法律文書は一行目から書かなくていい
弁護士の石井です。

先日、芥川賞作家、藤原智美さんからお話を聞き、文章の技術を学びました。


最近では『文は一行目から書かなくていい』という本を出されています。

文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術







作家の文章作成方法を学べる本ですが、その内容は法律文書にも使えるものです。

3点ほど、取り上げてみましょう。


1 文は一行目から書かなくていい

タイトルにもなっているこの内容。書けるところから書けばいいんですよ、というアドバイスです。


これは法律文書でもズバリ当てはまる内容です。
弁護士が裁判所に提出する準備書面は、1ページ目から順番に書いていくより、全体の構成から入って重要部分から書くのが通常です。
裁判所に提出する文書は、論理を積み上げていく文書なので、核心部分が最初に来ることはあまりありません。少なくとも1行目から書くことはほとんどないのです。


しかし、世間では誤解されているようです。
昔、ドラマで弁護士役の俳優が、パソコンで文書を作成しているシーンを演じていました。
夜の事務所でパソコンに向かってキーボードを打つ。パソコンから離れて、窓の外を見て、ため息をつくシーン。
そのシーンで弁護士が作業していたパソコンの画面が映し出されました。画面上で作成されていた文書は「答弁書」、弁護士がキーボードを打って入力していた文章は
まさに一行目の「原告の請求を棄却する。」
というものでした。

弁護士が、答弁書を作る際に、キーボードをカチャカチャと打って「原告の請求を棄却する。」と入力。席から離れ、外の景色を見て、ため息をつく。

リアル弁護士からすると、ツッコまざるを得ないシーンです。
こんなシーンはない。

民事裁判で作成する答弁書の多くは、「原告の請求を棄却する」という定型文言を使います。
これ、普通は書式どおりなので、いちいち入力しないのです。
違う文言を使うケースもありますが、少なくとも、その1行を悩んで入力して、ひと息つく、ということはない。

以上のように弁護士が作成する法律文書は一行目から書かなくていいわけですが、みなさんが作成する法律文書も一行目から書く必要はありません。
たとえば、何かもめごとがあって、示談書を作る。不倫を発見して念書を書かせる、というようなシーンがあります。
このような場合も、一行目から書く必要はなく、その書類でどんな効果を出したいのかを考えて、結果から見て項目を書き出す方が良いです。
お金を払わせるという約束をするなら、いつまでにいくらをどのように払わせるのかを特定して、条項をつくる。その前に、何の名目で払うのか支払義務の確認条項のようなものを置く、というように考えていくと良いです。


2 書く前にカメラの位置を決める

文章では、視点を設定し、意識するという内容です。

法律文書では、主体が誰なのかは意識しないといけません。
2人の間の契約書では、「甲」や「乙」のように置きかえて作成されることが多いです。
置きかえること自体は問題ありませんが、1つ1つの条項で、誰をしばる条項なのかしっかりと特定しておく必要があります。

契約書以外でも、念書のような差し入れ文書の場合、「誰に対して」という点が抜けることがあります。

お金を払います、というものの、誰に払うのかが文書から分からない、というケースもありますので、ご注意ください。



3 タイトルの一人歩きに注意する

タイトルだけ見て中身を読まない人が増えているそうです。
タイトルだけが一人歩きをしてしまい、批判されることがあるとのこと。

これは法律文書でもあります。

「示談はしたくない。示談書にはサインしない。和解書なら・・・まあいいか」
「慰謝料なんて払いたくない。オレは悪くない。解決金なら・・・まあいいか」
というように、文書の表題や支払うお金の名目にこだわる人はかなりいます。

紛争に感情が入っていればいるほど、細かいことに配慮が必要です。

法律文書では、どういう効果が発揮できるかが重要なので、タイトルのように効果につながらない箇所には固執しない方が良いのです。



3点ほど取り上げましたが、書き続けるための技術(まさに私に必要な部分・・・)など、たくさん役立つ内容がありました。
法律文書以外でも、ブログ、ツイッターなどで情報発信している人は読んでおくべき一冊だと思います。

文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術







ランキング参加中です→人気blogランキングへ








関連記事
2011/07/25(Mon) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://sagamigawa.blog73.fc2.com/tb.php/512-7f9d0cd3
前のページ ホームに戻る  次のページ