弁護士石井琢磨です。
海老名のTSUTAYA図書館に好意的な記事をサクッと書いたら、いつもよりアクセスされていて驚きました。
※「TSUTAYA図書館・海老名の効果」
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-772.html
なかには、事務所のサイトまでアクセスしてくれたり、プロフィールを読み込んで批判してくれる方もいたようです。
興味持ってくれてありがとう、せっかくなので、本も買ってくれ。

私は、みなさんほどTSUTAYA図書館に愛はないです。
海老名市に税金も納めていませんし、
TSUTAYAが利益を上げようが、ビッグデータを得ようが、どうでもいいです。
プラスだと思ったのは、「人」と「本」の接点が増える点です。
出版業界の売上は下がってます。
リアル書店の数も減っています。
「本」というコンテンツが減っていく傾向にあります。
これをもったいないと感じます。
なぜなら、「本」というコンテンツは、費用対効果、時間帯効果ともそこそこに高いから。
それなのに減っているのは、ネットとスマホの影響でしょう。
ネットにコンテンツはバラバラと溢れて、スマホでいつでもそこにアクセスできる。
あえて「本」に行かないですよね。
「本を読まない人」が「本を手にとる」までのハードルが今まで以上に高くなっているんですよ。
で、「本を読まない人」が、いきなり本屋に行って本を買いまくるか、というとですね、買わないんです。
これ、私の実体験です。
私は、20代後半まで本なんてほとんど読んでいませんでした。
専門書を別にすれば、数えるほどです。
30代で、年に数百冊読むようになりました。
あるブログを読んでいて、「ビジネス書を読んでみよう」と思い立ったのです。
ところが、「本屋で本を買う」という発想にならなかったのです。
本屋でマンガは買っていたけど、ビジネス書を買うという発想がなかった。
じゃあ、どこで本を手に取ったかというと、そう、最初は図書館だったんです。
私は受験時代に予備校に行っていなかったので、主な勉強場所が図書館でした。
「あそこで借りれば、タダでいいな」と思って、数冊ずつ借りたのが始まりでした。
でも、図書館って、欲しい本をすぐに読めるわけじゃないですね。
待たないといけない。
だんだんこれに耐えられなくなって、買うようになったのです。
どっかの本に「本は買った方がためになる」と書かれていたのも影響してます。
そして、最近では、年間100万円以上、書籍代で使ってます。
実体験から、「本を読まない人」が「本を買う」に移行する際の一つのクッションとして図書館は有効だと思うのです。
藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』という本を読みました。
偶然、武雄市のTSUTAYA図書館の話も少しだけ出ていました。
藤原さんも、高校生まで本を読んでいなかったそうなのです。
大学入試の国語で苦労した話もされています。
ところが、その後、本のまとめ買いもするようになり、年に100冊以上も読み、雑誌に書評も載ったりしています。
あるきっかけがあって、本を読もうという気になったそうなのですが、その際の行動が書かれています。
やっぱり図書館なんですよ。
図書館で本を読む人の一定数は、数百冊単位で本を買う人に移行する。
そうだとすると、「本を読まない人」を「図書館で本を読む人」に移行させれば、いずれそこから数百冊単位で本を買う人が出てくるはずなのです。
図書館に行くハードルを下げることで、「人」と「本」の接点が増えれば、いずれ本というコンテンツにお金を払ってくれる人が増えると思うのです。そうすると、本も質を維持できる。
私が「本を読もう」と思い立ったとき、最初に図書館を選んだのは、受験勉強をしていた場所、ということもあるのですが、小学校の夏休みにけっこう行っていたことも理由にあります。
なぜ、行ったのかというと、涼しいから。
我が家にはエアコンがなかったのですが、図書館にはある。
この話を裕福な同級生にしたら「マジメだな-」と言われました。
私が読んでいたのは手塚治虫などのマンガばっかりだったのですが、エアコンが家にある同級生には
「図書館=マジメ→自分と無関係」という式があったのです。
図書館に行くハードルが高いわけです。
家族が読書家で家に大量の本がある。
親が「人生に役立つ100冊の本」をプレゼントしてくれる。
家が本屋だ。
なんて環境でもないと、自然に本に触れる機会は少ないです。
そんなときに、図書館のハードルが低ければ、いずれ本を買う人が増える(or減るスピードが落ちる)のではないでしょうか。
『答えはすべて本に書いてある』

