『宇宙兄弟』と意思疎通
弁護士石井琢磨です。

映画化で話題のマンガ『宇宙兄弟』18巻までを休日に一気に読みました。

宇宙兄弟 コミック 1-17巻 セット (モーニング KC)
宇宙兄弟 コミック 1-17巻 セット (モーニング KC)



宇宙を目指す兄弟の話。
成長モノ、アイデアモノとしても楽しめますが、「意思疎通」がテーマとして取り上げられているのが興味深かったです。

宇宙空間では、当然、意思疎通はしにくい。これはわかりますよね~。

さらに、このマンガでは、宇宙空間以外でも、意思疎通の難しさがたくさん描かれています。

ギャグとして表現されている箇所が多いですが、主人公が伝えようとしたメッセージが誤解されて受け取られてしまう。
ときには良いように受け取られ、過大評価されてしまうこともあります。

私たちは、地球上で、同じ言語を使っているのに、意思疎通が不十分なことがほとんど。

その事実を再認識させられました。


法律の話を相談者にしてもうまく伝わらないこともありますし、伝わったと思いつつ、行動結果を見たら伝わっていなかった、ということも多いです。

直接面談よりも電話、電話よりメールの方が意思疎通が不十分になりやすいとはよく言われます。
情報量がどんどん少なくなっていきます。

メールや電話で色々と話をして、いざ面談してみたら、「ぜんぜん話が違うじゃないですか」という経験は一度や二度ではありません。

だから、多くの法律事務所では、直接面談しての相談を原則にしていますし、電話やメール相談にチャレンジして挫折してしまうことが多いのでしょう。

うちの事務所でも、「電話で教えて欲しい」と頼まれることがあるのですが、誤解を与えてしまう可能性が高いことから、今の所は応じられていません。
しかし、この意思疎通問題を乗り越え、ニーズに応えるためのヒントを『宇宙兄弟』から得ることができました。
うまく活かせれば、便利なサービスが提供できそうです。

マンガはまだまだ続きそうな展開ですので、今後もチェックする予定です。


宇宙兄弟 コミック 1-17巻 セット (モーニング KC)
宇宙兄弟 コミック 1-17巻 セット (モーニング KC)

関連記事
2012/06/27(Wed) | 雑談 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
探偵トラブル
弁護士石井琢磨です。


『月刊国民生活3月号』に掲載されていた、出会い系サイト詐欺×探偵トラブルの紹介です。

家族に秘密で出会い系サイトを利用し、「お金をあげる」と言われて、200万円を払う。
おかしいと気づき、返還交渉を探偵に依頼。
探偵業者からいつの間にか弁護士に依頼がされたよう。
被害者自身は弁護士に依頼した意識なし。

探偵業者は、依頼内容を家族に話してしまう、
弁護士は「カード会社に連絡した」と言いつつも、キャンセル処理はされていなかったことが後日判明。

何重にも被害に遭ってしまったケースです。
守秘義務違反の探偵って、ものすごく致命的な気が・・・


『月刊国民生活』に掲載されている事例ですから、この被害者は、センター経由で連絡し、解決してもらったというものです。


探偵業者によるトラブルは国民生活センター等のホームページでも被害報告されています。
業者からの紹介により本人確認が不十分な状態での弁護士活動・・・少しずつ提携に近い臭いがしてきています。

こういう事例情報がサイト業者側にも行っているのか、事務所で「サクラサイト被害全国連絡協議会」に入ってしっかり活動している弁護士に対しても、

「どういう経緯で受任したのか?」
「誰の紹介か?」
など追及してきて、本格的な話に踏み込むまで時間がかかる事態になっています。

怪しい活動をされると普通の活動も制限されてしまうのです。

被害に遭った場合は、まず二次被害に遭わないよう気をつけて下さいね。


関連記事
2012/06/23(Sat) | 消費者問題 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
受刑者を雇うということ
お好み焼き屋



弁護士石井琢磨です。

小さな本屋で出会った一冊。
『それでええやんか』

それでええやんか!
それでええやんか!中井政嗣

潮出版社 2012-04-04
売り上げランキング : 20601


Amazonで詳しく見る
by G-Tools




地元の本屋だったら、素通りしてしまう本ですが、お店のプッシュにより購入してしまいました。

お好み焼き店のスタッフ育成について書かれた本ではあるのですが、すごいのは、この方、刑務所に求人情報を出しているのです。

つまり、受刑者が刑務所から出た後、就職させ、社会復帰させる。

著者は言います。

「過去は過去として、素直で誠実ならその人は必ず伸びるものである。」

心強い言葉!


