。

為末さんは、自分のコンディションを筋肉の硬さで測っていたそうです。
筋肉が疲れているときには、レース直前でも練習を控えるそう。

レース直前の11日間で練習を1回しかしなかったということもあったそうです。

これはかなり勇気がいります。
大事なレースの前に練習しない?
怖いじゃないですか。
なんとなく練習しておいた方が良いと思っちゃいますよね。普通は。

しかし、その恐怖を振り切っても、自分のコンディションを優先する。

この発想は、スポーツの世界だけではなく、社会で働く場合にも大事なのではないでしょうか。


世の中には「もう限界だよ」と身体が訴えかけているのに、「忙しくて休めない」とか「ま
だまだ大丈夫」と勝手な思い込みと理屈でピーキングなどまるで無視してしまっている人が驚くほど多い




この3つの視点だけでも、今なにをするのがベストか、考えることができるでしょ?

ハードルで転んだのはしかたがない。

「今」を受け止めようではありませんか。

自殺している場合じゃありません。


走りながら考える
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2012/12/27(Thu) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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