というように、たいていの人の悩みの解決方法は、どこかの本に書かれていると思います。
私も、本を読んでなかったら、たぶん潰れてましたね。
本というコンテンツは人類を救う力を持っていると思うんですよ。
人の悩みと、その解決方法がバラバラに散らばっていて、うまく出会えない。
これ、もったいないじゃないですか。
というのが、TSUTAYA図書館が出版業界にプラスなんじゃないか、という理由です。
ですので、別にTSUTAYA図書館じゃなくても、
GoogleとYahoo!とFacebookとLINEとAmazonと銀行、カード会社が組んで、マイナンバーを含む全データを共有して、
「あなたの悩みには、この1冊」なんてオススメしてくれるサービスが始まれば、それでも良いと思うのです。
ご相談は相模川法律事務所ホームページへ
弁護士石井琢磨twitter
海老名のTSUTAYA図書館に好意的な記事をサクッと書いたら、いつもよりアクセスされていて驚きました。
※「TSUTAYA図書館・海老名の効果」
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-772.html
なかには、事務所のサイトまでアクセスしてくれたり、プロフィールを読み込んで批判してくれる方もいたようです。
興味持ってくれてありがとう、せっかくなので、本も買ってくれ。

私は、みなさんほどTSUTAYA図書館に愛はないです。
海老名市に税金も納めていませんし、
TSUTAYAが利益を上げようが、ビッグデータを得ようが、どうでもいいです。
プラスだと思ったのは、「人」と「本」の接点が増える点です。
出版業界の売上は下がってます。
リアル書店の数も減っています。
「本」というコンテンツが減っていく傾向にあります。
これをもったいないと感じます。
なぜなら、「本」というコンテンツは、費用対効果、時間帯効果ともそこそこに高いから。
それなのに減っているのは、ネットとスマホの影響でしょう。
ネットにコンテンツはバラバラと溢れて、スマホでいつでもそこにアクセスできる。
あえて「本」に行かないですよね。
「本を読まない人」が「本を手にとる」までのハードルが今まで以上に高くなっているんですよ。
で、「本を読まない人」が、いきなり本屋に行って本を買いまくるか、というとですね、買わないんです。
これ、私の実体験です。
私は、20代後半まで本なんてほとんど読んでいませんでした。
専門書を別にすれば、数えるほどです。
30代で、年に数百冊読むようになりました。
あるブログを読んでいて、「ビジネス書を読んでみよう」と思い立ったのです。
ところが、「本屋で本を買う」という発想にならなかったのです。
本屋でマンガは買っていたけど、ビジネス書を買うという発想がなかった。
じゃあ、どこで本を手に取ったかというと、そう、最初は図書館だったんです。
私は受験時代に予備校に行っていなかったので、主な勉強場所が図書館でした。
「あそこで借りれば、タダでいいな」と思って、数冊ずつ借りたのが始まりでした。
でも、図書館って、欲しい本をすぐに読めるわけじゃないですね。
待たないといけない。
だんだんこれに耐えられなくなって、買うようになったのです。
どっかの本に「本は買った方がためになる」と書かれていたのも影響してます。
そして、最近では、年間100万円以上、書籍代で使ってます。
実体験から、「本を読まない人」が「本を買う」に移行する際の一つのクッションとして図書館は有効だと思うのです。
藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』という本を読みました。
本を読む人だけが手にするもの | |
![]() | 藤原 和博 日本実業出版社 2015-09-30 売り上げランキング : 184 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
偶然、武雄市のTSUTAYA図書館の話も少しだけ出ていました。
藤原さんも、高校生まで本を読んでいなかったそうなのです。
大学入試の国語で苦労した話もされています。
ところが、その後、本のまとめ買いもするようになり、年に100冊以上も読み、雑誌に書評も載ったりしています。
あるきっかけがあって、本を読もうという気になったそうなのですが、その際の行動が書かれています。
「図書館に行って、限度いっぱいに借りられるだけ借りてくる。それを机の上に積んでおいて、片っ端から読んでいく。」(111ページ)
やっぱり図書館なんですよ。
図書館で本を読む人の一定数は、数百冊単位で本を買う人に移行する。
そうだとすると、「本を読まない人」を「図書館で本を読む人」に移行させれば、いずれそこから数百冊単位で本を買う人が出てくるはずなのです。
図書館に行くハードルを下げることで、「人」と「本」の接点が増えれば、いずれ本というコンテンツにお金を払ってくれる人が増えると思うのです。そうすると、本も質を維持できる。
私が「本を読もう」と思い立ったとき、最初に図書館を選んだのは、受験勉強をしていた場所、ということもあるのですが、小学校の夏休みにけっこう行っていたことも理由にあります。
なぜ、行ったのかというと、涼しいから。
我が家にはエアコンがなかったのですが、図書館にはある。
この話を裕福な同級生にしたら「マジメだな-」と言われました。
私が読んでいたのは手塚治虫などのマンガばっかりだったのですが、エアコンが家にある同級生には
「図書館=マジメ→自分と無関係」という式があったのです。
図書館に行くハードルが高いわけです。
家族が読書家で家に大量の本がある。
親が「人生に役立つ100冊の本」をプレゼントしてくれる。
家が本屋だ。
なんて環境でもないと、自然に本に触れる機会は少ないです。
そんなときに、図書館のハードルが低ければ、いずれ本を買う人が増える(or減るスピードが落ちる)のではないでしょうか。
『答えはすべて本に書いてある』

