だまされづまめ
「だまされづまめ」日本おさぎ話全集より



ほんのむかし、ある村に、おじいさんとおばあさん夫婦が暮らしていました。

以前、おばあさんが、おじいさんの可愛がっていたスズメの舌を切ってしまったため、二人の仲は険悪でした。

年末のある日、おばあさんは、いつものように川に洗濯に行きました。

すると、おばあさんは道ばたで若い男性から声をかけられました。

「年末の大掃除についてのアンケートに協力してもらえませんか?」

最近、人と会話をしていなかったおばあさんは、つい答えてしまいます。
話をしているうちに、いつの間にか男性の会社事務所に行って話を聞くことになりました。

「あなたのようなキレイ好きの女性には、こちらの最新掃除機がお勧めですよ」

「そ、そうかしら?」

そんな勧誘を受けて、おばあさんは、最新の「スズメ型掃除機ロボット」をクレジットで購入してしまいました。

数日後、家に届いた掃除機を箱から出すおばあさん。

それを見たおじいさんは、すかさず文句を言いました。

「お前、またなんか買ったのか?それ、必要なのか?」

「スズメ型だから、おじいさんが喜ぶかと思って・・・」

「もうスズメの事は思い出したくないんだよ。そんなもん買って、ワシは知らないからな」

スズメ型掃除機ロボットは、おじいさんに大不評。
いつしか使われなくなり、物置に置きっぱなしとなりました。


数ヵ月後、自宅にクレジット会社から督促状が届きました。

スズメ型掃除機ロボットの代金です。

おばあさんは、支払ができなくなっていたのです。


ところが、この督促状の宛名は、おじいさんになっていました。

「なんで、ワシの所に!?お前、ワシの名前を勝手に使ったんじゃないだろうな?」

「そんなことしませんよ。ちゃんと自分の名前書きましたよ」

おじいさんは怒ってローン会社に電話しました。

「おい、お前の会社は何でワシのところに請求してくるんだよ。間違ってるよな?」

「いえいえ、間違いではありませんよ。確かに契約書に名前を書いたのはおばあさんでした。
契約者はおばあさんです。
でも、おじいさん、あなたはおばあさんの夫ですよね?」

「だから何だ!?」

「おじいさま。掃除機は家で使うものですよね?ご夫婦の間では、日常的に使うものの支払は、二人でしないといけないことになっているのです。民法で決められているんですよ」

「バカな!?
 いや、そうだとしても、クーリングオフするぞ」

「おじいさま。残念ながら、もう期間が過ぎてしまっています。お支払を検討してください」

おじいさんは、仕方なく支払をしましたとさ。






何かを買ったときの代金の支払をしなければならないのは購入者です。

法律上、何かの責任を負うのは、行為をした当事者本人です。原則は。

これには、法律上、例外があります。

たとえば、小学生くらいの子供が人に損害を与えてしまった場合、監督しなければならない親などが責任を負います。

また、従業員が仕事で誰かに損害を与えてしまった場合、雇っている人も責任を負います。

これらは誰かに損害を与えてしまった場合の話ですが、そうではなく、事例のように物を購入したような場合にも責任を負うのが、夫婦間の日常の家事に関するもの。



裁判で争われるのは、何が「日常の家事」に入るのか、という点です。

これに入れば妻の行為に夫は責任をとらないといけない。
これに入らないなら、責任は負わない。

「日常の家事」に入るかどうか、非常に大事な点ですが、法律では明確な基準がありません。
最高裁の判例でも、いくつかの要素を参考にして決めるというもので、明確な基準はないのです。

夫婦の地位とか収入、目的、法律行為の性質など色々な要素を参考にして決めましょうという話。

こんな曖昧な基準であるため、裁判でも争われ、結論も分かれています。

たとえば、東京地裁平成10年12月2日判決では、49万円程度の教材を買ったことを「日常の家事」だとして、夫も責任を負うとしました。
これに対して、八女簡裁平成12年10月12日判決では、52万円程度の教材を買ったことは「日常の家事」じゃないとして、夫は責任を負わないとしました。

単純に金額だけでは決まらない話なのです。


このように曖昧な点があるということから、

自分は契約者じゃないから関係ないや~

とは言えない、ことがわかります。


読者の皆さんは賢いから騙されないかもしれないけど、あなたの妻や夫はどう?
そこまでフォローしておかないと、自分の身に降りかかってくるかもしれないのです。


年末年始、家族で過ごす機会が多いでしょうから、家族の騙されやすさをチェックしてみましょう。



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2010/12/30(Thu) | 日本おさぎ話 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ギザ十に注目するとお金が貯まる?
自分の財布の購入価格×200の数字を計算してみたら、生活保護1年分の数字を下回っていることが発覚してあせっている弁護士石井です。

なぜ、こんな事を話すのかというと、こちらの本を読んだからです。


稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?
稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?





