ハイパーインフレに浸れる小説
弁護士石井琢磨です。

先日、事務所内で雑談をしていました。

「先生、私の借金、どうしましょう」

「そんなもの、日本にハイパーインフレが来るまで放っておけば?」

「えー、ハイパーインフレが来たら、貯金がなくなっちゃうんですよね」

「なくなるというか、そもそも一万円札なんて意味がなくなるね、円の価値がなくなる」

「物がめちゃくちゃ高くなるんですよね、どっかの国がそうなりましたよね」

「ジンバブエだっけ。物が買えなくなるが、まあ借金もなくなるようなもんだ」

「えー、じゃあ、将来の年金とかどうなるんですか?」

「年金?そんな事態になったら、日本という国が機能してるか怪しいぞ」



朝からこんな妄想雑談をしていたところ、スタッフの一人が

「私、たまたま最近、そんな内容の小説を読みましたよ」

と言い出しましたので、貸してもらいました。

万能鑑定士Qの事件簿 II (角川文庫)
万能鑑定士Qの事件簿 II (角川文庫)




『万能鑑定士Qの事件簿 II』

本屋で並んでいても自分では買わなさそうな表紙、タイトルです。


スタッフが私に本を渡すとき

驚くほど速く読めますよ

とプレッシャーをかけてきました。


「え?いや、そうかな?いきなり2巻だし」


「本当に、ものすごく速く読めますよ。私、電車の中ですぐに読み終わっちゃったし」

いま、この場で10分で読め、と言わんばかりの勢いでした。


普段の仕事で「今日中にできる?」「昼までによろしく」などとプレッシャーをかけ続けてきたことへの仕返しでしょう。


私は、法律書やビジネス書なら比較的速く読めますが、小説はあまり速く読めません。
最近も『坂の上の雲』全8巻を読み終えるまで、1年以上かかりました。


しかし、プレッシャーをかけられた以上、頑張らねば、と休日を使って読み終えました。


なかなか興味深い内容でした。

1万円札が大量に偽造されて信用を失い、ハイパーインフレが起きるという設定。
ハイパーインフレになった結果、次のような事態が発生します。

社会では、1万円札での支払いが拒まれる。
1万円札の信用が低下という設定なので小銭は可。ドルでの支払いは大歓迎される。
タクシーの初乗り料金は、四万二千円に。
富裕層は海外へ脱出。
社会人の6割は仕事を失いニートへ。
雑誌は廃刊。
『ジャンプ』はすぐには廃刊にならない。
テレビも一部の報道のみ。
家賃の値上げが起き、家を失う人も出てくる。
訴訟しようにも、弁護士事務所も裁判所も十分に機能しているかどうか疑わしい。


給料がまともな価値で払われなければ働かない人が出てきて社会が機能しなくなる。
裁判所も機能しなくなれば弁護士事務所も今の仕事は機能しないでしょう。

そんなとき我々に何ができるのか。
秩序を回復する方法はあるのか。

色々と考えさせられる設定でした。


小説で描かれていた一部の現象は、一般の書籍にも書かれていることです。
『マネー避難』でも、スタグフレーションにより失業者の激増などの現象が生じるとされています。

マネー避難 危険な銀行預金から撤退せよ!
マネー避難 危険な銀行預金から撤退せよ!



妄想しながら読んだので、時間がかかりましたが、いざというときに悲観的になりすぎないためにも考えておきたい問題です。




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2012/02/27(Mon) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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