『反・学歴の成功法則』とコンプレックスについて
弁護士石井琢磨です。

『反・学歴の成功法則』という刺激的なタイトルの本を読みました。

反・学歴の成功法則
反・学歴の成功法則



私は、学歴か反・学歴か、と問われれば、
地域の進学高校に行き(グラウンドが広かったから)、
年代が上の人には優秀だと誤解される中央大学法学部に行っている(キャンパスが広かったから)。
学歴派ということになるのでしょう。

そのため『反・学歴』と主張する、この本では、さぞかし攻撃されることになるだろうと構えながら読んだのですが、そんな攻撃的な本ではありませんでした。

本書の著者は、大学に行けず高卒というコンプレックスを抱え、銀行業界において大卒者と違う扱いを受けながらも成功した関下さん。

関下さんは、外資系銀行に転職する際、「短大卒」以上が募集要件なのに、正直に「高卒」と言って採用されてしまう。

就職活動で悩んでいる人は、次の本と併せて読めば、学歴を乗り越えられるはず。

20代で人生の年収は9割決まる
20代で人生の年収は9割決まる



『反・学歴の成功法則』によれば、関下さんが学歴を乗り越えられたのは、

心づかい

にポイントがあります。

関下さんは、転職活動の際にも、相手方の視点に立った活動をしています。
就職してからも、上司側の視点に立ち、心づかいを意識している。

「のりを持ってくるように言われたら、紙1枚をそえて渡しなさい」

のりを塗るということは、はみ出さないように下敷きにする紙が必要、ということです。
ほかにも、上司に、電話連絡の際に至急の折り返しメモを渡す際にも、心づかいを忘れていない。

私も事務所のスタッフの行動に感動させられることがよくありますが、その多くは、このような上司の行動を先読みした心づかい。

このような心づかいを習慣にすれば、学歴は乗り越えられるでしょう。


また、本書を読んで感じたのは、コンプレックスはエネルギーになるということ。
関下さんは、大学に行けなかったことにコンプレックスを感じ、形式的な学歴社会に反発しています。学歴と能力が必ずしも一致しないことを証明するために、多くの行動を起こしています。
高卒なのに、外資系銀行に採用されたのも、このエネルギーがあってのことだと感じました。

いま、何らかのコンプレックスを抱えて悩んでいる人は自信を持ちましょう。
それ、財産です。


さらに一つ。
本書を読んで、コンプレックスで悩みすぎていると見えないものがあるということを思い出しました。

私は、小学生の頃、肌が色白であることがコンプレックスでした。
私の弟は色黒でした。
バレンタインデーになると、色黒の弟は大量にチョコを持ち帰り、何も持ち帰らない私は、仕方なく反バレンタイン組織を結成しました。
そのとき、私は、この2例だけから「モテない原因は色白である」と論理的に考え、色黒になるべく日焼けを試みましたが、体質は変わりませんでした。
大人になって肌の色などどうでもよくなり、真実に気づきました。

「モテない原因は色白ではなく、別のところにあった」と。

このようにコンプレックスに悩みすぎていると、真実に気づくのが遅れます


コンプレックスに悩んでいる人、就職活動に悩んでいる人は、本書を読んで視野を広げてみてくださいね。

反・学歴の成功法則
反・学歴の成功法則




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2012/05/31(Thu) | | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
iPhone3GSでiOS5にアップデートしたら発熱してバッテリーが持たない
iPhone



弁護士石井琢磨です。

今さらですが、同様の症状が出る人がいるかもしれないので書いておきます。
iPhone3GSのiOSをバージョン5以降にアップデートした際のトラブル。

私は現在、約3年前に買ったiPhone3GSを使っています。
iPhoneをあまり追求しておらず、iOSがアップデートされても、まあ、気がついたらインストールするか、くらいの使い方です。

先日、何げなく、iPhoneをパソコンにつないだところ、「インストールするか?」と質問されたので、気分で「OK」としてみたら、
なんだか初期化されたようで、写真もメールも連絡先も全て消え工場出荷時の状態に戻ったようでした。
私のアップデートは、4.3.3から5.1.1だったようです。

いろいろと調べたところ、半年前くらいに同じ悩みを抱えた人がいっぱいいたようで、正規の方法としては、結局、バックアップを取っておいて、そこから戻すしかないようでした。
私の場合、連絡先は復元、メールは戻らず、写真は3ヶ月間分戻らず。

教訓としては、アップデートする前にバックアップ取っておけ、ということになるのですが、トラブルに遭って初めて検索するのですね。人間というものは。

データがなくなったことで落ち込みましたが、なくなったところで死ぬわけではないので受け入れました。

ところが、その後、iPhoneが発熱しバッテリーが3時間でなくなるという現象に陥りました。
iPhone4Sが発売されたときにバッテリー問題で騒がれましたが、そんなレベルではないです。
3時間しかもたないのでは使い物になりません。

そこで、バッテリーの消費量を減らすテクニックを大量に試してみましたが、大した効果はありませんでした。

最終的に、解決のための正攻法情報としてはこれしか見つかりませんでした。
https://discussionsjapan.apple.com/thread/10099064?start=0&tstart=0

もう一度、復元せよ、というもの。

この数日でiPhoneの使い勝手を元通りにしようと思って色々と試したのですが、再度、工場出荷時の状態に戻せ、という方法です。

3時間でバッテリーが切れるという状態がさらに悪化し、「残り20%です」という警告から2分で切れるという末期症状を迎えたため、しかたなく最終手段として、もう一度復元してみました。

復元後、数日間様子を見ていますが、微妙な状態です。

たまに急な発熱をし、一気にバッテリーが減ります
が、使っている時間の8割程度は以前と同じような消費量に戻りました。
3時間でバッテリーがなくなる、という問題は解消されました。

予告されずにiPhoneが使えなくなる時期が来るのは困りものですが、まあ8割は使えるので、新機種が出るまで騙し騙し使っていこうと思います。

それにしても怖いですね、アップデート。
クリックする前に情報を確認してくださいね。


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2012/05/29(Tue) | ツール | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
生活保護がなくて死ぬ
弁護士石井琢磨です。

