犯罪から逃れるための3章
弁護士石井琢磨です。


犯罪者にも、やる気になる距離があるそうです。


犯罪者も人間です。
ターゲットが1キロ先にいると、「あー、ちょっと遠いよね」と萎えてしまうのに対し、
5メートル先なら瞬時に体が動く。

刑事弁護をしている立場からすると、ひったくりのような罪では、もちろん人によってバラツキはあるものの、犯行前の行動がみんな似通っていることがあります。

やる気になる平均的な数字を知っておくのは無駄ではないでしょう。

今回の話は、『犯罪者はどこに目をつけているか』という本からの情報です。


犯罪者はどこに目をつけているか (新潮新書)
犯罪者はどこに目をつけているか (新潮新書)




犯罪者へのインタビューのほか、前科をもつ人にカメラを装着して視線を調べるなどという実験もおこなったうえでの本です。

本から、被害に遭わないためのポイントを3つ紹介しておきましょう。



1 家はキレイにする


塀の落書き、周りに散乱したゴミ、放置状態の自転車など三大汚れ(前述)の他、落ち葉、敷地外にはみだした庭木などを見る。彼らの目には、これらすべてがゴミに等しく映る。その家と近隣との関係、場合によっては住人の人柄まで見ている。ゴミは「やりやすさ」の判定指標なのである。



片づいていない、だらしない家には隙がある。犯罪者はそう考えます。
私が関わった連続侵入犯は、「窓が開いている家に入る」と言っていました。
そんな単純な話です。

家だけではなく、街全体でも、犯罪者は汚れを見ているそうです。

ゴミが片づいていない街は犯罪がやりやすい。

アメリカで、町中のラクガキを減らしたら、犯罪件数が減ったという話がありました。

街全体で隙を少なくすることが大事ですね。

最近よくある『私たちの町の何とか条例』、つまり安全・安心条例とか協議会とか、市役所が音頭をとって町ごと取り組んでいます、という看板でもあると厳しい。




という話もあります。


2 20メートルダッシュする



路上犯罪の被害に遭いそうになったとき、どれだけ逃げれば、犯人がやる気をなくすのでしょうか?

本書では20メートルだと主張しています。


被害に遭遇した(あるいはしかけた)場合は、ともかく20メートルを全力で走り抜ける気持ちと馬力を持たねばならない。



20メートルという距離は、犯罪者が「やる気」になり始める距離でもあるそうです。

「やるぞ」と決意した犯罪者が、
8メートル逃げられると「無理かな」、
16メートルで「駄目かな」、
20メートル逃げられると「駄目だ」となるそう。


この距離が正しいかどうかはともかく、路上犯罪のような無差別犯罪では、速く逃げていくターゲットを追う必要性は乏しい。

砂漠の中で3日間待って現れたターゲットならともかく、都会なら、全力で逃げられて「まあ、他の人でいいか」と諦めるでしょう。

とりあえず覚えておきましょう。

いざというときは、20メートル全力ダッシュ。


ちなみに、私は、中学・高校と陸上部で100メートルを走っていました。
陸上短距離なんて、球技のようにスキルも残らず、長距離のように体力や忍耐力も残らず、トレーニングを止めて筋肉が落ちたら、何も残らない、と悲観的になっていたのですが、この本を読んで救われました。
私にわずかに残された陸上短距離のスキルをお伝えしましょう。

スタートダッシュのコツ。


私は、中学時代、スタートダッシュを苦手とし、ピストルの音が鳴りそうになった走り始める、

つまり野性の勘スタートという戦術をとっていました。

今ほどフライングに厳しい時代ではなかったので、こんな方法でも地区で上位に入ったりしていました。

しかし、厚木高校に入り、真面目にスタートしようと決意。
スタートが速い先輩やオリンピック選手のフォームを何度も見続け、たどり着いた結果。

スタートダッシュは肘である。
ヒジです。

ピストルが鳴った瞬間、第一に意識して動かすべきは、ヒジ。
ヒジを瞬時に引き上げることで足がついてきます。

人間というものは、腕と足が連携しているのです。

陸上の練習でも、「腕を振れ」と指導されるシーンをよく見かけました。

足よりも腕を意識して動かした方が速い。

私は、このヒジスタートを身につけた結果、リレーのスタートを任されたり、タイムが大幅に縮んだりしました。


話を戻しましょう。

路上で犯罪に遭いそうになったら、

ヒジで20メートルダッシュせよ

ということです。


3 噛む


しかし、世の中、そう甘くない。
犯罪者は、被害者に気づかれないうちに接触して押さえ込むことがあります。
性犯罪などで多い犯行態様です。

後ろから近づき、被害者の口を塞ぐ。

ダッシュしようにもスタートできません。

そんなとき、本書は、最後の手段を授けてくれます。


心を決めて思い切り噛みつくことだ

噛みついたら、相手が悲鳴をあげるまで離さない

襲撃者は「ぶっ殺すぞ」と脅したり、頭を無茶苦茶に殴ったりするかもしれない。しかし、こうした言葉を吐かれても実際に殺された例はこれまでにない




人間が噛む力は、予想以上に強いそうです。
この方法で、実際に幼稚園児が助かった例もあるとのこと。

法律家の頭だと、ついつい正当防衛の範囲か?とか、誤想防衛だったら・・・とか法律の要件を考えてしまいますが、
本当に被害に遭いそうなときのために覚えておいて損はない手段でしょう。


以上、本の中から3つのポイントを紹介しました。
犯罪予防というテーマでは、ついつい「わたし、関係ないし」などと考えてしまいますが、20メートルの距離に近づかれてから本をめくっても遅い。

大切な人にはぜひ教えてあげましょう。



犯罪者はどこに目をつけているか (新潮新書)
犯罪者はどこに目をつけているか (新潮新書)清永 賢二 清永 奈穂

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2012/11/16(Fri) | 刑事事件 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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