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「仕事しない?」という電話
弁護士の石井です。

先月、あまり連絡を取っていない家族に電話して、ちょっとした作業を頼みました。

「時間ある?仕事しない?」
と電話一本で。

皆さんのところにこんな電話がかかってきたらどうします?

知らない人からの電話だったらどうでしょう?

就職難で仕事がなかったら、怪しいけど・・・なんていう気持ちが1パーセントもないでしょうか?


「仕事だよ」と勧誘してくるものが、違法行為の誘いであることがあります。



先日、『ヤミ金融 実態と対策』という本を読みました。

ヤミ金融―実態と対策
ヤミ金融―実態と対策




なぜヤミ金融が増えたのかについて、本書では
1 儲かるから
2 お客がいるから
3 道具があるから
4 捕まらないと思っているから

という4点を挙げています。


どの理由も、詐欺や悪質商法にも当てはまりそうな話ですね。

この理由のうち、

3 道具があるから

の道具とは、三種の神器と呼ばれるものだそうで
名簿
他人名義の預金口座
他人名義の携帯電話
だそうです。


たいてい業者は預金口座や携帯電話を別の業者から仕入れるなどしています。

そういう口座屋は、どうやって他人名義の口座を準備するかというと、普通の人から入手したりしています。


ある日、普通の人のもとに、こんな電話がかかってきます。

「仕事してみない?」

「え・・・?どんな仕事ですか?」

「口座を作る仕事」

「それって危なくないですか?」

「大丈夫、うちはしっかりしているから」

「テレビでもやってたけど、振り込み詐欺に使われちゃったりすんじゃないんですか?」

「そんなことに使わないですよ。ちゃんとした人に渡すから大丈夫です」


うーん、そんなに言うなら、やってみようかな。
詐欺に使わないって言ってるし(言い訳1)
生活も大変だし(言い訳2)
これも「仕事」だし(言い訳3)


そういって口座を開設して渡してしまうと

詐欺罪で捕まったりするのです。

使う気もないのに
預金口座
携帯電話
を作っちゃうと銀行や携帯電話会社に対する詐欺罪になります。

刑事裁判です。
その後、悪用されたら民事でも責任を問われるリスクもあります。

こういう勧誘が、普通に生活している人に対しても電話やメールでされています。

そういう人は、多重債務状態であることも多い。
そして、何故か「仕事ですよ」と勧誘していることが多いです。

仕事ということで罪悪感を麻痺させたり、減らしたりしているのでしょうね。

「詐欺に使わないですよ」なんて、その人もどこかに売ったりするわけですから、まったく信憑性がない言葉です。

いくら言い訳をしても、犯罪は犯罪。
生活が良くなったころに、過去の犯罪の責任を問われたりします。


近江商人・松井遊見さんは、山賊に千両箱を持って逃げられた際、追っていこうとした部下に対して「放っておけ。悪銭身に付かずで、賭博や遊女に入れ揚げて一文無しになるにちがいない。働くことの大切さを知らず、一生を台なしにしてしまうだけじゃ」と言い放ったそうです。

『商家の家訓』より

商家の家訓―経営者の熱きこころざし
商家の家訓―経営者の熱きこころざし




全く同感。

怪しいと思った直感を大切にしてあげてください。



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2011/01/26(Wed) | 借金問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
同級生の過ち
弁護士の石井です。

年賀状のやりとりをしている大学の同級生に喪中ハガキを出しました。
急いで出したので、文面はパソコンソフトに入っていた定型の「茲に本年中のご芳情を厚く御礼申し上げます」というものでした。

すると、1か月以上経ってから、「茲さんって誰よ?」と質問されたのです。

我が家では、同級生が何を言っているのか理解するまで半日くらいかかりました。
「茲に」を人名と間違えたということですね。

真実が判明したとき、家族は大ウケでしたが、私は、このような定型文も意外な解釈をされてしまうことがあるのだということに驚きました。

かつて、悪質商法の電話勧誘などで、勧誘を受けた消費者が「いらない」という意味で「結構です」と言うと、悪質業者側が「結構ですって承諾してくれたじゃないですか」と契約があったかの如くふるまうことがありました。


複数の解釈をされる言葉は危険なのです。


法律家がトラブルを避けるために作る文書では、複数の解釈の余地がある言葉は避けなければなりません(意図的につくることはありますが)。

今回の喪中ハガキは、法律家としてあるまじき文章でした。

同級生が1か月以上も「茲」って誰なのか、疑問に思い続けていたとは、申し訳ないことをしてしまった。

皆さんも気をつけてください。



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2011/01/21(Fri) | 雑談 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「自分をバルコニー席から見る」とは?
弁護士の石井です。