生活保護の報道がやたらと目につきますね。

昔から言われている不正受給、詐欺の件も含めて、誰からも文句の出ない完璧な運用はできないのが現実でしょう。

それを前提に、何を重視して制度を良くしていくのか。

私はカネがないことによる死者を出さないことを重視すべきだと考えます。


知識がないためにカネがなくて死ぬ。

カネがなくて人を傷つける。

ひどい場合には命を奪ってしまう。


ここまで行かなくても、知識がないために、正当な権利を使えていない人をたくさん見ています。

扶養義務がある親族からも見放された人たち。

この人たちこそ、保護を受けなければ生きていけないのに。

怖いのは、不正受給などの話が出たときに、彼らが保護されなくなって死ぬことです。


生活保護の受給について問題がある場合、法テラスでフォローを受けることも可能です。
http://www.houterasu.or.jp/service/hoken_nenkin_shakaihoshou/seikatsuhogo/faq1.html

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2012/05/27(Sun) | news | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
「日本で盗むと3倍もうかる」の謎
統計


弁護士石井琢磨です。

先日、つぎのような報道がされました。

「日本で盗むと3倍もうかる」 韓国人2人組を窃盗で逮捕
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120514/crm12051414260022-n1.htm

記事によると、逮捕された韓国人は、韓国でも窃盗をしていたが、日本の方が3倍もうかるので、日本に入国して、マンションやアパートに侵入窃盗をしていたそうです。

3倍もうかる?
本当でしょうか?

ここ5年で円高は進みましたから、円の価値は上がっている。
ドルベースで見ると、ウォンの価値は下がっている。
韓国でウォンを盗むより円を盗む方が価値は高そう。
しかし、為替レートを見ても、3倍もの開きはなさそうです。

また、保険会社のレポートで、日本と韓国の一世帯あたりの正味資産では、日本の方が多いと報告されていたり
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_report/2007/ke0706.pdf
先進国のなかで、日本は、個人金融資産のうち現預金の割合が多いと言われたりはしています。
しかしながら、こちらでも3倍の開きは確認できません

「3倍もうかる」の根拠は何でしょうか?

ひとつ考えられるものとして、検挙率という数字があります。
簡単にいえば、犯罪をしたときに捕まる確率です。


韓国の検挙率が70~80%と報道され、日本の一般刑法犯の検挙率が数年前まで20%台でした(平成22年は31.4%、平成23年度版犯罪白書より)。
ここの開きが、およそ3倍です。

ひょっとしたら、この報道をみて、「韓国よりも日本の方が捕まる確率が3分の1だ、だから3倍もうかる」と考えたのかもしれません。

しかし、検挙率という数字は、その測り方によって大きく変わります。
そもそも、韓国の70~80%と報道されていた検挙率は、重い犯罪のみを対象としたもののようです。
窃盗については一定地域で50%前後という情報もあります(この数字は一次情報に当たっていません。韓国語のサイトを見たら、ナメック語にしか見えなくて断念しました)。

これでも3倍もの開きはありません


日本の窃盗罪に対する検挙率は、先進国のなかで高い方です。
犯罪白書に、日本、フランス、ドイツ、英国、米国の5ヵ国の比較データがありますが、
窃盗罪の発生率は一番低く、検挙率はドイツについで高いです。

以下は、平成23年度犯罪白書に記載されている図表です。

犯罪白書




グローバル視点では、日本での窃盗は決して捕まる確率が少ないとは言えません。


さらに窃盗罪の法定刑を簡単に見てみましょう。
日本
第235条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

韓国
第329条 他人の財物を窃取した者は、6年以下の懲役又は1千万ウォン以下の罰金に処する。

懲役刑は韓国が6年以下、日本が10年以下と、日本の方が重いです。

罰金刑は、えーっと・・・
現在の為替レートだと
1ウォンが0.07円
1万ウォンが700円
1000万ウォンは、70万円ですね。

ほら、罰金刑も韓国の方が重い。


というわけで、
韓国よりも「日本で盗むと3倍もうかる」なんて大間違い。

外国人のみなさん、こんな情報を真に受けて日本に盗みになんて来ないでくださいね。

逮捕された被疑者の独り言が一人歩きしないよう願いましょう。


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2012/05/17(Thu) | 刑事事件 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
勤務先が夜逃げして未払給料がある場合の立替払い制度
勤務先


弁護士石井琢磨です。

「突然、勤務先が倒産、給料も未払だよー」という相談をたまに受けます。


「お金は、ない所からは取れない」というのが業界の常識です。
倒産してしまった以上、未払給料を全額回収するのはむずかしい。

ただし、破産手続などにおいて、給料は、他の権利よりも優先されます。
内容によっては税金と同じような優先的立場になることもあります。

それ以外に、8割は立替払いをしてもらえます。
労働者健康福祉機構がこの事業を担当しています。
こまかい要件や範囲などは機構のサイトで確認できます。
http://www.rofuku.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/417/Default.aspx

この立替払いには、未払額について破産管財人から証明してもらう必要があります。
私たち弁護士が、この立替払いの制度に一番関わるのは、この破産管財人としてのシーンです。


このように、勤務先が破産など裁判所を使った法律上の倒産をした場合は、この制度を利用することで、8割の立替払いを受けることができます。
破産をした場合には、この制度利用について、勤務先の代理人や破産管財人が主導して進めてくれることが多く、従業員一人一人の手間は少なくて済みます。

問題は法律上の破産手続をしない場合です。

勤務先が倒産する、というなかにも、法律上の破産などをしないというケースがあります。



どういうケースが考えられるでしょうか?


社長が夜逃げした。
社長が行方不明。
社長が自殺して遺族は全員相続放棄。

そして、会社はそのまま放置。

どれも実際に聞く話です。

関係者がみんな困る。

このような場合、代表者がいないため、勤務先が自己破産の申立をすることができません。
厳密には、未払給料という権利を持っている従業員が、債権者としての立場で勤務先の破産を申し立てることもできますが、裁判所に払う費用も高く、現実的ではありません。


勤務先がこのようなことになってしまったとき、従業員として何ができるでしょうか?


