「ノックお断り」の表示を無視して営業、罰金550万円のステッカー記事
弁護士石井琢磨です。

2013年12月に、オーストラリアのニュースで、
「ノックお断り」の表示を無視して営業、罰金550万円
というものがありました。
http://www.afpbb.com/articles/-/3005060

訪問販売はやめてね
というステッカーを貼っていたのに、これを無視する勧誘に罰金を払わせたものだそう。

この罰金額は、勧誘会社と営業マンの派遣元会社の2社合計額のようです。


日本では、傷害罪や窃盗罪の罰金上限が50万円(他に懲役になる可能性はあり)なので、550万円というのは高いかと思いきや、
カネが絡む犯罪では罰金額は高く設定されています。

独占禁止法や金融商品取引法の罰金刑は高額ですし、訪問販売等を規制する特定商取引法でも、虚偽の事実を伝えて勧誘したような場合には、罰金の上限は300万円とされています。

ただ、望まない勧誘をしただけで、550万円というのはやっぱり高い!という印象を受けます。



この事件について、消費者法ニュース99号で解説されていたので、紹介。
DSC00057.jpg




ここまで高い罰金が科せられたのはなぜでしょうか?

記事によれば、このステッカーには次のような特徴があるそうです。

1 このステッカーは国の機関が作って配っているもの

2 ステッカーには「悪質な勧誘はやめて」とか「迷惑勧誘はやめて」というように、限定がない。
とにかくノックするな
「敷地から直ちに退去してください」
というストレートなもの。

3 ステッカー自体に「訪問販売イヤだ」という人を支援する旨が書かれている


DSC00058.jpg



国をあげて、訪問販売を広く拒絶しようとしているのです。日本よりも強い保護。

ここまで消費者を保護しようとするのは、
・国民が弱い=断れない
・営業マンが強い
のどちらかだと思われます。

私がオーストラリアに行った9年前には、現地の日本人が、
「オーストラリアはアバウトだよ。
 営業時間内でも早く終わっちゃうことがある」
と言っていて、営業熱心さは全く感じませんでした。

だとすると、断れない人が多いのでしょう。


日本人も世界では「NOと言えない」というイメージがありますが、勧誘お断りステッカーの力はとても弱く、地方自治体によって少しずつ始まったばかりです。

参考記事:訪問販売お断りのステッカー


効果を上げるには、オーストラリア並みのインパクトが必要ですね。



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2014/06/24(Tue) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
タイムリミットを活用した交渉例
弁護士石井琢磨です。

リーダーのための伝える力 何が伝われば組織は変わるのか?
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こちらの本に、タイムリミットを活用した交渉例が載っていたので紹介します。


著者が米国のソフト会社と、契約で揉めてしまったときのこと。

有利な条件で交渉をまとめるにはどうすれば良いか考えながら、調査資料に目を通します。
すると、1週間後に、相手会社の社長の奥さんの誕生日が迫っていたそう。

そこで、その日を交渉日に選んで提案します。

この狙いは2つ。

1つは、


奥さんの誕生日なら、どこかに出張しているはずはない。必ず地元にいる。先約がなければ、交渉に応じるだろう
(137ページ)



狙いどおり、相手は交渉のテーブルにつきます。


もう1つは、タイムリミット。


そして当日。私は議論をわざと長引かせた。米国社会は奥さんをとても大事にする。
誕生日のディナーの約束は絶対に外せない最優先事項だ。議論が長引き、夕刻に近づくにつれて社長が時間を気にしてそわそわし出すのがわかった。それでも結論を急がない。
すると、痺れを切らした社長が言った。
「今日は女房の誕生日でね。申し訳ないが、もう行かないといけないんだよ」
私は内心、にやりとしながら、困った顔でこう返した。
「でも、契約だけはお願いしますよ」
(138ページ)



こうして、著者は有利な条件でまとめたのです。

しかも、その後、相手の奥さんへとプレゼントも渡す気配りで、心を掴んでいます。



相手に「ここまでに話をまとめないといけない」というタイムリミットがある場合、その情報はとても大事です。

相手があせるほど、妥協してもらえやすくなりますから。
逆に、自分側にタイムリミットがある場合には、この情報は守らないといけません。

詳しくは、こちらの本の、
プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法
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18 タイムリミットを逆手に取る
23 交渉は情報戦!

あたりをチェックしてみてくださいね。


それにしても、相手の社長が、愛妻家で良かったですね~

「妻とディナーなんて、面倒くさい・・・
 そうだ、大事な仕事でどうしても抜けられなかったことにしよう。
 議論よ、もっと長引け!」

なんて人だったら、
交渉はまとまらないわ、奥さんから恨まれるわ、踏んだり蹴ったりな結果になってしまったでしょう。

形だけのタイムリミットではなく、その相手がどんな欲求を持っているのかまで考えるのが大事!


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2014/06/17(Tue) | 交渉術 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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