うらやまし太郎
「うらやまし太郎」日本おさぎ話全集より

むかし、あるところに、うらやまし太郎という青年が住んでいました。



うらやまし太郎が、海辺を歩いていると、若い娘が、外国人に絡まれていました。



「HEY、Girl!」



やめて下さい



うらやまし太郎は、あんな若い娘に声をかけられる外国人はうらやましいなぁと思い、その場を通り過ぎようとしましたが、娘があまりに嫌がっているようなので勇気を出して助けてあげました。



ありがとうございます。ぜひお礼をさせて下さい。



「ええ!?いや、いいですよ。」



では、せめてお名前と住所だけでも教えて下さい。私は亀子と言います。



うらやまし太郎は、お礼をしてもらえば良かった、と少し後悔しながらも、名前と住所を教えて、家に帰りました。



後日、うらやまし太郎の自宅に、1通の手紙が届きました。亀子からです。



この前はありがとう。

 うらやましさんって格好良いですね。

 私、絵画展のイベントを運営している会社で働いているの。

 良かったら、絵を見に来て。この前のお礼に、案内するわ。亀子




うらやまし太郎は、彼女いない歴○年。町を歩くカップルを見てうらやましいなぁという気持ちになり、もう一度亀子に会ってみたいという思いに駆られ、イベントが行われているという「ホテル竜宮」に行きました。



うらやましさん、来てくれたんですね。



「亀子さん、僕は絵なんてわからないのですが」



いいの、行くわよ

と、うらやまし太郎の手を引っ張る亀子。



一通り絵を見た後、イベントスペース脇のテーブルでお茶をすることになりました。



うらやましさん、この中で一番気に入った作品はどれ?



「うーん、あの絵かなぁ(あんまり興味ないけど)」



さすが、うらやましさん、いいセンスしてるわ。タマ・テバコの第一期の作品を選ぶなんて。せっかく来て頂いたのだから,じっくり見ていって

と亀子は、タマ・テバコと呼ばれる画家の絵をうらやまし太郎の前に置きました。



ねえ、太郎くん、この絵を持ってみない?