勤務先が法律上の倒産をしない場合、従業員が、未払賃金の立替払いを受けることだけを考えるのであれば、労基署に事実上の倒産を認定してもらう方法もあります。
未払賃金立替払

この方法は、勤務先が中小企業であることが前提になりますが、

・勤務先の事業活動が停止し、
・再開する見込みがなく、
・賃金支払能力がない状態になった

場合に使えます。

労基署に認定申請書を提出して、「この会社は事実上倒産している」と認定してもらい、その後、立替払いをしてもらうのです。

私個人の印象として、この制度はあまり使われていないのではないかと思っていたのですが、先日、労働者健康福祉機構の人から教えてもらった情報だと、平成23年度の統計上、企業件数では、「事実上の倒産」が立替払い制度全体の47%を占めているとのことです。

意外に使われています。

勤務先が

社長が夜逃げした。
社長が行方不明。
社長が自殺して遺族は全員相続放棄。

のような状態になって、未払給料がある場合に、従業員として、まず使ってみる価値のある手続だと思います。


ただし、昨年、未払賃金立替払い制度を利用した詐欺事件があったことから、疑わしい事案は審査が厳しくなっています。

詐欺の輩のせいで
本当に未払給料があるの?
と疑われてはたまりません。

そのため、申請に必要な資料はしっかり残しておきましょう。
給料明細、源泉徴収票は一定期間とっておく。
雇用契約書などあればとっておく。
場合によっては賃金台帳の写しを確保する。


県内では不況型倒産が増えていると報道されました。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1205070015/

勤務先が万が一の事態になったときには、この制度のことを思い出すようにしてください。

労働者健康福祉機構のサイト




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2012/05/16(Wed) | 借金問題 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
ノルマと法律問題まとめ
弁護士石井琢磨です。

1週間にわたり、ノルマと法律問題について「ノルマの泣き言」シリーズをお伝えしてきました。
せっかくなので、まとめておきます。

1 銀座高級クラブノルマ事件(ノルマ未達成により懲戒処分で減給された)
2 出来高払い(ノルマ未達成で給料が減った)
3 強制買い取り(ノルマ未達成で買い取りを強制された)
4 ノルマとボーナス(ノルマでボーナスが減った)
5 能力不足による解雇(ノルマ未達成による解雇)
6 パワハラ(ノルマ未達成で怒られすぎ)
7 残業代と裁量労働制(ノルマと残業代)
8 過労で精神障害(ノルマと労災)

このようにノルマと法律問題について問題点をいろいろと書いてきました。
しかし、私自身、ノルマは良いものだと考えています。
私のような面倒くさがり屋は、自分自身にノルマを課すことで、行動することができます。
いや、ノルマでも課さないと、行動できないと言ってもよいでしょう。

人から課せられたノルマでも、それにより行動に結びつくなら、存在意義はあります。

問題なのは、人から課せられた不当なノルマだけなのです。

会社からノルマが課せられたとき、明らかに不当なものもあれば、一見して不当そうではあるものの、後にそれが自分の成長につながるものもあります。

その見極めこそが大切なのではないでしょうか。



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2012/05/14(Mon) | ノルマの泣き言 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言8 過労で精神障害
過労で倒れる


弁護士石井琢磨です。

過去7回にわたって見てきたノルマ法律問題シリーズも今回で終わりです。

今回はノルマによって考え得る最大の悲劇。解雇を上回る恐怖です。


最後の泣き言 「もうオレには ノルマしか見えねえ-」

そんなつぶやきをしながら仕事をしている人の中には、過労で倒れてしまう人もいます。

ひどい場合には働きすぎて過労死


ここ10年で増えているのが過労で精神を病み自殺してしまう過労自殺です。

精神障害等を理由とする労災請求件数は10年で約4倍に増えています。



仕事でケガをした場合、労災が認められます。

仕事で精神を病んだ場合も同様に労災が認められるのです。

ただし、精神的なものの場合、客観的に仕事が原因なのかわかりにくい。
労災は、労働者を業務上の災害から守るもの。

プライベートで悲しいことがあり、それで精神を病んでしまった方は補償の対象外となります。
しかし、精神的なものの場合、原因がなんなのか、ハッキリとわかるものではないのです。

そこで、厚生労働省では、精神障害の労災認定について基準をつくっています。
わかりやすい案内は、厚生労働省のホームページ上からダウンロードできます。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-15.html

この基準は、あくまで厚生労働省による行政上のものです。
この基準を満たさず労災が適用されない、と判断されたとしても、裁判で争っていくことは可能です。

裁判所では、必ずしもこの基準で判断するわけではなく、証拠から明らかにされた実態をみて判断し、行政上の判断を取り消すこともあります。

ただ、もちろん、基準を満たして裁判をせずに労災適用される方がラクです。

この労災認定のための要件は
1 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
2 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
3 業務以外の心理的負荷や個体的要因により発病したとは認められないこと

簡単に訳しますと、
1は、きめられた病気じゃないとダメ
2は、病気になる前半年間に、仕事でつらいことがあった
3は、プライベートが原因じゃないのかチェック
というものです。

この2番の、「仕事でつらいことがあった」にはいくつもの基準が挙げられています。
・仕事で、重大な事故を起こしてしまった
・自分の関係する仕事で多額の損失等が生じた
・顧客や取引先からクレームを受けた
などいくつかの事情が記載され、その事情ごとに、どの程度だったかを判断することになります。

その基準のひとつに、ノルマがあります。

・ノルマが達成できなかった
ことや
・達成困難なノルマが課された
ことが挙げられています。

ノルマが達成できなかったという結果だけではなく、
ノルマが課された、ということ自体が一つの基準になっているのです。

ノルマ労災


ノルマを課すこと自体は違法ではないという考えもありますが、このような労災の基準からすると、
あまりに過酷なノルマを課すこと自体が違法と判断されるリスクもあるでしょう。

裁判例をみても、ノルマうつ事件(長崎地裁平成22年10月26日判決)では、「ノルマの不達成につきペナルティ制度が存在しなかったからといって,厳しいノルマ設定による原告の心理的負担の程度が小さかったということはできず,むしろ,ノルマの不達成によりB部長から厳しい叱責を受けることが容易に予測される状況にあったことからすれば,厳しいノルマ設定により原告に心理的負荷を与えたものと認められる。」としており、ノルマの設定自体も労働者に心理的な負荷を与え、うつ病の原因になっていると判断しています。

裁判官の言葉 「前の年に比べてノルマが厳しすぎ」


このように、ノルマは、労災における精神障害等の判断基準の一つにもなっているのです。


ノルマで倒れたり、命を失うことは避けなければなりません。

ノルマごときで死んではいけません。


身体・精神に不調を感じる方は、早めに医療機関を受診するようにしてください。

「ノルマしか見えねえ」状態になったら要注意です。視野を広く。


最近、就活失敗し自殺する若者の数が4年で2・5倍になったとの報道がされました。
「そんなことで・・・」というのが社会人の感想ではないでしょうか。
端から見れば些細な悩みで人は命を絶ってしまうものです。

あなたの悩みも、端から見れば「そんなことで・・・」と言われるものかもしれません。

視野を広く



ときには休息もとりましょう。
『SPA!』でも読んで。

SPA!



