「だまされづまめ」日本おさぎ話全集より
ほんのむかし、ある村に、おじいさんとおばあさん夫婦が暮らしていました。
以前、おばあさんが、おじいさんの可愛がっていたスズメの舌を切ってしまったため、二人の仲は険悪でした。
年末のある日、おばあさんは、いつものように川に洗濯に行きました。
すると、おばあさんは道ばたで若い男性から声をかけられました。
「年末の大掃除についてのアンケートに協力してもらえませんか?」
最近、人と会話をしていなかったおばあさんは、つい答えてしまいます。
話をしているうちに、いつの間にか男性の会社事務所に行って話を聞くことになりました。
「あなたのようなキレイ好きの女性には、こちらの最新掃除機がお勧めですよ」
「そ、そうかしら?」
そんな勧誘を受けて、おばあさんは、最新の「スズメ型掃除機ロボット」をクレジットで購入してしまいました。
数日後、家に届いた掃除機を箱から出すおばあさん。
それを見たおじいさんは、すかさず文句を言いました。
「お前、またなんか買ったのか?それ、必要なのか?」
「スズメ型だから、おじいさんが喜ぶかと思って・・・」
「もうスズメの事は思い出したくないんだよ。そんなもん買って、ワシは知らないからな」
スズメ型掃除機ロボットは、おじいさんに大不評。
いつしか使われなくなり、物置に置きっぱなしとなりました。
数ヵ月後、自宅にクレジット会社から督促状が届きました。
スズメ型掃除機ロボットの代金です。
おばあさんは、支払ができなくなっていたのです。
ところが、この督促状の宛名は、おじいさんになっていました。
「なんで、ワシの所に!?お前、ワシの名前を勝手に使ったんじゃないだろうな?」
「そんなことしませんよ。ちゃんと自分の名前書きましたよ」
おじいさんは怒ってローン会社に電話しました。
「おい、お前の会社は何でワシのところに請求してくるんだよ。間違ってるよな?」
「いえいえ、間違いではありませんよ。確かに契約書に名前を書いたのはおばあさんでした。
契約者はおばあさんです。
でも、おじいさん、あなたはおばあさんの夫ですよね?」
「だから何だ!?」
「おじいさま。掃除機は家で使うものですよね?ご夫婦の間では、日常的に使うものの支払は、二人でしないといけないことになっているのです。民法で決められているんですよ」
「バカな!?
いや、そうだとしても、クーリングオフするぞ」
「おじいさま。残念ながら、もう期間が過ぎてしまっています。お支払を検討してください」
おじいさんは、仕方なく支払をしましたとさ。
何かを買ったときの代金の支払をしなければならないのは購入者です。
法律上、何かの責任を負うのは、行為をした当事者本人です。原則は。
これには、法律上、例外があります。
たとえば、小学生くらいの子供が人に損害を与えてしまった場合、監督しなければならない親などが責任を負います。
また、従業員が仕事で誰かに損害を与えてしまった場合、雇っている人も責任を負います。
これらは誰かに損害を与えてしまった場合の話ですが、そうではなく、事例のように物を購入したような場合にも責任を負うのが、夫婦間の日常の家事に関するもの。
裁判で争われるのは、何が「日常の家事」に入るのか、という点です。
これに入れば妻の行為に夫は責任をとらないといけない。
これに入らないなら、責任は負わない。
「日常の家事」に入るかどうか、非常に大事な点ですが、法律では明確な基準がありません。
最高裁の判例でも、いくつかの要素を参考にして決めるというもので、明確な基準はないのです。
夫婦の地位とか収入、目的、法律行為の性質など色々な要素を参考にして決めましょうという話。
こんな曖昧な基準であるため、裁判でも争われ、結論も分かれています。
たとえば、東京地裁平成10年12月2日判決では、49万円程度の教材を買ったことを「日常の家事」だとして、夫も責任を負うとしました。
これに対して、八女簡裁平成12年10月12日判決では、52万円程度の教材を買ったことは「日常の家事」じゃないとして、夫は責任を負わないとしました。
単純に金額だけでは決まらない話なのです。
このように曖昧な点があるということから、
自分は契約者じゃないから関係ないや~
とは言えない、ことがわかります。
読者の皆さんは賢いから騙されないかもしれないけど、あなたの妻や夫はどう?