「えー、いや、いらないかな」



この絵が家に飾ってあったらステキ

と亀子は言いだし、クレジットの支払回数や金額の内訳が書いてある冊子を差し出して,「月々1万円なら払えるでしょう。」と言ってきました。



「それは、まあ、こんな絵が飾ってある家はうらやましいと思うけど・・・60万円!?こんな高いもの、今すぐ購入するかどうかなんて決められないよ。」



絵は一生の財産なのよ。この絵は太郎くんのような人に是非持ってもらいたいの。



「いや、でも。買えないよ。帰るよ」



もうちょっとだけ聞いて。タマ・テバコの絵を持っている人は、人生うまく行くわよ



「いやー、もう帰るよ」



ちょっと待って。もう少しだけ話そう



うらやまし太郎がホテルに入ってから約1時間が経過したころ



亀子さん、どうしたの?」ときらびやかな格好をした女性が現れました。



乙姫さん、こちらのうらやまし太郎さん、私の恩人なんです。この絵を気に入って下さったので、恩返しのつもりで、この絵を何とかうらやましさんに持ってもらいたいと思って



うらやまし様、タマ・テバコ第一期とはお目が高い

と乙姫は更に勧誘を続けました。



うらやまし太郎は「その説明は聞いたからいいです。絵は買いませんから。」と断りました。



乙姫は「絵は数が少なくなってきたら高くなりますよ。今ここで購入するのが良いと思うわ」「今買わなかったら価格はどんどん上がる。」「飛び込みで買う客も多い。

等と言い続けました。



うらやまし太郎は精神的にも肉体的にも疲れてきて「購入するかどうか明日にでも返事するから、今日はもう帰りたい。」と言いました。



しかし、乙姫は「もうちょっとだけ話を聞いて。」「今日買わないと大変よ。明日になれば確実に値上がりするんですよ。」「明日になれば60万円が80万円になる。

男なら、今ここで決断すべきよ」と言い続けました。



「いや、でも絵はいいですよ・・・」



わかったわ。社長に価格の引き下げを頼んできてあげる。」と乙姫は言い出し、一旦その場を離れました。



良かったわね!太郎くん!」亀子も言いました。



戻ってきた乙姫は。

社長と掛け合ったら,60万円を48万円まで値引きしてくれるそうです。

と言いました。



「・・・わ、わかりました。買います」



こうして契約書にサインをして、タマ・テバコの絵を持ってホテル竜宮を出たうらやまし太郎。

長時間の勧誘を受けて、白髪が増えてしまいました。



うやらまし太郎を見送る亀子と乙姫。

そこに一人の男が現れました。

あ、社長!契約1件取りました



「kameko!Good Job!」









このお話のように、ホテルなどの展示会場で、消費者を帰さない状態にして商品を売る商法は、展示会商法と呼ばれます。



展示会商法の被害にあった場合、契約をクーリングオフできれば、代金を支払う必要がなくなります。





どのような理由でクーリングオフの主張ができるのでしょうか。



クーリングオフは、一定の契約でなければできません。

展示会商法でよく使われる手法は、「訪問販売」と同じだと主張することです。



訪問販売は、業者が自宅に訪問してくる販売形態をイメージしますが、実はもっと広いのです。

法律上は「営業所等」以外でおこなわれる販売も訪問販売にあてはまります。



ホテルなどの場所を使った売買の場合、通達では

・最低2,3日以上の期間にわたって

・商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態のもとで

・展示場等販売のための固定的施設を備えている場所でおこなうもの

の3要件がそろっている場合、「営業所等」として、会社の営業所と同じ、つまり訪問販売にならないとしています。

これらの要件がクリアできない場合には、訪問販売と同視できるわけです。



この要件から、ホテルでの展示会が1日だけの場合には、「営業所等」でおこなわれた販売ではないので、訪問販売にあてはまります。クーリングオフが可能となります。



ホテルでの展示会が何日も続いていた場合には、「2,3日以上の期間」という要件を満たすため、他の要件を検討しなければなりません。



第2の要件の「消費者が自由に商品を選択できる状態」じゃないではないか、という主張をすることが一つの方法。

この要件は、厳しく考えるべきとされていて、 販売員が消費者を取り囲んだり、高額商品等の特定の商品についてのみ繰り返し勧誘するなどの場合には、自由に選択できる状態じゃないとされています。



さらに、上記3要件以外でも、キャッチセールスやアポイントメントセールスの場合は、「訪問販売」と同視されます。



キャッチセールスは、街中で呼び止めて展示会場に同行させること。

アポイントメントセールスは、販売会場であることを隠して会場に来るよう求めたり、「見るだけでいいから」と言って来させたりする場合のこと。



今回の件は、この点を主張していくことも一つの方法です。





このようなクーリングオフが主張できない場合や、クーリングオフ期間(書面を受領してから8日間)が過ぎてしまった場合には、「帰りたい」と言ったのに帰らせてもらえなかったことから、消費者契約法で契約を取り消すという方法もあります。



色々な主張が認められる可能性がありますので、おかしいと思った方は早めに相談を。







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2010/05/03(Mon) | 日本おさぎ話 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
コメント
--お疲れ様です--

昨日はブログ訪問ありがとうございました。私も学生の頃、某百貨店で有名漫画家の絵の展示会を見に行ったら、今回の記事のようなえらい勧誘にあって大変だったのを今でも覚えています。今日も勉強になりました。追伸:今日も1日ワンクリックさせて頂きました。
by: おにぃ@派遣営業マン * 2010/05/04 11:24 * URL [ 編集] | page top↑
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若い頃は勧誘されやすいですよね。
私も、デパートで絵画の勧誘を受けたことがありますので、よくわかります。
by: 石井 * 2010/05/09 06:07 * URL [ 編集] | page top↑
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