おどされた人とだまされた人
2つの事例、どこが違います?


おじいさんは、アクマから土地を脅し取られた。アクマはテンシにこの土地を売却した。



おじいさんは、アクマから土地をだまし取られた。アクマはテンシにこの土地を売却した。



100720








自分の土地を取られたというところは一緒ですが、脅されたか、だまされたか、が違いますね。



このような場合、おじいさんは、自分の土地を取り戻せるかどうか



テンシは、何も知らずに、この土地を買っています。なにしろ、テンシですから。

アクマは、テンシに売ったら、とっとと消えてしまっています。なにしろ、アクマですから。

本来、だまされたり、脅されたりした場合、直接の加害者に文句を言うことはできますが、その加害者はいなくなっているということは多いのです。



そうすると、残された、おじいさんと、テンシ。どっちを救うか?という話になります。



民法という法律では、

脅し取られた場合には、おじいさんは、テンシから土地を取り戻せる

だまし取られた場合には、おじいさんは、テンシから土地を取り戻せない

としています(96条3項)



脅し取られたおじいさんは救われ、だまし取られたおじいさんは救われない。



強迫の被害者と、詐欺の被害者で結論が違うのです。



どうしてでしょうか?



民法という法律の価値観は、

だまされた人より、脅された人の方をより救ってあげるべき、というものです。





「詐欺より強迫の方が表意者を保護すべき要請が大きい」

民法1 第4版
民法1 第4版





私は、大学1年のときに、この話をゼミで聞きました。



ゼミに参加していた他の学生が、全員、この話を流しているところ、私だけが、食いついていました。



「え?なんで詐欺より強迫の被害者の方が救われるんですか?」



当たり前だよな。だまされた人より脅された人の方がかわいそうでしょ



「え?そう?なんで?」



なんでって、みんなわかるよな?じゃあ、次」



脅された人がかわいそうだということはわかるのですが、だまされた人もかわいそうではないか、と疑問に感じていました。



どうやら、法律で、想定しているのは、財産を騙し取られるという人は、何らかの欲がある、脅される人は欲がない、ということらしいです。

だまされる、として想定されているのは、お金を稼ごうと考えて儲け話に乗った、みたいな話ではないかと。

たしかに、詐欺事件の相談を受けると、「だまされた私も悪いんです」などと自分を責めているケースが結構あります。

これに対し、強迫事件の相談を受けるときに「脅された私も悪いんです」などと自分を責めているケースはほとんどありません。

つまり、だまされた人より、脅された人の方をより救ってあげるべきという価値観を持っている人は多いのかもしれません。



しかし、今の時代、振り込め詐欺のように、だまされた被害者に何の欲もない事件が多くなっています。



さらに、私が、この法律の価値観に疑問を持っているのは、

だまされるという場合には、だまされていることを自覚していない、

脅されるという場合には、脅されていることを自覚している、

という違いにもあります。



だましや、脅しの程度にもよりますが、何らかの被害を受けているという状態を自覚しているなら、結果を回避できる可能性があるのではないか?と疑問を持っているわけです。

「脅されている」とわかっているなら、その場で何らかの対処ができる場合もあるし、脅し取られてすぐに動くということができる場合もある。

しかし、だまされている場合には、その自覚がないから、何の対処もできない。すぐに動くことができず、しばらく経って、だまされていたことに気づく。時は既に遅し。



このような点から、私は、「だまされた人より、脅された人の方をより救ってあげるべき」という条文に、今も納得していないのです。



別に法律に文句を言っているわけではなく、日本人が「だまされた人より、脅された人の方をより救ってあげるべき」という価値観に同意した結果、被害を受けたのに「だまされた私も悪いんです」などと言って、泣き寝入りしてしまうことが一番怖いと考えているのです。だまされた人は悪くないですよ。明らかに悪いのは、だました人ですから。



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2010/07/20(Tue) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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