というように、たいていの人の悩みの解決方法は、どこかの本に書かれていると思います。
私も、本を読んでなかったら、たぶん潰れてましたね。
本というコンテンツは人類を救う力を持っていると思うんですよ。
人の悩みと、その解決方法がバラバラに散らばっていて、うまく出会えない。
これ、もったいないじゃないですか。
というのが、TSUTAYA図書館が出版業界にプラスなんじゃないか、という理由です。
ですので、別にTSUTAYA図書館じゃなくても、
GoogleとYahoo!とFacebookとLINEとAmazonと銀行、カード会社が組んで、マイナンバーを含む全データを共有して、
「あなたの悩みには、この1冊」なんてオススメしてくれるサービスが始まれば、それでも良いと思うのです。
ご相談は相模川法律事務所ホームページへ
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弁護士石井琢磨です。
話題のTSUTAYA図書館・海老名に行ってきました。
https://ebina.city-library.jp/library/
商工会議所の近くなので、会議所内でやっている海老名の法律相談センターに行ったついでに寄ろうと思っていたら、年度内に予定がなかった(相談センターは、希望出しても、さっぱり担当になりませんねー)ので、海老名市役所の相談後に行ってみました。
駅からすると、図書館と市役所は全く逆方面なので、ついでって感じじゃなかったのですが、気にるので見て来ました。
ネット上では、「選書が悪い」とか「置き場所が悪い」とか叩かれていますが、空間は良かったですよ。
開放感があるつくりで、木の匂いがして、公共施設っぽくない照明。
何となく楽しくなる空間なのですね。
代官山の蔦谷書店に近い空気です。