正月気分も抜けてきたでしょうか。
最近、知人とバーゲンの話をしました。大好きな人も多いでしょう。

私の周りに、バーゲンと聞くと興奮するSさんという女性がいます。
意気込んでバーゲンに行くのですが、あとで振り返ってみると、買った物はイマイチのものばかり。
着ない洋服、何年も封印した挙げ句捨てるモノ・・・。


なぜ、そんなにバーゲンで失敗をしてしまうのか聞いてみたところ

「せかす音楽が流れてるんだよね」「みんな急いで買ってるんだよね」「あせっちゃうんだよね」

という回答をもらいました。


あわてると冷静な判断ができない。


いかにも騙されそうなタイプです。


訪問販売で勧誘されたら耐えられるのか心配です。

あわてたときの対処法は、自分を客観視することです。

これは、自分はあわててるのでは?と認識することから始まります。

その後、自分をちょっと遠くから見てみる。
第三者っぽく見てみる。

すると、不思議なことに、あわてているのは、たいした問題でないことに気づきます。

その結果、冷静に対処できる。


バーゲンや悪質商法の勧誘を受けた場合だけでなく、テストなどでパニックになってしまったときにも有効な手法です。



『【決定版】ハーバード流“NO”と言わせない交渉術』という本の中でも、交渉においては、「自分の中の衝動や感情と距離をおいて交渉に当たれ」と書かれています。自分を客観視することがハーバード流でも大事なのです。

この本では、あわててしまうときには、自分のいる場所を劇場だとみなして、それを2階のバルコニー席から見ているような感じで対応しましょう、と書かれています。

うまいたとえですね~

私は、幽体離脱して自分を見るようにしよう、という怪しいたとえを使っていましたが、今後は、この本のたとえで説明しようかと考えています。


【決定版】ハーバード流“NO”と言わせない交渉術
【決定版】ハーバード流“NO”と言わせない交渉術


みなさんも、あわててしまっているときは、バルコニー席から自分を見てみましょう。



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2011/01/18(Tue) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
破産しないための心得
弁護士の石井です。

人に薦められた本の中に「破産しないための心得」という内容がありました。

その本とは『成功をめざす人に知っておいてほしいこと』

成功をめざす人に知っておいてほしいこと
成功をめざす人に知っておいてほしいこと



思いっきり正当派自己啓発書なのに、
この本の最後の項が
「破産しないための心得」
なのです。

自己啓発書に破産なんて意外な組み合わせに反応してしまいました。



本書によると、破産しないための心得は3つ
1 成功の瞬間を楽しみ、前進を続ける。
2 規律に従う。
3 新しい目標を設定する。

この項目は、ある人が成功した後のシーンを想定しています。
一度成功したからといって、油断するなよ、ということ。

こういう話をすると、「自分とは関係ない、遠い人の話だ」と感じるかもしれません。

しかし、この心得は、スケールを小さくしていくと、多くの人に当てはまります。

じつは、法律事務所に自己破産の相談をしてくる方の多くにも当てはまる話なのです。


たとえば、収入が少し上がったから、生活レベルを上げた。その後、収入が下がってしまったが、生活レベルは下げられないで、借金へ。
という話はよく聞きます。

そのなかには、収入が上がったことでそれまでの努力を止めてしまった人も。
新しい目標を設定して前進していたら、そんなことにはならなかったのに、と感じることも多いです。
この心得を知ってさえいれば!

ちょっと余裕ができたからパチンコへ。
ボーナスが上がったから、ブランド品をローンで買う。

少しくらいなら自分へのご褒美は良いと思いますよ。

しかし、自分の中の規律に反する程度まで行ってしまうと、バランスが崩れて、あとで大変になるケースもあります。

大変なケースばかり見ている私としては、この本の「破産しないための心得」には、なるほど~と感心させられました。

気になる方は読んでみてください。


私たちにとっても、弁護士になってそれで成功、なんて考えずに、前進を止めたらいけませんよ、という教訓でもありますね。




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2011/01/13(Thu) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
買う前によく考えないと私のように間違える
SONYの電子書籍リーダー“Reader”のレスポンスに参っている弁護士の石井です。


本日は、物事を判断する際に、レスポンスを早くした方が良いのかどうかという話。


人は、身近な人が騙されてしまったとき、「なんでもっと、よく考えなかったんだよ」と責めることがあります。

よく考える。


はたして、これは騙されないための解決策になるのでしょうか。


じつは、よく考えた方が良いかどうかは、人によって違うのです。


皆さんは、何か物を買うときに、すぐに決めるタイプですか?よく考えてから買うタイプですか?