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2012/05/12(Sat) | ノルマの泣き言 | トラックバック(2) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言7 残業代と裁量労働制
残業代



弁護士石井琢磨です。

もう少しだけ、ノルマについてお伝えします。
前回まで、ノルマ未達成によるマイナス面、給料減額、買い取り、解雇、怒られるなどの法的問題をお伝えしてきました。

今回はノルマを達成していても、問題になる点です。


今回の泣き言 「ノルマで働きまくっているのに、残業代が出ない!


厳しいノルマと一緒に問題になるのが、残業代です。

ノルマが厳しければ、多くの人は労働時間を増やして達成しようとします。残業時間も増える。

使用者が短期的な利益を目標にしている場合、残業代は抑えたいと考えるでしょう。
ノルマを課している理由が利益を上げることにあれば、売上が上がっても人件費というコストが上がっては効果が弱まります。


使用者側に向けて書かれた書籍のなかでは、残業代を回避するための方法が紹介されています。

そのなかの一つに、裁量労働制の採用があります。

一部の専門職では、仕事のやりかたや時間配分を労働者の裁量にまかせる必要があり、使用者が細かく指示するのに適していません。そのため、決められたルールの下で、残業時間を一定時間にみなすことができます。

この裁量労働制の適用範囲は少しずつ広がっています。

研究者、医師、デザイナー、記事・テレビ・ラジオの取材や編集のような仕事が対象になります。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html


このような制度があると、どうなると思いますか?

本当は適用されない業務にも、この制度を使おうとする会社が出てくるのです。


裁量労働制なのか?が争われる裁判のなかで、ノルマが取り上げられた事例があります。
システムエンジニアの仕事について、裁量労働制だとして残業代を払っていなかったケースです。

SEノルマ事件(京都地裁平成23年10月31日判決)では、労働者の仕事がシステムの設計といっても一部のみであって裁量が広く認められる性質のものではないことのほか、「タイトな納期を設定していたこと」や、一部の業務に「未達が生じるほどのノルマを課していた」ことから、裁量労働制の適用を否定し、残業代を支払うよう命じています。

裁判官の言葉 「裁量、かなりないよね

この裁判では、管理監督者だから残業代は払わないという主張もされていましたが、これも否定されています。

いわゆる名ばかり管理職として大きく報道された問題です。


厳しいノルマが課せられているのに、裁量労働制など残業代がカットされているという、ノルマのジレンマに陥ってしまっている人は、その制度が本当に適用されるのか、チェックしてみてください。



「いいものを作ろうと集中していると、時間がいつの間にか過ぎていく」旨のプロ発言をしていた『SPA!』の編集者さんから夜の1時にメールが来ていて、驚きました。


SPA!



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2012/05/12(Sat) | ノルマの泣き言 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言6 パワハラ
パワハラ



弁護士石井琢磨です。

これまでノルマ未達成による給料の減額や解雇、ボーナスの取扱について、法的な問題を取り上げてきました。

今回は、法的に問題といえるかどうか、微妙なテーマです。



ノルマが達成できないとき、解雇や買取を求められる、減給・・・など今まで扱ってきた問題より前に、なにがあるでしょうか?


ノルマが達成できなかったよー、あー、こんなんで会社に戻ったら・・・


そう



怒られる。



誰しも怒られたくありません。
私の周りには「私は怒られるのが大嫌いなのだ」と何度も主張する人物もいます。


今回の泣き言 「ノルマ達成できず、怒られた!


多くの上司には、「え?怒られた?だから?」と言われそうです。
部下を怒るというのは、微妙な問題です。



何が微妙かというと、怒っていても、
指導している
とも認められることもありますし、
人格否定だとしてパワハラだ
と言われることもあります。


どのような状況で、どんな発言をしたのか

裁判では、個別の事情を検討していくため、

ある一つの発言、行動を捉えて、パワハラだ、違法だ、慰謝料だ

と直ちに言えないところがあります。



上司が暴力を振るった、というケースであれば、もちろん違法になるでしょう。
暴力や脅迫レベルであれば上司の行為は犯罪行為であり違法です。

理由なく、人格を否定するような発言があれば、違法になる可能性が高いです。

ただ、指導のための叱責との境界線がハッキリしていないため、
一部の発言を捉えて、パワハラだとして、それだけで裁判を起こすことは、現実的ではないと考えます。

パワハラの裁判は、セクハラ裁判よりも事例が圧倒的に少ないということもあります。

パワハラにより実際に裁判で慰謝料が認められるケースは、
上司の発言や行動が続いたため、精神を病んでしまったり、残業続きで体調を崩すなど、
パワハラ以外の事情もあるケースがほとんどです。

たとえば、長時間労働事故事件(津地裁平成21年2月19日判決)では、長時間労働に加え
「こんなこともわからないのかと言って,物を投げつけたり,机を蹴飛ばす」
「勤務時間中にガムを吐かれたり,測量用の針の付いたポールを投げつけられて足を怪我するなど,およそ指導を逸脱した上司による嫌がらせを受けていた」
ことをパワハラと認定、会社に責任を負わせています。


このようなパワハラの相談は増えているため、厚生労働省は今年に入って初めてパワハラの定義をまとめました
裁判ではこれに拘束されるものではありませんが、参考までに。

1 暴行・傷害(身体的な攻撃)
2 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
3 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
4 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
5 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
6 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

会社に改善を求める際には使える材料です。

ノルマ未達成の場合の行き過ぎた叱責以外に、達成不可能なノルマの強制はそれ自体で4番に当てはまりそうです。


犯罪レベルなら即相談、
厳しい発言が続き心が折れそう、体調不良であれば、まず身体のことを考えた方が良いでしょう。
医療機関を受診するなどして健康を維持しましょう。


裁判官の言葉 「人間性を否定するかのような不相当な表現を用いての叱責はダメ」


私がコメントした『SPA!』の前の号の特集は、
「クビにしたい40代社員の共通点」でした。
精神が折れそうな場合には、こういう特集を読んでみるのも良いかもしれませんね。

SPA


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2012/05/11(Fri) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言5 能力不足による解雇
ノルマでクビ

弁護士石井琢磨です。

引き続きしつこくノルマ特集です。

前回までノルマ未達成による不利益として、給料の減額、買い取り強制、ボーナスについて見てきました。
今回は、労働者にとって、さらに厳しい話。


今回の泣き言 「ノルマ達成できず、クビにされた!