1階にスタバと書店が入っていて、館内の検索機には、「借りる」か「買う」という選択肢が出てきます。
1階のビジネス書コーナーを見ると、図書館の本の、すぐ近くの棚に、書店のコーナー。
新刊と並べると、図書館の蔵書は古びて見えます。
今までの図書館好きな人からは、本が探しにくくなって不便になったのかもしれません。
1階では、物販もされていて、売り物なのか蔵書なのか、乱雑な感覚になります。
でも、ここで調べ物したりすると、アイデアがどんどん出てきそう。
明らかに右脳が刺激されます。
そういう空間なので、今まで来なかった人が新しく来る図書館になりそうです。
たぶん、この施設は、
今まで本を手に取らなかった人 → 本を手に取る
この間にあるハードルを下げる効果があると思います。
さらに、すぐそくに売り物の本が並列されている仕組みによって
本を借りる → 本を買う
というハードルも下げていると思います。
つまり、本を買う人を増やしそう。
きっと出版業界にプラスに働くでしょう。
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話題のTSUTAYA図書館・海老名に行ってきました。
https://ebina.city-library.jp/library/
商工会議所の近くなので、会議所内でやっている海老名の法律相談センターに行ったついでに寄ろうと思っていたら、年度内に予定がなかった(相談センターは、希望出しても、さっぱり担当になりませんねー)ので、海老名市役所の相談後に行ってみました。
駅からすると、図書館と市役所は全く逆方面なので、ついでって感じじゃなかったのですが、気にるので見て来ました。
ネット上では、「選書が悪い」とか「置き場所が悪い」とか叩かれていますが、空間は良かったですよ。
開放感があるつくりで、木の匂いがして、公共施設っぽくない照明。
何となく楽しくなる空間なのですね。
代官山の蔦谷書店に近い空気です。

1階にスタバと書店が入っていて、館内の検索機には、「借りる」か「買う」という選択肢が出てきます。
1階のビジネス書コーナーを見ると、図書館の本の、すぐ近くの棚に、書店のコーナー。
新刊と並べると、図書館の蔵書は古びて見えます。
今までの図書館好きな人からは、本が探しにくくなって不便になったのかもしれません。
1階では、物販もされていて、売り物なのか蔵書なのか、乱雑な感覚になります。
でも、ここで調べ物したりすると、アイデアがどんどん出てきそう。
明らかに右脳が刺激されます。
そういう空間なので、今まで来なかった人が新しく来る図書館になりそうです。
たぶん、この施設は、
今まで本を手に取らなかった人 → 本を手に取る
この間にあるハードルを下げる効果があると思います。
さらに、すぐそくに売り物の本が並列されている仕組みによって
本を借りる → 本を買う
というハードルも下げていると思います。
つまり、本を買う人を増やしそう。
きっと出版業界にプラスに働くでしょう。
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- TSUTAYA図書館・海老名の効果
- 横浜弁護士会のサイトにコラムがアップされました
- 弁護士の流動性が高まっている
- 首都圏弁護士会支部サミットin小田原における広報活動
弁護士石井琢磨です。
先週、AV違約金問題が話題になっていました。
女性が芸能プロダクション等と契約
→AV出演を求められ、断る
→プロダクションから女性に対し違約金請求
この請求が裁判まで発展していたところ、9月上旬に東京地裁が請求を棄却。その判決が確定したということで、記者会見が開かれ報道されていました。

この問題は、私が弁護士になったばかりの十何年前にも同期の弁護士との間で話題になっていました。
一応、契約上は、違約金請求が認められそう。
契約を無効にできる事情まではない。
などの建前論を話し合った後、
「でもさー、裁判になったときに、裁判官が『AVに出ろ』って判決を書くとは思えないよね」
という常識論で、当時は、酒と共に飲まれていってしまったのですが、
常識論の判決が出たようで良かったです。
今回の判決文は見当たらなかったのですが、女性の代理人弁護士の記事によれば、
判決では、
プロダクションと女性との間で結ばれた営業委託契約を雇用類似の契約と認定。
そのうえで、雇用契約を解除する「やむを得ない事由」(民法628条)を認めたとのことです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151001-00049989/
AVは、出演者である被告の意に反してこれに従事させることが許されない性質のものなのに、これを強制されるのでは「やむを得ない事由」があるとされたわけですね。
代理人弁護士の記事では、意思に反していることを証拠化しておくのが大事とされています。
まさにそうですね。
メールやLINEなどで形に残しておくべきだと考えます。

