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海賊にも法律がある
弁護士の石井です。

私は法律家なので、ときどき、本当にときどき、「法律って必要なのか?」「どんなコミュニティに必要なんだろう」などと考えることがあります。

最近、衝撃を受けた事実。


海賊の世界にも法があった


という事実。

海賊というと、『ワンピース』と『パイレーツ・オブ・カリビアン』くらいのイメージしかなく、自由人、無法地帯というイメージを持っていました。

しかし、海賊船にも、規律を守るための掟・海賊の憲法があったそうなのです。

こちらの『海賊の経済学』という本で学びました。


海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密
海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密






海賊船にも法がなければ、同じ船の海賊同士で窃盗や詐欺や暴行が発生してしまう危険があり、安心して海賊業務(?)を続けられません。

また、海賊船は狭いので、泥酔しすぎる、タバコを吸いすぎるなど、行きすぎた行為は周りに迷惑をかけてしまいます。

さらには、海賊業務をサボって、取得したお宝だけ分け前をもらう、というフリーライダーが出てしまうリスクもあります。


こういったことを防ぐために、海賊たちは自ら法律をつくり、全員一致で成立させていたそうです。


一例として、次のような条項が紹介されていました。

「照明やロウソクは夜八時に消すものとする。船員の誰かがその時間以降にまだ飲み続けたいと望むのであれば、甲板で行うべし。」



海賊も健康が一番です。早寝早起きだったのでしょう。



「船上では殴り合いは禁じる。何人たりとも争いは岸で、剣と拳銃をもって解決するものとする。」




海賊同士が殴り合ってはいけません。大げんかにつながる可能性がありますからね。

・・・って、岸ならOKなんですか!?


どうやら、船に傷がつかなければいいようです。



「船から逃亡したり、戦闘中に持ち場を離れたりすれば、死罪または無人島置き去りの罰を与える。」




やっぱり、海賊は「戦闘」が大事な業務なんですね。
ここで、持ち場を離れる奴は海賊じゃない!


この法律には、しっかりと刑罰も書かれています。
日本では、罪刑法定主義といって、人を処罰するには、ちゃんと法律で書いておかないとダメですよ、というルールがあります。
海賊の法律でも、しっかり罰が書かれていたのです。

内容は、死罪無人島置き去り、厳しいですね。さすが海賊です。


もう少し、軽い罪はないのかと見てみると、紹介されている条項のなかには、

お宝の分配の際に騙しとった場合には無人島置き去りの刑

しかし、盗みが、海賊個人間の問題だったら、軽くなるというものがありました。


みんなの者から取ったらダメだけど、個人間なら少し軽くするよ、というルール。
日本の窃盗罪の親族相盗例のようなものでしょうか(親族間の窃盗は刑を免除するというルールです)。


では、海賊個人間の問題だったら、どのくらい刑が軽くなのでしょうか。



無人島置き去りの罪から軽くなる程度とは・・・



「耳や鼻を切ったうえで、岸に置き去りにする」
「その場合には無人島に置き去りにするのではなく、どこか確実につらい目に遭うであろう土地に置き去りにする」




どこか確実につらい目に遭うであろう土地



曖昧すぎますよ。刑罰なのに。


海賊の法律は、まだまだ甘かったですね。罪が、じゃなくて、詰めが。




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2011/05/09(Mon) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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