私自身についていえば、1行目に書いたとおり、レスポンスにうるさい人間ですので、すぐに決めるタイプです。
スーツ、本、家具など買うか買わないかの判断には1分もかけません。

家族から「これ買った方がいいかな?」と聞かれても「いらない」と1秒後に回答するため、険悪になることもしばしばあります。
円満な家庭を築くためには、少しくらい悩んでいるふりも必要なようです。


すぐに決めて買ってしまうため、ときに失敗することもあります。
“Reader”とか。

しかし、そのようなケースでは、よく考えても、結局、同じ結果が出たような気がします。

私自身の結論は、よく考えても間違えるときは間違えちゃうのだから、考える時間がもったいない、すぐに決めるべき、というものです。
ただし、これは私自身の場合。

周りをみると、すぐに決めて買った物はほとんど失敗している、という人もいます。

そういう人は、よく考えてから買った方が良い。


じつは、50代以上の女性の場合、よく考えてから買った方が良い、というデータがあります。

内閣府が発表した実験結果です。
http://www.caa.go.jp/seikatsu/keizaijikken/nougaiyou.pdf

全国の男女300人以上に対して、複数の選択肢からどれを買うのが良いかを判断してもらう際に、
1 すぐに判断させる
2 よく考えてから判断させる
3 考える途中で別の課題をさせてから判断させる
という3パターンで、どれが一番良い判断ができるかという実験です。

回答者が若年層(20~34歳)の場合は、どのパターンでも変わらないという結果だったそうです。
つまり、よく考えても、すぐに判断しても一緒。

ところが、女性の中高年層(50歳以上)では、2の「よく考えてから判断」だと若年層と同じ程度の正しい判断ができるのに、1の「すぐに判断」だと間違える確率が大幅に上がったのです。


つまり50歳以上の女性の場合には、よく考えてから判断した方が間違えない


この実験は、振り込め詐欺の対策を考えるためにおこなわれた面もあります。偶然にも、ニュースでよく流れている振り込め詐欺の被害は、中高年層以上の女性のことが多いです。

この実験の報告書では、50代以上の女性は、判断する前に「少し待つ」ようにしましょうと提案されています。
また、中高齢でなくても、日常生活で効率が悪い人も、同じように「少し待つ」ことが有効な可能性があるとされています。

レスポンスは速ければ良いってものではないのです。

判断力は年齢とともに低下します。


私は、正月に実家に帰った際、隣に住むおばあちゃん(80くらい)と立ち話をしましたが、数分間で同じセリフを3回喋っていました。
このおばあちゃんが、物を買うときに数秒で判断していたら、そりゃー間違えるな、と実感しました。


女性のみなさん、歳を重ねたら、何かを買うときには、少し待って考えましょう。

契約書にサインを求められたら、判断を先送りにしましょう。


それが騙されないコツ。



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2011/01/06(Thu) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
備忘録2010
自分のための備忘録。

2010年の自分。


一歩を踏み出した年。

モノの見方が大きく変わった一年でした。濃い一年でした。

そして、一年が経ち、今あるのは渇き。不足感。
まだまだです。



健康面。

ジム通いのペースが以前よりも落ち、かなり無理をきかせたかも。
おそらく今までで一番栄養ドリンクを飲んだ年。元旦には休む、と休みを先送りにしていたら、大晦日に倒れましたとさ。


読書。

仕事関係・雑誌・小説以外で418冊。

もちろん活かすことが大事ですが、インプット量がまだまだ足りないということがよく分かりました。




目標達成率。

年初に書いた10個の目標。

6個は達成。1個はおしい。3個は失敗。

達成率は昨年よりも落ちた。
変化がありすぎて、年初の目標が意味を持たなくなってしまった点も。




今年一番の学び。

「感情を理解すること」

これが現在の課題であり、たぶん今までの人生で一番難しい課題。


2011年は、さらに濃い年に!

そういえば、弁護士10周年イベントがありますね。行けるかな。

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2011/01/03(Mon) | 雑談 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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