「秘密にするとだまされる」の法則
弁護士石井琢磨です。

吹雪のなか、雪合戦をして右肩を痛めました。


さて、先日、日経新聞で、「だまされたふり作戦」が悪用されてだまされる、という事件が大きく報道されていました。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2901U_V00C14A2CC1000/
この種の事件は、3,4年前から起きています。


まず、「だまされたふり作戦」って何?



オレオレ詐欺が広く知られるようになったことから、怪しい電話があると警察に相談、連携して「だまされたふり」を続け、現金を取りに来た犯人を逮捕するという作戦です。

現金を手渡しにする方法だと、逃げられてしまえば、撮影でもしていないと手がかりがありません。
だから、「だまされたふり」で現場を押さえる。

警察としては、この「だまされたふり作戦」で、犯人の一部を逮捕し、そこから主犯者を探るのが数少ない検挙方法となっています。

これが今回も悪用されたということ。


「だまされたふり作戦」でだます



どういう方法かというと

・オレオレ詐欺の電話「オレだけど、金が必要・・・」
・警察からの電話「今のは詐欺だ。かの有名な、だまされたふり作戦に協力して欲しい。捜査員がいるから安心して金を渡してほしい。すぐに逮捕できるから」

と言って、安心して現金を渡させるというもの。


次は、「だまされたふり作戦」を悪用してだます作戦にだまされたふりをする作戦・・・とややこしいことにもなりそうです。

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今回の事件、パッと見ると、「あの未公開株持ってたら高く買います」の直後に「未公開株いりませんか?」というような劇場型の手口の一つ。

しかし、劇場型の中でも、今回のケースで警察を装うのは、かなりだまされやすい。

なぜなら、秘密性があるから。


外部と遮断する



もともと、詐欺や悪質商法で成功率を高めるには、

本人だけに判断させる

のが有効と言われてきました。

家族に相談させない。
冷静な第三者に相談させない。

そのため、詐欺師たちは、
・ケータイの登録先を変更させたり
・判断を急がせたり
・「利益出てから、ご主人を驚かせましょう」と家族への相談を封じたり
・同居家族がいない高齢者を狙ったり
して、外部との相談・接触をさせないようにしてきたのです。

恥ずかしくて相談できない内容では、だまされやすいのです。

未成年男子がアダルトサイトのクリックで、どれだけ慌てているか。


あっさり秘密にできる



この「外部へ相談させない」ために、「秘密性を持たせる」のは有効


今回の事件では、普段は高いこのハードルをあっさりクリアできちゃうのです。


「捜査だからナイショね」

のひと言で。


「秘密捜査だから、ご家族にも伝えないでください」
「秘密捜査だから、銀行でお金をおろすときにも、捜査のことは言わないでください」

すごいラクなのです。

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捜査=秘密っぽい

という世間のイメージ
を使って、簡単に外部との接触を断てるのです。


情報がないと判断を間違える



外部と遮断されて情報が入ってこなくなると、判断を間違えるのは歴史を見てもわかります。

最近読んでいる『風雲児たち』でも、江戸時代から幕末にかけて、外部からの情報が入ってこないことによる悲劇がこれでもかと描かれています。

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たとえば、庶民が飢饉で苦しんでいるのに、将軍には情報が来ず豪華な行事をしちゃって不満を持たれるのです。
「自分もガマンしてるんだから、この行事くらいいいだろう」と判断しちゃうのです。

遮断された状況で判断するのは危ない。


では、私たちはどうすれば良いのか



他人と遮断されるのが危ないのであれば、
・強制的に他人と接触できる仕組みを作る
という方法があります。

「預金の窓口出金」も、他人と接触する仕組みのひとつ。
実際、窓口の対応で防げている例も多く報道されています。

さらに突き進めるのであれば、財産を他人に管理させるのも一つの方法ですよね。
ただ、これ自体にも、その他人を信用できるのかという問題はあります。

また、常に相談できる人を持てれば良いのですが、そううまくはいかない。

警察から「秘密」と言われた内容を、すべてオープンにできる人間関係は、多くの人にはないでしょう。

そうだとすると、私たちは
・自分の中に、他人性を作る
しかないのではないでしょうか。

一時的な感情を、客観的に見てくれる他人を、自分の中に持っておく。
感情的になったときは、その他人を発動させる。


「理性くん」と呼んでも良いのかもしれません。

彼をふだんから鍛えておく。そして、彼が出てくるようスイッチを押す仕組みを作っておく。

こうしないと、「秘密性」を武器に攻められた際に、闘えなくなってしまうのではないでしょうか。


日常生活でも、感情くんが暴れ出したら、他人の理性くんに出てきてもらう訓練をしてみてはいかがでしょうか。



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ええ、「何十年ぶりかの雪だ!雪合戦だ!」と十代並みの感情が暴れ出した際に、「落ち着け、お前の肩はもうアラフォーだ」と理性が出てきてくれていれば、こんなことにはならなかったのに、という自戒の記事です。

みなさんも、何十年ぶりかの雪の際にはお気をつけて。



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2014/02/10(Mon) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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