『第3の案』 筋肉を鍛えれば夫婦ゲンカは減る
弁護士石井琢磨です。

以前、本を読まない友人が、何度も読んだ自己啓発書として『7つの習慣』を挙げていました。

7つの習慣―成功には原則があった!
7つの習慣―成功には原則があった!



その友人は、結婚直前に、
「結婚は、価値観が違う人間同士が一緒に生活するんだから、お互いの価値観を認めないとうまくいかないだろう」
と発言。

私は、新婚生活に過大な夢を描いていない友人を見て、すごいと感じました。

その『7つの習慣』の著者が、『第3の案』という新刊を出しました。
第3の案 成功者の選択
第3の案 成功者の選択



これを読んで、友人の発言は、『7つの習慣』から影響を受けていたものだと知りました。

『第3の案』は、『7つの習慣』の一部の考え方を具体化させたもの。

タイトルのとおり、「Aか?Bか?」という二者択一思考に陥っている際に、全く異なる第3の案に到達し、WIN-WINの関係をつくるというものです。
二者択一思考が行き着くところとして、法律業界の話が出されていて耳が痛いところです。

離婚裁判では、夫婦がお互いに不満をぶつけ合ってしまうシーンがあります。
とにかく相手を責める。
ある離婚裁判の証人尋問で、裁判官が夫に対して

「あなたは妻を責めるけれども、結婚生活がうまくいかなかった原因について、自分にも至らなかった点はあると思いますか?」

という質問をしたことがあります。

夫は「一切ありません」と発言し、裁判官が絶句していたのを思い出します。

法廷では、悪いのは、自分か?or相手か?という思考になりやすい。

よほどの違法行為があれば別ですが、離婚では、お互いに至らなかった点があるのが普通でしょう。


『第3の案』でも触れられていますが、離婚原因の第1位は「性格の不一致」です。
しかし、不一致なのは当たり前。

私がある既婚者の弁護士に「この事件で、夫婦関係がうまくいってなかったのは何でなんだろう?」と質問をしたところ、
その弁護士は「うーん、特定は難しいかもしれませんね。夫婦ゲンカのネタなんて、うちでもいくらでもありますからねえ」
と言っていました。
ある弁護士の家庭では、真冬なのに配偶者が窓を開けて寝ていたことがケンカの原因になったとか。

部屋の気温ですら、争いの原因になるのです。

寒すぎる、暑すぎるという二者択一思考だとケンカが絶えません。

ここから抜け出すには、まず、二者択一思考がどこから来ているのかを考えることが必要です。

『第3の案』では、


家族の対立のほとんどは、根本的にはアイデンティティの対立である。自尊心が脅かされていると思うと、相手の自尊心を攻撃する。


と述べています。

相手を責めるような発言は、実は相手を責めるものではなく、自分の自尊心を守るためのもの。

具体的なエピソードを引用します。


「妻が「ここは寒いわね」と言うと、夫はにわかにイライラし、「お前、どうかしてるんじゃないか?二〇度もあるぞ!」と言い返す。妻が寒いと言ったことを、夫としての自分の性格や能力に対する攻撃と受け止めるのである。「妻が寒いのは私のせいなんだ。私は妻を幸せにしてやれず、妻を寒さから守ってやれなどと思ってしまうのだ。彼は自分を守るために、寒いわけがないじゃないかと、妻の感覚を疑問視するようなこと言う。「こうして二人は互いに相手から見下されたと感じる。どちらも相手を見下すつもりなどないにもかかわらず」 ここから事態は悪化の一途をたどり、罵り合いとなる。




まさに、多くの離婚事件で、このような罵り合いが発生しています。

自分が相手を罵ってしまった場合、その二者択一思考がどこから来ているのかを知るだけでも、新しい選択肢に近づけるでしょう。

どこから来ているのかを知れば、冷静さを取り戻せ、反応を変えることができるかもしれません。

本書では、自分がどのように反応するかは、自分で選べる、と言います。
これは、自己啓発書でよく取りあげられる話です。

さらに本書では、これを実験結果で裏づけています。

「家庭内暴力の加害者が衝動を変化させる手助けをしてきた。」というスティーブン・ストスニー博士の話が紹介されています。


「愛する人を傷つければ、自分は愛される人間になれる、そんなふうに考えた人が人類史上いるだろうか?」と彼は質問する。患者はこうして、自分自身を良く思えるようになる方法は、暴力ではなく思いやりを選択する以外にないことに気づく。
次にストスニー博士は、集中的な訓練で暴力のサイクルを断ち切らせる。患者は約一ヵ月にわたり、頭の配線を思いやりに組み直すための七五○種類の訓練を行う。毎回、対立の場面が提示され、患者は実際に求める結果を思い描き、親切な気持ちで反応する。訓練を終えると、患者は過去の習慣的な反応を克服し、新しい「頭の筋肉」をつくる。こうして思いやりが習慣になる。




反応は、筋肉で変えられる。

思いやりは習慣である。



この訓練が手軽にできるようになれば、DV事件が激減するでしょう。

それだけではない。


二者択一思考の典型例として、犯罪があります。

刑事事件の現場では、「なんでそんな発想になっちゃったの?」と関係者全員がつっこむことがあります。
犯人は、「殺るか、殺られるか」のような狭い二者択一思考になってしまっている。

その前にワンクッション入れられれば、犯罪は減ります。


薬物から抜け出せない、盗みグセが治らないといった悩みも、筋肉で変えられる可能性はあります。

『第3の案』でも、結婚生活以外に多数のシーンを取りあげており、犯罪防止についての記述もあります。

この訓練がDVDやスマートフォンのアプリ化されて、ビリーズブートキャンプのようなブームになれば、社会はきっと良くなる。


自分の感情をしっかりコントロールしたい人は読んでみてください。

第3の案 成功者の選択
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2012/03/29(Thu) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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