ペニーオークションの問題点
いくら頑張っても買えないオークション・・・



弁護士石井琢磨です。

先日、ペニーオークションで逮捕者が出ました。全国初の摘発とのことです。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20121207_577809.html

ペニーオークションは、落札しなくても入札自体に手数料がかかるもので、平成23年1月に国民生活センターが注意を呼びかけています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110124_1.html

消費者問題についての業界誌『消費者法ニュース』でも、平成23年7月に記事が掲載され問題にされています。

何が問題なのか、3点とりあげてみます。


1 「偽りの安さ」に釣られてしまう


ペニーオークションは「市販価格よりも安く落札できる」と広告されることが多いです。
ときには芸能人が宣伝したりもしていました。

しかし、このペニーオークションは、落札した代金以外に、入札回数に応じて手数料がかかるのです。

ペニーオークション



普通に買うと1万円の商品。
4000円で落札できた。
が、7000円の手数料がかかる。
ということが起きます。

ところが広告では、「1万円のものが4000円!」
というように手数料が無視されて記載されたりします。

平成23年3月の時点で、このような広告は、景品表示法違反だとして、
消費者庁から措置命令も出されたりしました。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110401_436649.html


このオークションシステムでは、買う側からすれば、安くなるのはほぼ当然です。
入札する側からすれば、支払う額は、「落札金額+入札手数料」と考えます。
自分が払える落札金額自体は、市場価格から入札手数料を引いた金額で考えるでしょう。

冷静ならば。

この入札手数料がかかる、ということを認識していないというケースが一番目の問題です。


2 サクラによる価格釣り上げがされる。



誰でも参加できるというオークションというシステム上、サクラが参加して価格を釣り上げることが起きます。

サクラは、業者に対して、同じ立場のように装うことで、正常な判断を妨げる人です。

本当は誰も競合がいないのに、サクラがいることで、高い買い物をしてしまう。

ペニーオークション




不動産屋が「この物件は人気なので、今決めてもらえないと、間に合わないかもしれません。」とよく言います。
一歩進めて、誰も希望者がいないのに架空の電話を使ったりして、競合相手がいるかのように装ったりすることがあります。

このようなサクラによる価格釣り上げ自体は、通常取引でも、一般のオークションでもあり得る話です。

ペニーオークションでの独自の問題は、購入という最終行為の前の段階、入札というプロセスの段階で費用が発生する点です。

ペニーオークション



上記のとおり、ペニーオークションでは入札自体に費用が発生します。買えなくても途中の費用は払わないといけません。


競合が現れたとき、ふつうは考えるはずです。

「ここまで2000円を使ったのだから、もう戻れない

これは、サンクコストと呼ばれます。

それまでに費用をかけてしまっていると、「もったいない」という考えが優先して、正常な判断ができなくなるのです。

サンクコストには、お金以外に時間をコストと考えることもあります。

「こんなに司法試験の勉強を続けたのだから、今さらやめられない」


ペニーオークションでも、入札にかけた時間、さらに入札手数料というお金がかかっている点が問題なのです。

サンクコスト×サクラ


この構造で価格が釣り上げられてしまうのです。



3 買えないオークション


サクラ問題は、出会い系サイトの初期から叫ばれていました。
女性だと思っていてやりとりしていた相手が、実は男性。
相手はサクラなので、会う約束をしても直前でキャンセルされるなど、出会えない。
メール1回いくらなどの手数料だけ取られる。

これでは『出会えないサイト』ではないか」と言われたものです。

出会えないサイト




ペニーオークションで最も悪質なのは、これと同じ構造で、買えないシステムになっているケースです。

オークションというシステム上、一番高い金額で入札した人が買えるわけですが、
ふつうの人は「これが限界・・・」というラインを持っているでしょう。
多くの場合、市場価格と比べて、高すぎる場合には、身を引くと思います。

問題は、ペニーオークションでは、運営会社が出品者という点です。

入札というプロセスでお金がかかる=運営会社の利益が出る
という構造なので、運営会社は、物が売れなくても問題ありません。

ペニーオークション



物がずっと売れず、適当に入札し続けてもらえれば利益が出続ける構造です。

出品物は存在しないかもしれない。

ここにサクラが入ると、さらに怖い。

普通の人なら絶対に手を引く金額なのに、入札し続けるサクラがいれば、普通の人は買えません。

サクラだけが落札し続けることになります。

サクラは実際には入札手数料を払わない・物を買わないので、競っていた人だけが入札手数料を払って終わり。
これが延々と繰り返される可能性があります。


ペニーオークション



サクラが買うので、物はなくても出品できてしまいます。

適当な人気商品をネット上に乗せて、サクラに落札させることで業者は延々と利益を出し続けられるのです。

さらに、「出会えないサイト」では、サクラは相手にメールを返すなどの個別対応が一応は必要。
実際に人件費がかかることがほとんどでした。
しかし、ペニーオークションのサクラは、ただ入札を繰り返すだけで良いのです。
人は不要。プログラムでOK。
一度作ってしまえば、コストはかかりません。

このようにして「買えないオークション」システムはできあがるのです。

もちろん買えないのに、手数料を取るわけですから、このケースは明らかに詐欺です。




以上のような3点が、1年以上前から問題視されていたのですが、今回、初めての摘発となります。

なぜ、こんなに時間がかかってしまうのでしょうか。

証拠が少ないのです。
サクラかどうかというのは外部からはわかりにくい。
入札過程がすぐに消去されてしまうケースも多いようです。
このような場合、公的機関への相談件数などの周辺から攻めることが考えられますが、サイトも一定期間で閉鎖する、とされてしまうと件数が積み上がる前に逃げられてしまいます。

今回逮捕されたケースは、どうやって証拠を確保したのだろうか?


と報道を見てみると、


「会社役員の男は、スマートフォンのアプリを装い、電話帳データを抜き取るウイルスを保管したとして、不正指令電磁的記録(ウイルス)保管容疑で京都府警が10月に逮捕していた。」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20121207_577809.html



別件の捜査過程で、たまたま発見されたようです。

根本的な解決方法はまだ確立されていません。


ペニーオークションには、こんな構造的問題がありますので、利用する人はリスクに気をつけてください。
リスクを取って参加するにしても入札記録などの証拠化はしておいたほうが無難です。



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2012/12/13(Thu) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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