労働者が受ける最大の法的不利益といえるものが解雇でしょう。

ノルマが達成できていない、能力が不足している、だからクビだ、という論理です。
ときに、従業員を解雇したいために過大なノルマを課すようなケースもあります。


ノルマが達成できないからといって、解雇が可能なのでしょうか?



能力不足を理由とする解雇には、普通解雇と懲戒解雇があります。

懲戒解雇は、程度があまりにひどい場合であり、かつ就業規則の定めが必要です。
懲戒解雇が認められる例は、勤務成績が著しく悪く改善の見込みがないことや、配置転換などしても悪影響が回避できないことが求められています。
一般的には、能力不足を理由とする場合、懲戒解雇ではなく、普通解雇としてされることが多いようです。


普通解雇について、労働契約法では
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 」
という定めがあります。

抽象的でどうにでも取れる内容ですね。

能力不足による解雇が有効かどうか、多くの裁判で争われています。

過去の裁判例を見ていくに、能力不足だけを理由とした解雇は、普通解雇でも認められない可能性が高いです。
法律でも抽象的な規定にとどまっており、明確な基準はありませんので、本当に、どうしようもなく、ひどい能力不足の場合には、解雇が認められるケースもあります。

ただ、労働契約をした場合、使用者側には一定の指導義務もあるため、
ノルマが達成できない=能力不足と直ちに結びつけることはできません。

会社が何度か指導しても、改善しない場合に初めて能力が不足していると認められるのです。


東京地裁で労働部にいた裁判官が弁護士向けに話した内容で以下のような発言があります。
「どんなに営業成績が悪くても、どんなに能力がないようでも、基本的には、一発で解雇するとまずは解雇は無効になる

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教えてもダメだった、ということが原則として必要なのですね。

また、裁判例のなかで、能力不足、が争われる場合、能力不足を示す資料としてノルマの未達成や成績不良が数字で主張されることがあります。
客観的な数字があるほうが、能力の有無が明確になるという主張です。
ノルマの達成度については、能力不足の指標として使われる可能性があります。

ただし、裁判例の中では、ノルマが達成できていないようなケースでも、結果としての数字ではなく、プロセスを見るケースも多いです。

たとえば、営業のノルマを課せられたとき、成約件数が目標に達していなくても、訪問件数が一定数あるので、解雇は認めない、というケースです。
明確なノルマ事案ではありませんが、労働者の成績不良が問われた解雇事件(名古屋地裁平成15年2月5日事件)の記載がプロセスを重視した理由づけをしています。
債権者が労働者、債務者が会社です。
「債権者が営業努力を怠ったとの債務者の主張については,(証拠略)によれば,債権者は,連日,担当エリアの店舗をこまめに営業活動に回っていたもので,売上げの低い店舗でも月に数回は訪店していたことが一応認められるのであって,債務者の主張はたやすく採用することができない。」


このようにノルマ未達成だけで解雇が認められるケースは一般的には少ないです。

一般的には、という限定をつけたのは、労働契約の内容によっては解雇が認められやすくなるケースもあるからです。
たとえば、特定の職種として雇用した場合、専門職として雇用した場合、即戦力として雇用した場合です。
最初からこのような契約の場合には、使用者側の指導義務は弱まり、能力が不足していた場合、解雇が比較的認められやすくなるのです。

これに対して、新卒の場合には、最初からの能力を持っているとはみなされないので、使用者側に指導義務が出てくるのです。


このように、特定職種として雇用されたようなケースでない限り、ノルマ未達成だけでただちに解雇されるケースは少ないです。
そのため、結果が出ないとしても、そのプロセスはしっかりとこなし、記録を残すようにしましょう。
プロセスを記録することは、紛争になったときの証拠としても役立ちますし、そのプロセスを分析することで結果を出せ、ノルマを達成できるようになるかもしれません。
また、ノルマをどうしても達成できない場合には、しっかりと指導を求めましょう
能力が不足しているのではなく、ノウハウがあればノルマをこなせる可能性があるかもしれません。
裁判所は、本気で頑張っている(証拠がある)従業員は評価します。


逆に、ノルマが達成できないからといって、やってはいけないことがあります。
能力が不足しているだけなら解雇は許されないケースでも、他の事由があると解雇がされやすくなります。場合によっては、懲戒解雇される可能性もあります。

ノルマ未達成のやってはいけない!


1 逆ギレ
  ノルマが達成できないからといって、キレてはいけません。
  上司に逆ギレしたことで、解雇が有効とされたケースがあります。
  「アンタはバカだから」「まともな仕事がこない」などと上司に言ってしまったことで、取り返しがつかなくなってしまいました。
  暴行などの犯罪行為はもちろんダメです。

2 会社の悪口を流す
  会社の評判を落とす行為には、裁判所は厳しいです。
  真実だからといって公にしてはいけないこともたくさんあります。
  大人ならわかりますよね。
  ネットに流せば名誉毀損、社内メールはすべてチェックされる可能性があります。

3 ルール違反
  会社のノルマがきついからといって、決められたルールを破るのは、これまた解雇の危険が高まります。
  遅刻を繰り返す、参加義務がある会議を欠席するなどはダメ。
  裁判例の中には、お店に布団を持ち込んで泊まり続けたことで解雇が認められたケースがあります。


どれもマイナスの行動ですね。
結果が出ないからといって、自分の行動をマイナス方向に持っていくのはNGなのです。
気をつけてください。

気持ちが落ち込んできたときは、マイナスの行動に走るのではなく、『SPA!』のような娯楽に一時避難するのも手ですね。


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本日の参考文献
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労働法の知識と実務 (弁護士専門研修講座)東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会

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2012/05/11(Fri) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言4 ノルマとボーナス
ボーナス比較


弁護士石井琢磨です。

ノルマと法律問題について書いています。
前回までは、ノルマが達成できないことによるペナルティを見てきましたね。
懲戒処分による減給、出来高払い、買い取り問題。

それぞれに規制がありました。

このようにノルマによるペナルティは規制があるのに、社会においてノルマはなくなりません。

どうしてでしょうか?


