ノルマの泣き言6 パワハラ
パワハラ



弁護士石井琢磨です。

これまでノルマ未達成による給料の減額や解雇、ボーナスの取扱について、法的な問題を取り上げてきました。

今回は、法的に問題といえるかどうか、微妙なテーマです。



ノルマが達成できないとき、解雇や買取を求められる、減給・・・など今まで扱ってきた問題より前に、なにがあるでしょうか?


ノルマが達成できなかったよー、あー、こんなんで会社に戻ったら・・・


そう



怒られる。



誰しも怒られたくありません。
私の周りには「私は怒られるのが大嫌いなのだ」と何度も主張する人物もいます。


今回の泣き言 「ノルマ達成できず、怒られた!


多くの上司には、「え?怒られた?だから?」と言われそうです。
部下を怒るというのは、微妙な問題です。



何が微妙かというと、怒っていても、
指導している
とも認められることもありますし、
人格否定だとしてパワハラだ
と言われることもあります。


どのような状況で、どんな発言をしたのか

裁判では、個別の事情を検討していくため、

ある一つの発言、行動を捉えて、パワハラだ、違法だ、慰謝料だ

と直ちに言えないところがあります。



上司が暴力を振るった、というケースであれば、もちろん違法になるでしょう。
暴力や脅迫レベルであれば上司の行為は犯罪行為であり違法です。

理由なく、人格を否定するような発言があれば、違法になる可能性が高いです。

ただ、指導のための叱責との境界線がハッキリしていないため、
一部の発言を捉えて、パワハラだとして、それだけで裁判を起こすことは、現実的ではないと考えます。

パワハラの裁判は、セクハラ裁判よりも事例が圧倒的に少ないということもあります。

パワハラにより実際に裁判で慰謝料が認められるケースは、
上司の発言や行動が続いたため、精神を病んでしまったり、残業続きで体調を崩すなど、
パワハラ以外の事情もあるケースがほとんどです。

たとえば、長時間労働事故事件(津地裁平成21年2月19日判決)では、長時間労働に加え
「こんなこともわからないのかと言って,物を投げつけたり,机を蹴飛ばす」
「勤務時間中にガムを吐かれたり,測量用の針の付いたポールを投げつけられて足を怪我するなど,およそ指導を逸脱した上司による嫌がらせを受けていた」
ことをパワハラと認定、会社に責任を負わせています。


このようなパワハラの相談は増えているため、厚生労働省は今年に入って初めてパワハラの定義をまとめました
裁判ではこれに拘束されるものではありませんが、参考までに。

1 暴行・傷害(身体的な攻撃)
2 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
3 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
4 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
5 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
6 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

会社に改善を求める際には使える材料です。

ノルマ未達成の場合の行き過ぎた叱責以外に、達成不可能なノルマの強制はそれ自体で4番に当てはまりそうです。


犯罪レベルなら即相談、
厳しい発言が続き心が折れそう、体調不良であれば、まず身体のことを考えた方が良いでしょう。
医療機関を受診するなどして健康を維持しましょう。


裁判官の言葉 「人間性を否定するかのような不相当な表現を用いての叱責はダメ」


私がコメントした『SPA!』の前の号の特集は、
「クビにしたい40代社員の共通点」でした。
精神が折れそうな場合には、こういう特集を読んでみるのも良いかもしれませんね。

SPA


ネット上ではFujisanなどから買えるようです。



ご相談は相模川法律事務所ホームページへ

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2012/05/11(Fri) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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