そこまでフォローしておかないと、自分の身に降りかかってくるかもしれないのです。
年末年始、家族で過ごす機会が多いでしょうから、家族の騙されやすさをチェックしてみましょう。
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ほんのむかし、ある村に、おじいさんとおばあさん夫婦が暮らしていました。
以前、おばあさんが、おじいさんの可愛がっていたスズメの舌を切ってしまったため、二人の仲は険悪でした。
年末のある日、おばあさんは、いつものように川に洗濯に行きました。
すると、おばあさんは道ばたで若い男性から声をかけられました。
「年末の大掃除についてのアンケートに協力してもらえませんか?」
最近、人と会話をしていなかったおばあさんは、つい答えてしまいます。
話をしているうちに、いつの間にか男性の会社事務所に行って話を聞くことになりました。
「あなたのようなキレイ好きの女性には、こちらの最新掃除機がお勧めですよ」
「そ、そうかしら?」
そんな勧誘を受けて、おばあさんは、最新の「スズメ型掃除機ロボット」をクレジットで購入してしまいました。
数日後、家に届いた掃除機を箱から出すおばあさん。
それを見たおじいさんは、すかさず文句を言いました。
「お前、またなんか買ったのか?それ、必要なのか?」
「スズメ型だから、おじいさんが喜ぶかと思って・・・」
「もうスズメの事は思い出したくないんだよ。そんなもん買って、ワシは知らないからな」
スズメ型掃除機ロボットは、おじいさんに大不評。
いつしか使われなくなり、物置に置きっぱなしとなりました。
数ヵ月後、自宅にクレジット会社から督促状が届きました。
スズメ型掃除機ロボットの代金です。
おばあさんは、支払ができなくなっていたのです。
ところが、この督促状の宛名は、おじいさんになっていました。
「なんで、ワシの所に!?お前、ワシの名前を勝手に使ったんじゃないだろうな?」
「そんなことしませんよ。ちゃんと自分の名前書きましたよ」
おじいさんは怒ってローン会社に電話しました。
「おい、お前の会社は何でワシのところに請求してくるんだよ。間違ってるよな?」
「いえいえ、間違いではありませんよ。確かに契約書に名前を書いたのはおばあさんでした。
契約者はおばあさんです。
でも、おじいさん、あなたはおばあさんの夫ですよね?」
「だから何だ!?」
「おじいさま。掃除機は家で使うものですよね?ご夫婦の間では、日常的に使うものの支払は、二人でしないといけないことになっているのです。民法で決められているんですよ」
「バカな!?
いや、そうだとしても、クーリングオフするぞ」
「おじいさま。残念ながら、もう期間が過ぎてしまっています。お支払を検討してください」
おじいさんは、仕方なく支払をしましたとさ。
何かを買ったときの代金の支払をしなければならないのは購入者です。
法律上、何かの責任を負うのは、行為をした当事者本人です。原則は。
これには、法律上、例外があります。
たとえば、小学生くらいの子供が人に損害を与えてしまった場合、監督しなければならない親などが責任を負います。
また、従業員が仕事で誰かに損害を与えてしまった場合、雇っている人も責任を負います。
これらは誰かに損害を与えてしまった場合の話ですが、そうではなく、事例のように物を購入したような場合にも責任を負うのが、夫婦間の日常の家事に関するもの。
裁判で争われるのは、何が「日常の家事」に入るのか、という点です。
これに入れば妻の行為に夫は責任をとらないといけない。
これに入らないなら、責任は負わない。
「日常の家事」に入るかどうか、非常に大事な点ですが、法律では明確な基準がありません。
最高裁の判例でも、いくつかの要素を参考にして決めるというもので、明確な基準はないのです。
夫婦の地位とか収入、目的、法律行為の性質など色々な要素を参考にして決めましょうという話。
こんな曖昧な基準であるため、裁判でも争われ、結論も分かれています。
たとえば、東京地裁平成10年12月2日判決では、49万円程度の教材を買ったことを「日常の家事」だとして、夫も責任を負うとしました。
これに対して、八女簡裁平成12年10月12日判決では、52万円程度の教材を買ったことは「日常の家事」じゃないとして、夫は責任を負わないとしました。
単純に金額だけでは決まらない話なのです。
このように曖昧な点があるということから、
自分は契約者じゃないから関係ないや~
とは言えない、ことがわかります。
読者の皆さんは賢いから騙されないかもしれないけど、あなたの妻や夫はどう?
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