ノルマには効果があるからです。

ビジネス書には、結果を出すためには目標を設定することが有効であり、
しかも客観的な数字で設定することが大事であると書かれています。

会社側は、ノルマや目標により数字を掲げたいものです。
適切な数字が設定された場合、ノルマは非常に効果的です。だから、なくなりません。

効果的なノルマも、前回まで書いたように、未達成によるペナルティをつけると、いろいろと規制されます。

そのため、会社側としては、逆に、ノルマ達成に対するインセンティブを与えることが考えられます。

たとえば、ノルマ達成者にはボーナスを加算したり、昇格を認めたりということです。


今回の泣き言「ノルマのせいで、あいつよりもボーナスが少ない!」


ノルマ未達成で給料が減らされることには規制があります。不利益については、法律は厳しい。

しかし、ノルマ達成によるインセンティブがあると、「他の従業員と比較すれば、不利益だ」などと言う従業員が出てきます。

この言い分は認められるのでしょうか?



多くの場合、ボーナスや昇格は、会社側の広い裁量が認められています
そのため、ノルマ達成者や成績の良かった従業員に対して優遇することは原則として許されます。
優遇された従業員と比べて、未達成者のもらえる額が少なかったとしてもしかたがないのです。


もっとも、ボーナスの約束の中には、「最低これだけは支払うよ」という約束をしているケースがあります。
たとえば、年俸を16で割って、毎月の給与として1/16ずつ支払い、夏と冬のボーナスとして、2/16ずつ支払うという約束がされているケースです。
このような支払方法が労働契約などで決められている場合は、給料と同じように労働者には権利があります。
そのためノルマの達成度にかかわらず「最低支払う額」から減額することは許されません。
前回までに述べたように、給料からの減額と同じような規制がかかってくるでしょう。

「ボーナスが少ない」という言い分は、このような最低保障がされているケースを除き、通りません。

裁判例上も、ボーナスについては、会社側の裁量を広く認める傾向にあります。
「去年と同じボーナスくれよ」事件(大阪地裁平成9年5月19日判決)では、
労働者が前年度と同程度のボーナス支払を求めたのに対し、労働契約に最低支払う額の約束もないことから
「原告らが労働契約により被告に対し具体的賞与請求権を有するというべき根拠はない。」
として否定しています。

このようにボーナスは会社側の裁量が認められる不安定なもの。これをあてにし過ぎると生活が破綻することもありますので気をつけてくださいね。そういう人、たくさんいます。

ノルマとボーナスについては、労働契約の内容をチェックし、給料と同じように権利があるのかどうかを確認だけしておきましょう。


そもそもノルマを達成した従業員がいるということは、達成する方法があるということです。
泣き言を言うより達成方法を学んだ方が生産的でしょう。


裁判官の言葉 「理由がないので失当」


『SPA!』の過酷なノルマ実態を見ると、ノルマ達成でインセンティブがもらえるって恵まれているなぁと感じてしまいます。

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2012/05/10(Thu) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言3 強制買い取り
ノルマと買い取り


弁護士石井琢磨です。

連続ノルマ特集3回目。

今回の泣き言
「ノルマが達成できず、買い取れと言われた」

よく聞く悩みです。
『SPA!』の特集でも、痩身ベルトの買取問題がありましたね。


過去2回にわたり、ノルマ未達成時に給料が減るという不利益を扱ってきました。
1 懲戒処分による減給
2 出来高払い

今回は、同じ不利益でも買い取り問題

一人あたりの販売台数をノルマとして課せられ、達成できない場合には買い取りを求められる。
年賀状、お中元、クリスマスケーキ。


アルバイトですら求められることがありますが、このような買い取りに応じなければならないのでしょうか?


法的には、これらの商品を買い取る義務はありません。

買い取りの問題は、
仕事をする、給料を払う、という労働契約とは別に
売買契約
の問題です。
法的には別契約の問題です。

売買契約は、当事者間の合意で成立します。

ノルマが達成しないなら買い取れ、という話は
「この商品を買って下さい」
という売買契約の申込。お願いにすぎません。

これを承諾するか拒絶するか、法的には自由です。

もし承諾したなら、売買契約が成立しますので、代金を払う必要があります。



買い取りは別契約ですので、買い取りを拒絶した結果、給料から代金を引かれた、というのは違法です。


従業員として大事なのは、ノルマ未達成による買い取りを求められても断ること。
買い取りに関しては、そもそも課せられたノルマ自体が不合理なものも多いです。


買い取りを拒絶したからといって、それを理由に給料を減らすなど不利益な扱いをすることは許されません。


行き過ぎた買い取りノルマは、それ自体違法とされる可能性があります。

呉服店おばあちゃん買いすぎ事件(大阪地裁平成20年4月23日判決)は、ノルマという言い方ではありませんが、売上目標があった呉服店について、従業員のおばあちゃんが何年にもわたり合計1000万円以上の呉服を購入し続けたという事案で、購入については従業員の意思によるものなので売買契約だと認めるものの、そのうちの一部は公序良俗違反として無効になると判断しました。
合意があっても、買い取りさせすぎは違法

本当に行き過ぎた買い取り要求の場合には、参考になる裁判例です。

超訳 裁判官の言葉 「さすがに買わせすぎ


ノルマ未達成による買い取りに苦しむ方は、これらの点を意識しておきましょう。


また、『SPA!』を読むと、自分よりも悲惨なノルマの存在を知り、慰められるかもしれません。

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2012/05/10(Thu) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
ノルマの泣き言2 出来高払い
出来高払い



弁護士石井琢磨です。

引き続きノルマの泣き言シリーズをお届けします。

前回の泣き言
「ノルマ達成できず、給料を減らされた!」
という痛々しい叫び。

前回は、契約で決められた給料から懲戒処分で減額されるケースについてお話しました。

※参考記事「銀座高級クラブノルマ事件」

懲戒処分による減額は、就業規則にしっかり書いておかないといけないですし、金額も制限がある、内容も不合理と言われかねない、会社側としては使いにくいものです。

このような場合、会社側はどのように動くと思いますか?


ノルマによるペナルティがないなら良いのですが、なかにはこう考える会社があるはず。

「懲戒処分による減額じゃなくて、最初から、達成できたノルマ分だけ払うという約束にすればいい」


このような考えにより、給料の約束自体を、出来高払いとされているケースがあります。

給料の取り決め自体にノルマが組み込まれているケースですね。



出来高払は歩合のようなものですから、達成できていない以上、契約上は、未達成部分の給料はもらえなくなります。

しかし、このような出来高払いの給料の場合にも、気をつけるべきポイントがあります。

ノルマを1件も達成できていないから、給料0円、ということが許されるかというと、それでは労働者は生活できなくなってしまいます。

労働基準法27条では
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
と定めています。

100パーセント出来高払いという契約ではなく、最低保障される固定部分も作りさないというもの。

では、最低保障しなければならない「一定額」とはいくらなのでしょうか?


