奨学金を借りる前に考えておきたいこと
弁護士石井琢磨です。

自分に合った奨学金を探すことができるというサイトがあります。
http://studentship.jp/

統計局のホームページで公開されている資料によると、家計の教育費支出は減少傾向にあります。

教育費の推移



そこで、奨学金を利用して大学等に通いたい人もいるでしょう。

奨学金制度は、うまく使えばもちろん問題ありません。

ただ、法律事務所に相談に来る人のなかには、過去の奨学金の支払ができず、多重債務に陥っていたり、
急に保証人としての責任を追及されたりしている人も多くいます。

その現実を知りましょう。


日本学生支援機構のホームページ上に「平成22年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果」というページがあります。
このような調査がおこなわれていることから、貸与型の奨学金を利用して大学等に行ったものの、後に奨学金を返せなくなった人が多いことがわかります。

上記調査によると、奨学金を返せない理由の一番は、収入減。

返済者と滞納者の大きな境目は、年収200万円。

奨学金延滞



奨学金を利用したにもかかわらず正社員になれずパートやアルバイトで年収200万円未満の場合に、奨学金を滞納してしまうケースが多いのです。

貸与型の奨学金制度を利用する場合には、このような現実を知っておきましょう。
最近では、弁護士ですら研修期間中の借金に苦しんでいるという報道もあるのです。
http://biz-journal.jp/2012/06/post_229.html


奨学金には、貸与型よりも狭い門ですが、返さなくていい給付型の奨学金制度もあります。
これを使えるならチャレンジしてみた方がいい。
私も、中央大学で、給付型の奨学金をもらっていました。
学部で十数名という枠だったと記憶しています。

当時、中央大学では、給付型の奨学金をもらえるかどうかの基準が、学内で毎週おこなわれる司法試験対策用の論文模試で上位の成績を収めることでした。大学3年のときに、係の人に確認したところ、「学内で総合1位になればもらえるんじゃないの」と言われました。
当時、バイトも辞めていた私は、司法試験の本番に向けて現金が必要だったので、この数か月間、毎週行なわれる模試の成績で1位を取り、奨学金をもらおうと決意しました。

それまでの模試の成績はイマイチだったのですが、この決意をしてからは、かなりの確率で1位をとり続けることができ、奨学金ももらうことができました。
自慢したいわけではなく、重要なのは意識だということです。

他の学生が、「司法試験の模試」「練習」と考えて毎週受けていた試験に、おそらく私一人が「奨学金をもらうための手段」「仕事」と考えて挑んでいたのです。結果を出すことだけにフォーカスし、採点基準を分析し、いかに点を取るか、落とさないか、毎週、必死に食らいついていたのです。
もはや賞金稼ぎのような気分でした。そりゃあ、結果は出ます。

そうしているうちに、実力もついたようで、大学4年で司法試験に合格できたわけです。
ちなみに、司法試験模試の成績は良かった私も、大学の成績はボロボロで、単位は落とすわ、卒業は危ぶまれるわ、という状態でした。
どうやら、そんな成績の学生に奨学金を出すのはよろしくない、という話が出たようで、私が奨学金をもらった翌年からは、司法試験模試の成績だけではなく、大学の授業の成績も考慮されるよう変更されました。後輩には申し訳ないことをしてしまいました。

何が言いたいのかというと、給付型のような狭い門でも意識して狙ってみると、思わぬ効果をもたらしてくれるかもしれないよ、ということです。

安易に借りるのではなく、他の選択肢も検討してはどうかと。


また、そもそも、大学にお金を払って行く価値があるかどうかも考える必要があります。
奨学金という借金をしてまで行く価値があるのかと。

『思考力の磨き方』という本の中では次のような記述があります。

「大学は私たちが賢くなるための場所ではなく、大学教授を生活させるための場所である」



思考力の磨き方
思考力の磨き方日下 公人

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私は大学に通っていましたが、ほとんど授業には出ていませんでした。
私は多人数で授業を受けるというシーンが苦手なようで、直ちに睡魔に襲われる体質でした。
塾や予備校にも通えません。

だからといって、大学で得られたものがないわけではなく、周りが司法試験の勉強をしているという環境に身をおけたことは非常に価値がありました。

もちろん大学が提供している教育自体に価値を見出せるなら問題ありません。

それ以外に、大学卒業という学歴自体を手に入れるという意味もあるでしょう。

『反・学歴の成功法則』という本が出ているように、まだ学歴社会であるという事実はあります。
反・学歴の成功法則
反・学歴の成功法則



私も法律事務所の経営者になってから、「厚木高校卒業だから」、「中央大学卒業だから」、という理由で依頼が来ることがあります。
こう考えると、教育というコンテンツに価値がなくても、学歴自体を買うという発想もありだな、と。

このように、何でも金で買うという発想を突き進めると、色々と問題は出ます。

『それをお金で買いますか』
という本では、色々なものがお金で買える例を取り上げています。

それをお金で買いますか――市場主義の限界
それをお金で買いますか――市場主義の限界マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

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「非暴力犯が特別料金を払うと、払わない囚人とは別の、清潔で静かな独房に入ることができる。」
「年会費を払うのをいとわない患者に対し、携帯電話の番号を教えて当日予約をとれるようにする「コンシェルジュ」ドクターがますます増えている」
「読書を奨励するために、ダラスの成績不振校は、子供たちが本を一冊読むたびにお金を払っている。」



このように多くのものがお金で買えると、問題が起きます。

著者は、問題の一つとして、腐敗を取り上げています。

子供に金を払えば本を読むかもしれないが、子供は仕事として本を読むようになり、読書自体の楽しみが奪われてしまう。
金のために本を読む腐敗した子供が出てきてしまうのです。
そう、腐敗した大学生であった私のように。

ものの価値をお金で考える、という発想はある程度は有効なのですが、やりすぎると腐ります。

ただ、奨学金を借りてまで行く価値があるのかは、やはり検討したほうが良いのだろうと思います。


というわけで、奨学金を探している人は、これらの点を気をつけながら検討してみてくださいね。

http://studentship.jp/



ご相談は相模川法律事務所ホームページへ

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2012/06/11(Mon) | 雑談 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
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