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個人再生事件における不動産価値の評価について、神奈川県の運用
弁護士石井琢磨です。

個人再生事件における土地と建物の所有者が別というケースで、不動産の清算価値について、神奈川県内での運用が変わるそうです。


11月18日に横浜地方裁判所で開かれた破産管財人協議会という会議に出席したときの話。

じつは、この会議、県内の破産事件や再生事件の運用に大きな影響を持つ会議なのです。


その中で、個人再生事件における不動産の清算価値についての話がありました。

個人再生事件については、いくつかの書籍が出版されていますが、神奈川県内の裁判所では書籍と違う運用がされていたため混乱が起きていました。

本に書いてあることを前提に事件を進めたところ、裁判所からNGがかかる。
書籍でいくら勉強しても、実際の事件で違う対応がされてしまうのは、プロとしては困りもの。
お客さんにも迷惑かけてしまいます。
実際に全国的なMLでも問題にされていました。

しかし、今回の会議でようやく修正され、書籍と概ね整合する運用になるそう。


具体的には、次の問題のことです。
建物と土地が別人の所有物だったり、共有の場合の不動産価値です。

たとえば、申立人が建物所有、敷地は義父が所有。両物件に申立人が借りた住宅ローンの抵当権がついている。
建物400万
利用権200万
敷地1800万
住宅ローンが1200万の場合。

この場合の不動産の価値をいくらと判断するか、という問題。

不動産価値1



個人再生事件の要件に、財産価値以上の支払があるため、申立人としては財産の価値は低く算定してもらいたい。


このような所有者が別という物件でも、住宅ローンが土地建物の全体価値を上回っている場合には、個人再生手続上の財産価値としては0円となります。たとえば次のケース。
建物400万
利用権200万
敷地1800万
住宅ローンが3000万の場合。

不動産価値2


また、比較事例として、土地建物両方とも申立人が所有している場合。
建物400万
敷地2000万
住宅ローンが1200万の場合。

不動産の財産価値は、不動産価格からローン金額を差し引いて算出します。
2400万円-1200万=1200万円の価値。

不動産価値3



では、最初の設定に戻ります。単純化して
申立人分(建物400万+利用権200万) 600万
他人分 敷地1800万
住宅ローンが1200万の場合。

不動産価値1


この住宅ローン金額をどこから差し引くかが問題です。

書籍によると、

事例解説個人再生―大阪再生物語
事例解説個人再生―大阪再生物語



まず申立人の部分からローンに充てるべき。
つまり、住宅ローン1200万円は、まず申立人分に600万、足りない部分を敷地部分に600万あてる。
敷地部分の価値は、1800万-600万=1200万。
建物と利用権の価値は0円と評価する。

不動産価値4



このような書籍の記載を前提に、個人再生の申立をしていると、
神奈川県内では、最近まで、
住宅ローンの1200万円は、
申立人分 600万
他人分 1800万
に按分して割り付けるべき、と指示されていたのです。

申立人分 600万  → 割付額 300万
他人分  1800万 → 割付額 900万

つまり申立人の財産は、600万-300万=300万円と評価される。

不動産価値5



そのため、個人再生の要件である財産以上の支払いをしないといけない、という要件を満たすために
300万円以上の支払いが必要になる。

0円か300万円か。大きな結論の差です。

今回の協議会により、神奈川でも、個人再生の入口の時点で300万円という決めつけをしてしまうのは良くないとのことで、このケースでは、書籍にしたがって0円の結論、ただし事案によって柔軟な対応をする、という運用に変更になるそうです。

とりあえず、混乱が減りそうで、良かったです。


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2011/11/20(Sun) | 借金問題 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
コメント
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書籍で混乱するというところに制度の難しさがあるような気がします。破産管財人もとても難しい仕事だと記事をみて思いました。ありがとうございます。
by: れ投資家社会人サークル武富士 * 2011/11/25 13:50 * URL [ 編集] | page top↑
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