この件の報道では、悪質商法の勧誘と同じ手口が紹介されていました。
たとえば、こんな感じ。
女子高生や大学生が繁華街で、「芸能事務所のスカウト」や「テレビ番組の出演」を理由に勧誘され、断り切れずに事務所や 車の中に連れて来られる。
「年齢確認のため」という理由で、学生証や免許証などのコピーを取られる。
その後、複数の男に囲まれるなどして、服を脱いで写真を撮影される。
身分証明書とともに写真を公表すると言われ、契約書へサインさせられる。
契約書にサインをしてしまうと、それを理由に、アダルトビデオへの出演を求められる。
撮影が終わると、女性側は数千円の謝礼を受け取らされたり、領収書にサインさせられたりする。「合意のうえでの撮影だった」と主張するための証拠として使われる。
少しずつ外堀を埋めて断れない状況に追い込んでいく手口は悪質商法そのもの。
悪質商法なら、被害の大部分は、まあお金なわけですが、今回のケースではお金では取り返せない性質のものですからね。
気をつけないといけません。
一方で、このような、「AV業界けしからん」というムードには、業者側からの反論もあります。
『AVビジネスの衝撃』という本では、上記裁判の代理人弁護士の過去記事に対して、反論がされています。
「スカウトではなく、求人サイトで自分の意志でプロダクションに応募できるようになって、現在は自らAV女優になりたいという女性が激増している。人権派の弁護士事務所に駆け込むような"意に反して出演し続ける”女性をプロダクションは所属させる必要はないし、女優に前向きに働いてほしいAVメーカーはキャスティングしない。わざわざ、このような危なっかしい女性を使う必要性がないのだ。」
この本の中では、10年以上前には悪質な勧誘が横行していたことも指摘されていますが、今は需給バランスが変わったと主張されています。
ただ、悪質な勧誘手法の一般的な傾向としては、流行していた手口が急に消えることは少ないです。
減ったとしても、ゼロにはなりにくい。
まして、この本の中では、AV業界は経営が厳しいことが繰り返し書かれています。
おそらく、以前は、ものすごい数の被害が遭った。
それが減っては来ている。
ただ、ゼロではなく、被害者がいて、被害団体にもアクセスできるようになり、救済者が増えている。
という話なのではないでしょうか。
プロダクション側も意に反する女性を所属させる必要性はないということですので、誤解されぬよう多額の違約金条項なんかは契約書から削除しておくとよろしいかと思います。
ご相談は相模川法律事務所ホームページへ
弁護士石井琢磨twitter
先週、AV違約金問題が話題になっていました。
女性が芸能プロダクション等と契約
→AV出演を求められ、断る
→プロダクションから女性に対し違約金請求
この請求が裁判まで発展していたところ、9月上旬に東京地裁が請求を棄却。その判決が確定したということで、記者会見が開かれ報道されていました。

この問題は、私が弁護士になったばかりの十何年前にも同期の弁護士との間で話題になっていました。
一応、契約上は、違約金請求が認められそう。
契約を無効にできる事情まではない。
などの建前論を話し合った後、
「でもさー、裁判になったときに、裁判官が『AVに出ろ』って判決を書くとは思えないよね」
という常識論で、当時は、酒と共に飲まれていってしまったのですが、
常識論の判決が出たようで良かったです。
今回の判決文は見当たらなかったのですが、女性の代理人弁護士の記事によれば、
判決では、
プロダクションと女性との間で結ばれた営業委託契約を雇用類似の契約と認定。
そのうえで、雇用契約を解除する「やむを得ない事由」(民法628条)を認めたとのことです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151001-00049989/
AVは、出演者である被告の意に反してこれに従事させることが許されない性質のものなのに、これを強制されるのでは「やむを得ない事由」があるとされたわけですね。
代理人弁護士の記事では、意思に反していることを証拠化しておくのが大事とされています。
まさにそうですね。
メールやLINEなどで形に残しておくべきだと考えます。