私たちが刑事弁護の現場で感じているのは、犯罪を繰り返してしまう人たちの存在。
その原因には社会復帰がうまくできないことがあげられます。

刑事裁判では、被告人に有利な事情をアピールする活動として、被告人の更生に役立つ人に「しっかり見ていきます」と証言してもらうことがあります。
もっとも多いのは家族による証言。身近な人が監督することで犯罪は防げる確率が上がります。

次に多いのが、雇用主。

つまり、被告人の更生にとって、社会復帰後に職場が確保されているかどうかは重要なのです。

他の事情もありますが、
一審が実刑判決だったのに控訴審で職場の社長に証言をしてもらったことなどから執行猶予判決になったケースや、
もともと裁判員裁判対象事件という重い罪で逮捕されたのに、最終的に住み込みで働ける職場が確保でき執行猶予判決で社会に戻れたケースなど、
職場の確保によりうまく社会復帰できたケースはたくさんあります。
証言してくれる雇用主は、情に厚い人であることがほとんど。

「自分が関わった人のため少しでも力になりたい」と言ってくれます。

さらに、本の著者のように、前科がある人たちを何人も受け入れている会社があります。
私が知り合った方は、自分も過去に悪いことをしていて社会復帰できたので、その恩を社会に返したい、と言っていました。
受刑者がうまく社会復帰できれば再犯者が減り、社会が良くなります。

『それでええやんか』の中では、犯罪の原因について触れています。


面接した四人のなかで採用することにしたのは残念ながら二人だが、四人に共通していたのは、家庭の崩壊が犯罪を犯す大きな要因になっているということだった。



要因が特定できているなら、改善できる可能性が高い。


もちろん残念な例もありますが、人を雇う立場の方は、過去は過去、として考えてあげてくれると社会が助かります。

社長!ぜひ読んでみてください。

それでええやんか!
それでええやんか!




関連記事
2012/06/14(Thu) | 刑事事件 | トラックバック(2) | コメント(0) | page top↑
奨学金を借りる前に考えておきたいこと
弁護士石井琢磨です。

自分に合った奨学金を探すことができるというサイトがあります。
http://studentship.jp/

統計局のホームページで公開されている資料によると、家計の教育費支出は減少傾向にあります。

教育費の推移



そこで、奨学金を利用して大学等に通いたい人もいるでしょう。

奨学金制度は、うまく使えばもちろん問題ありません。

ただ、法律事務所に相談に来る人のなかには、過去の奨学金の支払ができず、多重債務に陥っていたり、
急に保証人としての責任を追及されたりしている人も多くいます。

その現実を知りましょう。


日本学生支援機構のホームページ上に「平成22年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果」というページがあります。
このような調査がおこなわれていることから、貸与型の奨学金を利用して大学等に行ったものの、後に奨学金を返せなくなった人が多いことがわかります。

上記調査によると、奨学金を返せない理由の一番は、収入減。

返済者と滞納者の大きな境目は、年収200万円。

奨学金延滞



奨学金を利用したにもかかわらず正社員になれずパートやアルバイトで年収200万円未満の場合に、奨学金を滞納してしまうケースが多いのです。

貸与型の奨学金制度を利用する場合には、このような現実を知っておきましょう。
最近では、弁護士ですら研修期間中の借金に苦しんでいるという報道もあるのです。
http://biz-journal.jp/2012/06/post_229.html


奨学金には、貸与型よりも狭い門ですが、返さなくていい給付型の奨学金制度もあります。
これを使えるならチャレンジしてみた方がいい。
私も、中央大学で、給付型の奨学金をもらっていました。
学部で十数名という枠だったと記憶しています。

当時、中央大学では、給付型の奨学金をもらえるかどうかの基準が、学内で毎週おこなわれる司法試験対策用の論文模試で上位の成績を収めることでした。大学3年のときに、係の人に確認したところ、「学内で総合1位になればもらえるんじゃないの」と言われました。
当時、バイトも辞めていた私は、司法試験の本番に向けて現金が必要だったので、この数か月間、毎週行なわれる模試の成績で1位を取り、奨学金をもらおうと決意しました。

それまでの模試の成績はイマイチだったのですが、この決意をしてからは、かなりの確率で1位をとり続けることができ、奨学金ももらうことができました。
自慢したいわけではなく、重要なのは意識だということです。

