中小事業者と消費者保護
中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって



弁護士石井琢磨です。

ここ数年、悪質商法の被害が個人だけではなく、法人などの事業者にもシフトしてきています。

悪質業者と個人間の取引の場合、特定商取引法や割賦販売法、消費者契約法など消費者側の権利を守る法律が問題なく使えます。

これに対して、悪質業者と法人間の取引の場合、これらの法律が使いにくい。

消費者契約法は「事業として又は事業のため」の契約では使えません。

割賦販売法も「営業のために若しくは営業として」する取引を保護対象から外しています。


このように、法人や個人事業者の保護は弱い。

悪質業者vs個人 というケースでは、「個人は知識ないから守ってあげなきゃね」という価値観なのに対し、
悪質業者vs法人 というケースの場合、「法人って知識あるよね」という価値観を前提にしているのです。


でも現実は、そう割り切れるものではなく、法人や個人事業主でも取引上の法律知識がほとんどないことも多い。


この点を突いた法人・個人事業主を対象とする悪質商法が問題にされているのです。

私個人としては、
ドロップシッピング
悪質リース
フランチャイズ
あたりの問題が多いと感じていましたが、これに加えて、不動産のサブリース問題の4分野について、中小事業者を保護するための研究をした本が出ました。

『中小事業者の保護と消費者法』

中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって




事業者の消費者保護という総論から、上の4分野について、理論を詰めたり、裁判例を紹介してくれています。

ドロップシッピングやリース問題でも初めて知った裁判例があったほか、不動産サブリース問題について現状を知ることができたので有益な一冊でした。

不動産サブリースでは、長期間の一括借り上げを謳いながら、契約書が全く違う形になっているケースが多いなど、実際の契約書式を比較検討してくれています。
弁護士だけではなく、不動産サブリースの契約をしようとしている人は、先に読んでいた方が良さそうです。

口頭での勧誘と契約書が違うのはよくある手法。
裁判では契約書という証拠が重視されてしまいます。
事業者の場合、顧問弁護士がいれば、押印前にチェックしてもらうこともできますが、相談先がないと勧誘内容と同じだろうと安易に押印してしまいがちです。

事業者が消費者問題で法律相談に行くと、「個人じゃないから難しいね」と回答されてしまうことがあります。
実際、法律の規定が個人と事業者を区別していて、運用上も事業者の保護はまだ弱いのが現実。
しかし、本書のような本が出ているように、事業者の保護も少しずつ進んでいるのです。

諦められない被害を受けた場合には、この本を持って法律相談に行くと良いかもしれません。


中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって
中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって

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2012/07/20(Fri) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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