1 通常の賃金の6割以上
法律では明記されていませんが、通達で、歩合制度採用の場合について、労働時間に応じて、固定給与と併せて通常の賃金の6割以上は保障することが定められています。
タクシー運転手などで問題にされることが多いです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken05/

2 最低賃金以上
さらに、労働基準法の規定とは別に、最低賃金についての規制にも配慮しなければなりません。

歩合給であっても、労働時間で割った場合の賃金が最低時給を下回るような設定になっていてはいけません。
http://www.mlit.go.jp/common/000037109.pdf

弁護士の場合、ある事件にかかった時給を報酬から計算してみると、時給500円だったということもありますが、労働者の場合は許されません。


労働契約では、出来高払いの契約を最初からするとしても、このような規制があります。

さらに利益だけを上げたいと考えている会社が、このような規制を避けようとしたら、どう動くと思いますか?

「そもそも労働契約、雇用契約じゃなくすればいい」

この発想で問題になるのが偽装請負です。

実質的には労働契約の従業員なのに、請負契約や業務委託契約にして外注扱いにする、偽装請負の問題。

労働基準法は「労働者」の場合の規制なので、ここに当てはまらなければいい、と考えてしまうわけ。

会社から、「給料よりも自営業の方が稼げるから」と促されて、独立扱い、やってることは同じ、ノルマ未達成の場合に、ものすごい低い金額しか払われないということがあります。

実態が労働者だと証明できれば、裁判を起こすのも1つの方法です。


今後、消費税率、社会保険料が上がった場合、雇用から請負へと流れが進む可能性があります。
偽装請負の話は頭に入れておきましょう。


自営業か?雇われの身か?という問題は広い業界で問題にされています。

前回に引き続き夜のクラブ業界の裁判例(別に私が夜の町に入り浸っている訳ではありません、念のため)。
港区クラブ雇われママ事件(東京地裁平成19年3月9日判決)では、クラブのママの受取金が、業務委託契約による自営業収入か、雇われの身である給料か、争われました。
判決では、雇われママ以外に、経営をしていた人物がおり、ママに指示をしていたこと、ママにはノルマが課せられていたこと、ママが営業日報による報告を義務づけられていたことなどの実態から、雇われの身であると判断されました。

「原告には被告との関係で委託契約といった業務遂行上の裁量性,独立性はないか著しく低く,「ママ」と称されつつも会社の人員の中で人事権や店舗経営に対する発言権等様々な面から見て実質的には訴外Bが掌握しており,同人との関係で使用従属関係にあるものと見るのが相当である。
   この点について被告が主張する原告の経営者的要素とする各事情はいずれも実体が伴うものではないものといわざる得ない。
   したがって,原告は被告との関係で雇用契約上の従業員の地位にある。」


裁判官の言葉 「ノルマを課していて、もう部下としてしか見ていない



ノルマによる給料減額が、出来高払契約から来ている場合には、2つの基準でチェックしてみましょう。
偽装請負の疑いがある場合には、実態についての証拠を揃えておきましょう。

なお、『SPA!』を読むと、世の中の不合理なノルマの存在を知り、癒されることでしょう。



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2012/05/09(Wed) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ノルマの泣き言1 銀座高級クラブノルマ事件
銀座高級クラブノルマ事件



弁護士石井琢磨です。

『SPA!』のノルマ特集にコメントが掲載されましたので、しばらくノルマ法律問題についてアップしていきます。

今回の泣き言
ノルマ達成できず、給料を減らされた!


世間には、このような叫びがあります。

ノルマを達成できなかったからといって、給料を減らすなんて許されるのでしょうか?


実際に裁判で争われています。

銀座高級クラブノルマ事件(東京地裁平成22年3月9日判決)。

このクラブには売上ノルマがあり、達成できないとペナルティ罰金と言われて給料が減らされていました。

判決によれば、このクラブで「罰金」とされるのは次のようなものだそう。


遅刻
無断欠勤
月曜日又は金曜日に欠勤
月間4日以上の欠勤
勤務時間中に客の送迎等で外出したとき,15分を超えた場合
ミーティング(月1回開催される。)を欠勤
ミーティングを遅刻した場合
パーティー期間に欠勤した場合
同伴(ホステスが客を連れて店に出勤することをいう。)又は確保(指名客が店に来るように確約することをいう。)をする日(以下「強制日」という。)に欠勤した場合
ファッションデー(原則として毎月1日と15日)に欠勤した場合
午後11時以前の早退は欠勤扱い
掛売をした客の入金が指定された入金日(翌々月末に一括入金とする。)より遅れた場合

このほかに、強制日に客を呼べなかった場合
売上のノルマを定めそのノルマに達しない場合



以上のように減額されるものがたくさんあったようです。銀座クラブでも月曜日の出勤が重視されているのが印象的です。

結論として、この判決は、ノルマ未達成で給料を減らすのはダメだとしました。



約束された給料を一方的に減らすのは原則ダメ。

「給料を減らされる」という場合にはざっくり2パターンあります。

一つは、もともと出来高払、歩合のような契約の場合。
もう一つが、決められた固定給からの減額の場合。


銀座高級クラブノルマ事件では、ノルマ未達成を理由に、固定給部分から減額される、というパターンでした。
後者のパターンですね。

「ノルマ達成できてないから給料カットする」
「ノルマ達成できていないから罰金」

のような会社側のやり方は法的に根拠があるのでしょうか?


会社と従業員のあいだで給料をもらって働くと約束すると、労働契約が成立します。
この労働契約で約束した給料を会社側が一方的に減らせる根拠があるとすると、懲戒処分です。

懲戒処分で有名なのは、懲戒解雇でしょう。
悪いことをすると解雇される、というもの。

一般的な懲戒処分には、解雇以外に、譴責や減給、出勤停止などがあります。

これらは労働者の同意をとるか、就業規則で決めなければなりません。
就業規則には、どのようなことをしたら懲戒処分になるのか、書いておく必要があります。

会社側が一方的に給料を減らすのは、この懲戒処分のうちの減給でしょう。

銀座高級クラブノルマ事件でも、「罰金」という言葉を使っているものの、法的な性質はこの減給と判断されました。


懲戒処分としての減給には、減額幅の限度があります(労働基準法91条)。
1つの行為について、半日分の給料。
1か月のうち10%まで。

月額20万円の給料なのに、減給が3万円、残りの17万円が給料、というのは、月額の10%を超えるためNGなのです。


また、このような金額の制限のほかに、内容が合理的なものでなければなりません。
重すぎる場合には懲戒権の濫用とされます。

「ノルマ達成できず、給料を減らされた!」
その根拠が、懲戒処分による減給である場合、段階的に確認をしていきましょう。


1 労働契約の内容を確認。

そもそも固定給の約束なのか?
雇用契約書、労働条件通知書、給料明細などを確認してみましょう。


2 就業規則の確認

固定給があるのに、懲戒処分により減給という場合には、
そもそも就業規則があるのか?そこに懲戒事由が書かれているか?

