FC2ブログ
自炊代行業者の裁判
弁護士石井琢磨です。

東野圭吾さんら作家が、自炊を代行するスキャン業者に対して、差し止めを求める訴えを提起したことが話題になっています。

私のRSSリーダーには
「作家・東野圭吾ら"自炊"を代行するスキャン業者を提訴「裁断された本を見るのは辛い」 | ニコニコニュース」

というタイトルで情報が入ってきていたので、それは違うだろう?と思ってクリックしてみたら
「裁断された本を見るのは辛い」の部分はカットされていました。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw166149

購入した本を裁断すること自体は、著作権法上、何の問題もありません。
私的利用の範囲で複製することも著作権法上認められています。
報道によると、今回の訴えは、裁断+複製を事業として代行するスキャン業者の行為が、私的複製の範囲とはいえない、というものです。

私が、「裁断された本を見るのは辛い」という部分に違和感を覚えたのは、作家の愛情はわかるにしても、法律論として、本の所有権が持ち主にある以上、本を裁断することは当然に認められるからです。
そもそも、本は、「汚せ」と言われたり、「文房具として使え」と言われたりしてきているものです。

裁断されたとしても、電子データとして生き延び、活用されるのであれば、作家としては喜ばしいことなのではないかと感じてしまいます。

実際に私は大量に本を購入していますが、保存場所がないため、95%以上の本は裁断して電子データとして個人的に持っています。
この方が全文検索もできて便利です。
紙と電子データの両方が欲しいために、2冊買うことも多々あります。

さらに言えば、電子書籍リーダーとして、iPad2を購入してからは、さらに裁断力が高まりました。
電子書籍リーダーとしては、昨年、ソニーのリーダーPRS-650を購入しました。
健康志向の私は、目に優しい電子ペーパーの方が良いに違いないと思って購入したのですが、処理速度が遅くてすぐに使わなくなりました。
電子ペーパーという性質上ページ送りの際の反転時間と、読む本を選ぶ際のスクロールの遅さに耐えられませんでした。
iPad2は持ってみると重く、本の代わりにはならないと思って購入はしていませんでした。

しかし、瞬間的に100万部を達成した『スティーブ・ジョブズⅠ』『スティーブ・ジョブズⅡ』を読み、ジョブズの作品に触れたくなり、この秋にiPad2を購入しました。

スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ I



iPad2で本を読んでみると、紙の本より快適です。

今までは、紙の本を購入し、読んでから裁断・自炊をしてデータとして保存していたのですが、購入直後に裁断して最初からiPad2で読んだ方が良いのではないかと感じる快適さです。

このような自分の経験から、自炊自体は非常にお勧めです。


では、自炊を代行するスキャン業者の行為は違法なのでしょうか?

代行業者の事業が拡大した場合、本の中身の価値が軽視されるリスクがあります。
裁断をしてスキャンをした後の、紙の本は、現実的には再度スキャンが可能だからです。
そのようなリスクがある行為が、私的複製を認めた著作権法の趣旨からして認められるのかどうか。

2010年に発行された「週刊ダイヤモンド10/16号」では、
自炊の代行サービスについて
弁護士も学者も著作権法上認められないという見解を示しています。

裁判の行方が気になりますね。


週刊 ダイヤモンド 2010年 10/16号 [雑誌]
週刊 ダイヤモンド 2010年 10/16号 [雑誌]



上記書籍でも意見を示していた福井健策弁護士と岡田斗司夫さんの対談本
『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』では、岡田斗司夫さんがすごい発想をしています。

本の私的複製は、家族で使う範囲なら認められる。
そうであれば
養子が1万人いたら、1万人でコピーを使って良いのか?
という質問を投げかけています。

養子1万人って、戸籍謄本どうなるんだろう・・・
ちなみに、親子関係になるつもりがないのに、養子縁組をする偽装養子縁組は
電磁的公正証書原本不実記録罪となりますので、くれぐれも自炊目的で養子縁組しないようにしてください。


なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門










関連記事
2011/12/21(Wed) | news | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://sagamigawa.blog73.fc2.com/tb.php/556-d7edec92
前のページ ホームに戻る  次のページ