強風で物が飛んでいって損害を与えた

今朝、神奈川県央地域では強風が吹いていました。



相模川を挟んだ本厚木駅-厚木駅間では小田急線も運転見合わせ。

外を見たら、いろいろなものが宙を飛び交っていました。



先月から、強風が目立つなぁと感じています。



強風がらみの相談を受けることも出てきたり、自分が管財人になっている事件でも強風が原因で問題が発生したりしてしまいました。





強風で建物の一部などが飛んでいってしまうということもあります。

台風などの場合にも、ありがちな問題です。



このときによく使われる民法717条



土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。





「建物」など土地の工作物に瑕疵(欠陥みたいなものです)があって人に損害を与えてしまったときには、賠償義務が出てきます。建物の瓦が飛んでいったり、看板が飛んでいったり、塀が倒れたりして誰かに損害を与えた場合に問題になってきます。





裁判では、損害を受けた人は「瑕疵がある」と主張し、建物などの所有者は「瑕疵がなかった」と主張して争いになることが多いです。



責任を負うかどうか、裁判例では風の強さや建物の状態によって判断がわかれています。









東京地方裁判所判決平成17年7月22日

建物の屋根や構造物が強風に飛ばされて落下して起きた自動車の破壊事故

瑕疵を否定→責任を負わないとの判断です。

この事案では、風速毎秒50メートルを超える強風だったとされています。当事者からは竜巻だったと主張されています。

あまりにも風が強かったので、建物の所有者は責任を負わないとされたもの。





福岡高等裁判所判決昭和55年7月31日

台風で飛散落下した屋根瓦が隣家建物を損傷した場合

屋根瓦の設置又は保存に瑕疵がある→責任を負うとの判断です。



「土地工作物に瑕疵がないというのは、一般に予想される程度までの強風に堪えられるものであることを意味し、北九州を台風が襲う例は南九州ほど多くはないが、過去にもあり、当該建物には予想される程度の強風が吹いても屋根瓦が飛散しないよう土地工作物である建物所有者の保護範囲に属する本来の備えがあるべきであるから、その備えがないときには、台風という自然力が働いたからといつて、当該建物に瑕疵ないし瑕疵と損害との間の因果関係を欠くものではない

瓦を針金で屋根に固定するとか、屋根瓦を止め金で固定するとか、漆喰で固定するとか、瓦の固定について建物所有者の保護範囲に属する本来の備えが不十分であつたと推認することができ、ひいては右屋根の設置又は保存に瑕疵かあつたというべきである」





なお、管理者が市町村など公的機関の場合には国家賠償法の話になります。瑕疵があるかどうかの話は、ほとんど民法717条と同じようなもの。



福岡地方裁判所久留米支部判決平成元年6月29日

台風によって、市の清掃工場施設内に在った旧工場建物の一部が吹き飛び駐車中の自動車に損傷を与えた事故

瑕疵を認めましたが、被害者にもこれを予測して自動車を安全な場所に移すことができたのにこれを怠った点に過失あるとして、6割の過失相殺



記録上その例を見ない程大規模な台風であったと主張されていますが、責任自体は認められています。

旧工場建物やその付帯施設等の老朽化が進んでいたのだから、もっと管理すべきだった、という判断です。





これらの裁判例は、物損ですが、ニュースでは人に怪我させるなどの事故も起きていると伝えられています。

また、土地の工作物だけではなく、木などが倒れるという事故もあります。この場合も民法717条と同じ(2項)。



物損も大変ですが、人に被害を与えてしまうと取り返しの付かないことにもなりかねません。

自分の管理している物が風で飛んで行ってしまわないか注意しましょう。本当に。






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2010/04/02(Fri) | 法律情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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