だまされて当然である
弁護士石井琢磨です。

この週末、厚木では鮎まつりですが、花火は11月です。
みなさん、だまされないように。


さて、詐欺や悪徳商法の被害にあっても「だまされた」
と周囲に相談できない人がたくさんいます。

なかには、家族に商品を発見され、問い詰められて、むりやり相談に連れてこられたような人もいます。


だまされることは恥である

と思っているようですね。

しかし、じつは、人間がだまされるのは必然なのです。


『人はなぜだまされるのか』という講談社から出版されている本。


人はなぜだまされるのか (ブルーバックス)
人はなぜだまされるのか (ブルーバックス)







著者の石川幹人さんの本は、進化というフレームで、だましや感情を切っていく手法で、興味深いです。

人は、進化の過程で他人を信じることが必要でした。
その遺伝子が今に引き継がれているという主張です。


一部引用します。


小規模の協力集団の中で私たちの心は、「他者の話を信じる」方向に進化した。信念共通化を行いやすいという利点があるからだ。他者は協力集団のメンバーなので、まずは信じるほうが集団として有利なのである。しかし最近では、むしろ「他者の話を信じない」ことの利益も多くなってきたようだ。見知らぬ人と交流する機会が増えてきたので、やみくもに他者を信用すると、それにつけこんだ詐欺にあう可能性が増えてきたからである。




数百人以上の規模で交流が行われる社会になってしまった以上、最低限の懐疑を身につけておかないと、社会としてもマイナスである。




かつて、人類は、小規模の集団を形成して活動していました。
やがて、それが大規模な集団に発展。
小規模の集団では意思統一をしっかりするために、他人の言うことを信じる必要があったのです。
そのような小規模集団では、人をだましたら、集団から排除されてしまいそうですね。排除されたら生きていけません。
だから、だます人も少なかったのでしょう。

ところが、集団が大規模に変わり、他人の言うことを信じる、のも別にメリットがなくなってきたのです。
それなのに、他人を信じやすいという性質だけそのまま遺伝され続けている。
だから、信じて、だまされることは、生物の必然なのです。


ということは、世の中から詐欺をなくすには・・・


まあ、


何万年か人間が進化したら、なくなってるかもしれませんね。



このように、人を信じてだまされるのは、必然です。
だから、「だまされたのは悪い」なんて感じる必要は、これっぽっちもないです。

悪いのはだました人と我々の祖先です。

罪悪感など感じることなく、いまできることを考えましょう。堂々と相談しましょう




ついでに、もう一冊紹介。

今回の本を読んだのは、こちらの『人は感情によって進化した』を読んで、著者に興味を持ったからでした。


人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)
人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)



こちらの本の方が、感情全般を取り扱っているので、興味を持つ人が多いかもしれません。

怒りや嫉妬という感情。
ときに犯罪の動機にもなる感情です。
なんで、こんな感情があるのでしょうか。

人間が進化するうえで必要だったからです。


怒りは、集団において、ルールを守らせるために必要なものでした。


嫉妬は、小規模集団においては、自分に利益をもたらすものだったそうです。


例をあげましょう。

村民が数十人の村。
村人の一郎君は、リンゴをとるのが得意でした。
ある日、一郎君は、一人で20個もリンゴをとってきました。
隣に住む二郎君は、嫉妬しました。
「一郎君、いいなあ、そんなにリンゴをとれて」
小規模集団の場合、このような嫉妬を受けて、一郎君は二郎君にリンゴを分け与えていたそうです。
嫉妬をすれば取り分が増える。

これに対し、国民が1億人の国。
国民のイチロー君は、年収30億円。
となりの県に住むジロー君は、嫉妬しました。
「イチロー君、いいなあ、そんなに収入があって」
でも、イチロー君は、ジロー君に直接お金を分けることはありません。
嫉妬しても効果はない。



小集団のうちは、相手が浮気しても嫉妬によって呼びもどせる可能性がありますし、その相手に固執する利点も大きいです。なぜなら小集団では、双方の選択肢が限られているからです。
一方で、今日の大きな集団の社会では、選択肢が拡大しました。相手に嫉妬を表明しても、相手はそれをわずらわしく思い、他の選択を求めていく可能性が高まりました。




怒りや嫉妬という感情は、進化の過程で身につけた感情。

ときに悪感情とされますが、こういう感情が湧いてきたときは、
ああ、ご先祖様が残していった感情だ、とノスタルジーに浸っていれば、いつの間にか感情は解決できているかもしれません。




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2011/08/06(Sat) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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