他の学生が、「司法試験の模試」「練習」と考えて毎週受けていた試験に、おそらく私一人が「奨学金をもらうための手段」「仕事」と考えて挑んでいたのです。結果を出すことだけにフォーカスし、採点基準を分析し、いかに点を取るか、落とさないか、毎週、必死に食らいついていたのです。
もはや賞金稼ぎのような気分でした。そりゃあ、結果は出ます。

そうしているうちに、実力もついたようで、大学4年で司法試験に合格できたわけです。
ちなみに、司法試験模試の成績は良かった私も、大学の成績はボロボロで、単位は落とすわ、卒業は危ぶまれるわ、という状態でした。
どうやら、そんな成績の学生に奨学金を出すのはよろしくない、という話が出たようで、私が奨学金をもらった翌年からは、司法試験模試の成績だけではなく、大学の授業の成績も考慮されるよう変更されました。後輩には申し訳ないことをしてしまいました。

何が言いたいのかというと、給付型のような狭い門でも意識して狙ってみると、思わぬ効果をもたらしてくれるかもしれないよ、ということです。

安易に借りるのではなく、他の選択肢も検討してはどうかと。


また、そもそも、大学にお金を払って行く価値があるかどうかも考える必要があります。
奨学金という借金をしてまで行く価値があるのかと。

『思考力の磨き方』という本の中では次のような記述があります。

「大学は私たちが賢くなるための場所ではなく、大学教授を生活させるための場所である」



思考力の磨き方
思考力の磨き方日下 公人

PHP研究所 2012-03-22
売り上げランキング : 18701


Amazonで詳しく見る
by G-Tools




私は大学に通っていましたが、ほとんど授業には出ていませんでした。
私は多人数で授業を受けるというシーンが苦手なようで、直ちに睡魔に襲われる体質でした。
塾や予備校にも通えません。

だからといって、大学で得られたものがないわけではなく、周りが司法試験の勉強をしているという環境に身をおけたことは非常に価値がありました。

もちろん大学が提供している教育自体に価値を見出せるなら問題ありません。

それ以外に、大学卒業という学歴自体を手に入れるという意味もあるでしょう。

『反・学歴の成功法則』という本が出ているように、まだ学歴社会であるという事実はあります。
反・学歴の成功法則
反・学歴の成功法則



私も法律事務所の経営者になってから、「厚木高校卒業だから」、「中央大学卒業だから」、という理由で依頼が来ることがあります。
こう考えると、教育というコンテンツに価値がなくても、学歴自体を買うという発想もありだな、と。

このように、何でも金で買うという発想を突き進めると、色々と問題は出ます。

『それをお金で買いますか』
という本では、色々なものがお金で買える例を取り上げています。

それをお金で買いますか――市場主義の限界
それをお金で買いますか――市場主義の限界マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

早川書房 2012-05-16
売り上げランキング : 190


Amazonで詳しく見る
by G-Tools



「非暴力犯が特別料金を払うと、払わない囚人とは別の、清潔で静かな独房に入ることができる。」
「年会費を払うのをいとわない患者に対し、携帯電話の番号を教えて当日予約をとれるようにする「コンシェルジュ」ドクターがますます増えている」
「読書を奨励するために、ダラスの成績不振校は、子供たちが本を一冊読むたびにお金を払っている。」



このように多くのものがお金で買えると、問題が起きます。

著者は、問題の一つとして、腐敗を取り上げています。

子供に金を払えば本を読むかもしれないが、子供は仕事として本を読むようになり、読書自体の楽しみが奪われてしまう。
金のために本を読む腐敗した子供が出てきてしまうのです。
そう、腐敗した大学生であった私のように。

ものの価値をお金で考える、という発想はある程度は有効なのですが、やりすぎると腐ります。

ただ、奨学金を借りてまで行く価値があるのかは、やはり検討したほうが良いのだろうと思います。


というわけで、奨学金を探している人は、これらの点を気をつけながら検討してみてくださいね。

http://studentship.jp/



ご相談は相模川法律事務所ホームページへ

弁護士石井琢磨twitter

ランキング参加中です→人気blogランキングへ

関連記事
2012/06/11(Mon) | 雑談 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
なぜ自分の言い分が通らないのか
紛争


弁護士石井琢磨です。

裁判など紛争の当事者がよく言います。

「なんで、こんな簡単なことを裁判官が分からないのでしょうか」

「簡単に解決できる問題なんじゃないですか」

みなさんの立場から簡単に見えるのに、なかなか解決に至らないのはなぜでしょうか?