この件の報道では、悪質商法の勧誘と同じ手口が紹介されていました。
たとえば、こんな感じ。
女子高生や大学生が繁華街で、「芸能事務所のスカウト」や「テレビ番組の出演」を理由に勧誘され、断り切れずに事務所や 車の中に連れて来られる。
「年齢確認のため」という理由で、学生証や免許証などのコピーを取られる。
その後、複数の男に囲まれるなどして、服を脱いで写真を撮影される。
身分証明書とともに写真を公表すると言われ、契約書へサインさせられる。
契約書にサインをしてしまうと、それを理由に、アダルトビデオへの出演を求められる。
撮影が終わると、女性側は数千円の謝礼を受け取らされたり、領収書にサインさせられたりする。「合意のうえでの撮影だった」と主張するための証拠として使われる。
少しずつ外堀を埋めて断れない状況に追い込んでいく手口は悪質商法そのもの。
悪質商法なら、被害の大部分は、まあお金なわけですが、今回のケースではお金では取り返せない性質のものですからね。
気をつけないといけません。
一方で、このような、「AV業界けしからん」というムードには、業者側からの反論もあります。
『AVビジネスの衝撃』という本では、上記裁判の代理人弁護士の過去記事に対して、反論がされています。
「スカウトではなく、求人サイトで自分の意志でプロダクションに応募できるようになって、現在は自らAV女優になりたいという女性が激増している。人権派の弁護士事務所に駆け込むような"意に反して出演し続ける”女性をプロダクションは所属させる必要はないし、女優に前向きに働いてほしいAVメーカーはキャスティングしない。わざわざ、このような危なっかしい女性を使う必要性がないのだ。」
AVビジネスの衝撃 (小学館新書) | |
![]() | 中村 淳彦 小学館 2015-07-31 売り上げランキング : 3191 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本の中では、10年以上前には悪質な勧誘が横行していたことも指摘されていますが、今は需給バランスが変わったと主張されています。
ただ、悪質な勧誘手法の一般的な傾向としては、流行していた手口が急に消えることは少ないです。
減ったとしても、ゼロにはなりにくい。
まして、この本の中では、AV業界は経営が厳しいことが繰り返し書かれています。
おそらく、以前は、ものすごい数の被害が遭った。
それが減っては来ている。
ただ、ゼロではなく、被害者がいて、被害団体にもアクセスできるようになり、救済者が増えている。
という話なのではないでしょうか。
プロダクション側も意に反する女性を所属させる必要性はないということですので、誤解されぬよう多額の違約金条項なんかは契約書から削除しておくとよろしいかと思います。
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弁護士石井琢磨です。
1年ほど前に購入したiPhone6。
なめらかな手触りゆえ、よく落としていました。
何十回も。
ただ、保護フィルムを貼っていたので、無事でした。
今までは。
ところが、新機種が発売されたこのタイミングで破損。

見送りを決めていた新機種・iPhone6sを買え、という天啓としか思えません。
というわけで、しかたなく機種変更してきました。
今回の新機種は、サイズ変更もなく、見かけ上、ほとんど変わらず。
よく使っているタイマーの「開始」ボタンと「一時停止」ボタンの位置が左右逆になっているのは何なんでしょう。

新機種を持って来た店員さんが、2台並べて自信満々の笑みを浮かべました。
店員「見かけ上、あまり変わっていないように見えますよね?」
私 「そうですね(何かあるのか?)」
店員「ところが、今回、iPhone史上、初めてのことが起きたんです!」
私 「そ、それは何ですか?」
店員「iPhoneのこの背面を見てください!「s」の文字が入ってます!!
これはiPhoneのsシリーズで初めてのことなんです!」

私 「あ、そう」
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1年ほど前に購入したiPhone6。
なめらかな手触りゆえ、よく落としていました。
何十回も。
ただ、保護フィルムを貼っていたので、無事でした。
今までは。
ところが、新機種が発売されたこのタイミングで破損。

見送りを決めていた新機種・iPhone6sを買え、という天啓としか思えません。
というわけで、しかたなく機種変更してきました。
今回の新機種は、サイズ変更もなく、見かけ上、ほとんど変わらず。
よく使っているタイマーの「開始」ボタンと「一時停止」ボタンの位置が左右逆になっているのは何なんでしょう。

新機種を持って来た店員さんが、2台並べて自信満々の笑みを浮かべました。
店員「見かけ上、あまり変わっていないように見えますよね?」
私 「そうですね(何かあるのか?)」
店員「ところが、今回、iPhone史上、初めてのことが起きたんです!」
私 「そ、それは何ですか?」
店員「iPhoneのこの背面を見てください!「s」の文字が入ってます!!
これはiPhoneのsシリーズで初めてのことなんです!」

私 「あ、そう」
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