ほとんどの場合、この就業規則の段階で、雇用主側の減額は理由がないことになるでしょう。


3 内容の合理性

仮に、これらの形式面がクリアされていたとして、
そもそもノルマを達成できないから減給
という懲戒内容が許されるのか?
ということを検討していくことになります。

この場合、ノルマの内容が合理的なものなのか?など踏み込んで考えなければなりません。
明らかに達成不能なノルマであれば、不合理でしょうから、そのような主張をしていくことになるでしょう。


銀座高級クラブノルマ事件(東京地裁平成22年3月9日判決)では、このうちの2番の段階、すなわち就業規則に記載がないとして、給料からの減額を否定しました。

「原告会社は,強制日に客を呼べなかった場合の罰金及び売上のノルマ未達成に対する罰金をホステスの報酬から控除しており,これらの罰金控除も前記の罰金条項による控除と同様,懲戒処分としての減給であるというのが相当であるところ,証拠(略)によれば,これらの控除は各月の月間予定表に記載されているものの,その予定表は就業規則の一部を構成するものではないことが認められる。
 そうすると,いずれの罰金控除も就業規則に根拠を有しない懲戒処分であるというほかないが,労働者に対する懲戒権は就業規則にあらかじめ懲戒事由及び手段を明記しているのでなければ行使できないと解されるから,この2つの罰金控除は,労働基準法24条に反し,(全額)違法であるというのが相当である。」


裁判官の言葉 「根拠不明の不合理な控除は全額違法」


ノルマに苦しんでいる人は、これらの点をぜひチェックしてみてください。

なお、本日5/8発売の『SPA!』(5/15号)を読むと、世の中の不合理なノルマの存在を知ることができ、癒されることでしょう。


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2012/05/08(Tue) | ノルマの泣き言 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
5月8日の『SPA!』の「過酷すぎるノルマ」選手権と相模川弁護士事務所
弁護士石井琢磨です。

本日、5月8日の『SPA!』の「過酷すぎるノルマ」選手権に、コメントが掲載されました。

担当してくださった方々、ありがとうございました。

補足としてノルマと法律問題について、いくつか記事をアップしました


SPA!



石井琢磨プロフィール



よく見ると・・・

相模川弁護士事務所


なにか違和感が

やってしまいました。

「相模川弁護士事務所」

うちの事務所名って、「相模川法律事務所」でした。

プロフィール欄の確認を求められ、チェックしていたのですが、
設立者である私自身、気づかなかったので、
きっと誰も気づかないでしょう。そう祈りましょう。



弁護士法では
「弁護士の事務所は、法律事務所と称する。」
とされているので、「弁護士事務所」という名前は、ありそうで見かけません。

なかには、「弁護士法律事務所」としている事務所さんもあります。

今回の件で、誰かから怒られたら、事務所名を「相模川弁護士法律事務所」に改名しようと思います。



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2012/05/08(Tue) | メディア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
他人の絶望は蜜の味?
弁護士石井琢磨です。

仕事柄、他人の不幸な相談にばかり接しているので、人の不幸話は好きではありません。

しかし、連休中に読んだ、絶望話は面白く読めてしまいました。

『絶望名人カフカの人生論』
絶望名人カフカの人生論
絶望名人カフカの人生論


病気のときに、元気な人から「治ると思っていれば大丈夫だよ」と言われても、受け入れられないように、人は上から目線のアドバイスを素直に受け入れにくいもの。

本書では「心がつらいとき、まず必要なのは、その気持ちによりそってくれる言葉ではないでしょうか」と言い、カフカを取り上げています。


カフカって有名な偉人じゃないのか?と思いきや、本書の前書きでは

「彼は何事にも成功しません。失敗から何も学ばず、つねに失敗し続けます
「彼の書いた長編小説はすべて途中で行き詰まり、未完です」
「彼の日記やノートは、日常の愚痴で満ちています

とダメっぷりな紹介をしています。


この人の言うことなら聞けそうだ、と誰もが感じるに違いありません。


目次もすごい。

第一章 将来に絶望した!
第二章 世の中に絶望した!
第三章 自分の身体に絶望した!
第四章 自分の心の弱さに絶望した!
第五章 親に絶望した!
第六章 学校に絶望した!
第七章 仕事に絶望した!
第八章 夢に絶望した!
第九章 結婚に絶望した!
第十章 子供を作ることに絶望した!
第十一章 人づきあいに絶望した!
第十二章 真実に絶望した!
第十三章 食べることに絶望した!
第十四章 不眠に絶望した!
第十五章 病気に絶望……していない!


人生で起こるあらゆることに絶望しているのではないでしょうか。



内容も、とことんネガティブです。

「地下室のいちばん奥の部屋で暮らしたい」

どんな引きこもりでも勝てない願望です。


「カフカは三六歳のときに、父親に長い手紙を書きます。」
「ドイツ語のペーパーバックで七五ページ分もあります。
 こんなに長い手紙を書いたことのある人も、受け取ったことのある人もあまりいないでしょう。
 しかも、その内容は、すべて父親への恨み言です。」


こんな手紙を送ったら訴えられそうです。


さらに手紙に対して、「親からの反論」という項目があるのですが、

「これはカフカが『自分の手紙を読んだ父親が、こう反論するにちがいない』と予想して書いたものです」

とのこと。

裁判や交渉で、予め相手の反論を予想したうえで活動するのは当然ですが、まさか親への手紙でも事前に反論を考えるとは、さすが絶望名人です。


ほかにも
「ぼくには、いい成績をとりたいという気持ちがなかった。落第さえしなければ満足だった。」

「彼は仕事を呪い続けます。決して受け入れません。」

「私はうまいと思う食べ物を見つけることができなかった。」

など、絶望名言のオンパレードです。



抱えているトラブルで心が折れそうなとき、あなたを支えてくれる一冊になるでしょう。


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