紛争には、「どのような事実があるか」のレベルの争いと、「それをどう評価するか」の争いがあります。

事実と評価の違いです。

そして、多くの紛争には「どのような事実があるか」で当事者間に争いがあるのです。


たとえば、「うちの夫は浮気をしているんです。だから慰謝料をもらいたい」という女性がいるとします。

浮気をしていれば、原則として、慰謝料を請求できます。

しかし、夫は言います。「いや、浮気してないから」

こうなると、妻は「浮気をしている」、夫は「浮気をしていない」と事実に争いがあります。

そのため、慰謝料が発生するかという「評価」をする前に、その対象となる事実を確定しないといけません。
つまり、浮気をしていたか否か。

自分の主張している「浮気をしている」という事実が認められれば、その後に「慰謝料が請求できる」という評価につなげるのはそんなに難しくありません(例外はありますけどね)。

当事者は、自分の主張している事実が当然に認めてもらえると考えてしまいがちです。
これを前提にすれば、紛争は簡単に解決できそうです。

しかし、裁判では違います。


証拠。


争いがある場合には、証拠から、どういう事実があったのかを認めていくのです。

だから、自分の主張している事実が認められることを前提に主張だけしていれば簡単に紛争が解決できる、とはならないのです。

みなさんも、上の例の「浮気」に自分の主張する事実を当てはめて考えてみてくださいね。


『ハーバード流交渉術』

ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!
ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!



という本で、岩瀬大輔さんが「訳者の言葉」に書いています。


これまでの私自身の経験を振り返ってみると、誰かと意見が対立し、合意に達することができないケースは、次の三つの場合でした。
1 前提となる事実認識が異なっている
2 結論を導くための考え方、あるべき基準に関する認識が異なっている
3 そもそも根底にある価値観が異なる




この1番です。

前提となる事実の捉え方が違っていると、紛争は簡単に解決できないんですよ。

なんで分かってもらえないのか?

と感じたときには、ちょっと離れた客観的な視点で事実を見つめ直してみてくださいね。


ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!
ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!ロジャー・フィッシャー ウィリアム・ユーリー 岩瀬 大輔

三笠書房 2011-12-10
売り上げランキング : 33514


Amazonで詳しく見る
by G-Tools





ご相談は相模川法律事務所ホームページへ

弁護士石井琢磨twitter

ランキング参加中です→人気blogランキングへ




関連記事
2012/06/07(Thu) | 法律情報 | トラックバック(2) | コメント(0) | page top↑
学歴と生活保護の関係 『ルポ生活保護』より
弁護士石井琢磨です。

最近、生活保護の報道が多かったので、先日、生活保護関連の記事をアップし、
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-606.html

その後、『反・学歴の成功法則』の書籍紹介で学歴についての記事をアップしました。
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-608.html


偶然、最近読んだ『ルポ生活保護』で、この2つに関連する情報があったので紹介しておきます。

ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)
ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)


学歴と生活保護の関係です。


母子家庭の調査結果では、一般の場合と比較して生活保護世帯では中卒者の占める割合が約3倍という数字。

「生活保護を受けている母子世帯の母親のうち中卒(高校中退を含む)は三四・三%、ほぼ三人に一人になる。これは全国の一般勤労者、パート、アルバイト、会社役員、自営業者を含む働く人に占める小・中卒者の割合(一一・一%)に比べると、三倍になる(二〇〇七年就業構造基本調査)」


さらに、生活保護を一旦受けたとして、そこから抜け出すまでの期間についても学歴で変わってくることが調査結果から明らかにされています。

「受給期間をみると、中卒五・五年、高卒四・一年、短大卒一・八年だった」

この数字だけ見ると、『反・学歴の成功法則』で成功する人が続くことで、生活保護受給者が減少するかもしれませんね。

生活保護の増加で苦しむ地方自治体は、この本を配って学歴弱者を救えば良いのです、はい。


『ルポ生活保護』より最後に引用します。

「生活保護に限らず、どこでも、制度を悪用しようとする不届き者がいる。そうした人を厳しくチェックし、排除することはどの制度にあっても当然、必要なことだ。だからといって、その制度や制度利用者を問題視することはおかしい。」


ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)
ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)本田 良一

中央公論新社 2010-08
売り上げランキング : 10463


Amazonで詳しく見る
by G-Tools





ご相談は相模川法律事務所ホームページへ

弁護士石井琢磨twitter

ランキング参加中です→人気blogランキングへ



関連記事
2012/06/03(Sun) | | トラックバック(1) | コメント(2) | page top↑
 ホームに戻る