ふっかけたほうが得?

以前、高すぎる慰謝料を請求されている事件を担当しました。

高すぎる請求をされる事件はよくあります。

損害賠償、離婚、不貞など多くの事件であります。



裁判を起こし判決で認められるであろう最終金額よりも上乗せをして裁判を起こすこと自体はよくあることです。

いわゆる相場よりも高額な請求です。

これは、多くの場合、裁判を無視させないためや、裁判における交渉材料として機能させるなどの目的があります。



最近みかけるのは、こういう目的以上に高額、例えば相場の何倍も請求されている事案です。

判決で認められるであろう金額がせいぜい300万円程度なのに、3000万円の請求がされているような事案。



何が狙いなのでしょう。

相手をびっくりさせるのが目的なのでしょうか。

社会への波及効果でしょうか。

私個人としては、必要以上に金額を上げた請求をするのは好きではありません。



しかし、最近読んだ本にはこんな記載がありました。



架空の損害賠償請求事件について、学生を模擬陪審員にした実験です。


学生や四グループに分けられ、各グループは、要求された損害賠償金は、それぞれ一〇〇ドル、二万ドル、五〇〇万ドル、一〇億ドルだったと聞かされた。

要求額        認定額

一〇〇ドル      九九〇ドル

二万ドル       三万六〇〇〇ドル

五〇〇万ドル    四四万ドル

一〇億ドル      四九万ドル

陪審員たちは驚くほど乗せられやすかった。



陪審員が認める金額はつねに原告側の要求よりも低かったが、その額は、要求額に比例して高くなっていた。



プライスレス 必ず得する行動経済学の法則
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則






請求額がアンカリングとして機能し、認定額の判断の際にその影響を受けるという内容です。

あくまで陪審員という一般市民の判断であり、実験の結果です。

しかし、このような効果があるなら、高すぎる請求をしてみようという動きが起きてもおかしくありません。裁判は請求金額によって印紙代が変わりますので、印紙代の増額分を上回る効果があるなら、経済的にはやってみる価値があるということになります。

ただ、上記と異なるのは、日本の慰謝料金額を決めるのは、職業裁判官という点です。



アンカリング効果を狙っての高額請求だな、と職業裁判官なら気がつくはず。

そうだとしたら、最終金額が上がるだろうと見込んで、請求金額を上げることは、印紙代の無駄。

しかし、稀に、職業裁判官でもアンカリングの影響を受けていると思わざるを得ない方がいます。



こちら側が相場に近い金額を払うと譲歩しても、相手方がなかなか応じないケース。

裁判官から、こちら側に「もう少し金額を上げられませんか」と相場以上の譲歩を迫ってくる。

「これ以上の譲歩は無理ですよ、金額は十分に上げてきたじゃないですか」



いやー、でも、相手もね、3000万円からかなり減額してくれてるわけですよ



「いや、その3000万円って不当に高すぎる請求ですから。そこがスタートっておかしいですから」



裁判官が本気で「相手が3000万円から譲歩した」と思っていたとしたら、日本でも高額請求をしてみる価値があるということになってしまいます。



そういうことはよろしくないだろうと思いますので、目的なく高額な慰謝料請求をされたときには、『プライスレス』を証拠提出しようと思います。

プライスレス 必ず得する行動経済学の法則
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則










ほんのむかし、あるところに、ベンゴシと相談者がいました。



相談者は「慰謝料は100万円くらいですかね?」と聞きました。



ベンゴシは答えました。

「高めに請求をした方が良いですよ。低すぎる金額を請求しても、相手に無視されちゃうかもしれないし」



じゃあ、150万円くらいですかね



「いやいや、もっと高めに請求しておいた方が良いですよ。

 そうそう、この本を見なさい。プライスレス。

 高い請求をした方が、最終的に認められる金額は多くなるそうだよ」



え、じゃあ、いくらくらい?



「3000万円くらい請求してみようか」



そ、そんなに?



「いやいや、これはもらえる金額ではないですよ。

 これくらいの請求をすることで、最終的にもらえる額が増える可能性があるということです」



ホントですか?いくらくらい増えるんですかね?



「それは裁判官次第なので、何とも言えませんよ」



うーん、よし、じゃあ3000万円請求して下さい



「じゃあ、3000万円の裁判を起こす場合の印紙代が11万」



げっ、そんなにかかるんですか?



「あと、ベンゴシの着手金は、請求金額の5%だから・・・」



え、そこもそんなに!?



なーんて、事態にならないように注意して下さいね。







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2010/03/28(Sun) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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