こちらの本には、年収200倍の法則なるものが書かれています。

その内容は、「財布の購入価格×200」の数字が、持ち主の年収を表すというもの。


1万円の財布を使っている人は年収200万円。
3万円の財布で年収600万円。
5万円の財布で年収1000万円だそう。


えーっと、私の財布は・・・「万」の単位にも届いておらず、200倍しても生活保護より低い数字ですよ。


思いっきりはずれていますが、これは、この法則がアテにならないということなのか、いずれ私の収入がそうなるということなのか。

後者だと困るので、良い財布を見つけたら買い替えようと考えています。



200倍の法則はともかく、この本には大切なことも書かれています。

お札は上下の向きを揃える
「ギザ十」が入っていないかチェックする
お金の出入りに合わせて「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言う

など、なんじゃこりゃ?
という目次が並んでいます。


その内容は、お金に意識を向けることで、お金を稼げたり、貯められたりするんだよ、ということ。

人は、意識することによって入ってくる情報を変える傾向がありますからね。

1冊の本でも、そのときの意識によって読んだ後に得られるものは違います。

かつて読んだマンガ、観た映画を、何年か経った後にみてみると、違う印象を受けることがありますよね。


意識の向け方を変えるだけで、見方を変えることができるのです。

お金で苦労している人は、「なんじゃこりゃ?」と思うような方法であっても、意識を変えてみると、今まで見えていなかった何かが見えるようになるかもしれません。
ぜひ試してみてください。

ただし、消費者金融とかクレジット会社に借金があるような状態で
「10万円の財布を買ったら年収2000万♪」
なんてノリで高い財布を買わないように。浪費だと言われるようなことをしちゃうと、あとで大変なことになる場合もありますからね。





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2010/12/27(Mon) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
計画-司法試験、読書、20代の人生について
弁護士の石井です。

分厚い本を読み切れない。試験勉強が続かない。運動しても続かない。そんな方々に質問。


一番の原因はなんだと思いますか?


根性がないから?あきっぽいから?

残念ながら違います。
根性だけで乗り切ろうとすると、多くの事では、バテてしまうのです。


続けられない一番の原因は、計画が弱いから


司法試験に合格するための要素の一つに計画があります。

全体を見て、小分けにした計画を立てることが合格のコツです。

目標を達成するために計画を立てることが重要であることはご存知のとおり。



「成功の秘訣を一つだけ伝授するとすれば『目標を書き出しなさい。それを達成するための計画を立て、毎日それを実行しなさい』」『ゴール』より
ゴール―最速で成果が上がる21ステップ
ゴール―最速で成果が上がる21ステップ





さらに、計画は小分けにすると有効です。


私が周りの合格者を見た限り、無計画に勉強していた人は、何時間勉強しても、なかなか合格できていませんでした。
それに対して、計画的に勉強していた人は成果を出していました。

ここでいう計画とは、最終合格までのスケジュールを分解して、時期を区切って、いつまでにどの程度の力を身につけておけば受かるかどうかを判断すること。そしてフィードバックを受け続けること。

司法試験の制度自体が変わってしまいましたが、私が合格した頃は、3段階の試験があったので、そのスケジュールに添って、いつまでに何をするか、どの程度の力を付けておくかを計画していました。

私自身についていえば、本格的に司法試験の勉強を始めた時期は、比較的遅かったのですが、在学中に1度で合格できています。
これは計画がうまくいったからです。

私は、本を読むときも、計画を立てます。
30分で200ページの本を読むとすると、最初にどこに時間をかけるかを決めて、時間を計りながら読み始め、ペースをチェックするのです。

マンガを1日で20冊読む、という場合も同じ事をしています。

ランナーの皆さんが、マラソンを走る際にペースチェックするのと同じです。


齋藤孝さんは、著書の中で、物事を進める際に「単純に時間を計るだけで速くなる。」と言っています。

15分あれば喫茶店に入りなさい。
15分あれば喫茶店に入りなさい。




これは私自身も感じています。時間を計るとそれだけで、何となく焦りの気持ちが出て、スピードが上がります。そのほかに、ペース配分や記録の測定という意味もあるでしょう。


では、具体的に計画を立てるときに、どうすれば良いのでしょうか。

それは、うまく計画を立てた人のマネをすれば良いのです。

試験なら色々な合格者の人の計画を見れば良いし、読書ならたくさん本を読んでいる人の方法を見れば良いです。読書術についての本はたくさんありますよね。

うまく行っている人の方法を見て、小分けの計画を立てる。ペースをチェックする。これが物事をうまく進めるコツです。


そして、このコツは、人生を歩む際にも当てはまります。

しっかり仕事ができる人間になりたい、という目標を持った20代の方が読んでおくべき本があります。


20代で人生の年収は9割決まる
20代で人生の年収は9割決まる




22歳から35歳まで、何歳の頃にどんな事をすると良いか、仕事ができる人間になれるのか書かれている珍しい本です。
小分けの計画が立てやすく、この本に帰ることでペースが良いのかどうか確認することができます。

一つの参考例として読んでみてはいかがでしょうか。



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2010/12/24(Fri) | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
裁判員に選ばれないための4つのポイント
弁護士の石井です。

裁判員の候補者にまでなってしまったけれど、裁判員になりたくない、という方への話。

まず裁判員になるまでの過程についてお話しましょう。

裁判員の候補者は、1年間の名簿に載っている人から、抽選で選ばれ、裁判所に呼び出されます。

このとき、裁判員に必要な人数よりも、余裕を持って多めに候補者を選んで裁判所に来てもらいます。

たとえば、6人の裁判員が必要なのに、30人を呼び出します。

その中から、クジで裁判員の6人を選ぶのです。


全ての段階で、クジで選ぶため、「裁判員になる方法」はありません。
なりたければクジに当たるように祈るしかありません。

しかし、裁判員にならない方法は、多少あります。

もちろん、裁判員候補者になったときに、呼び出しを無視するという方法はあります。何人かはそういう人がいるようです。これは法律違反なので勧められません。

また、事件に関係があるなど、法律的に理由がある場合には裁判員になりません。
辞退する理由がある場合には、これを主張することも考えられます。


今回は、こんな理由がないのに、裁判員になりたくない、という人のための方法です。
じつは、合法的に裁判員にならない秘密の技法があります。これをこっそりお教えしましょう。


裁判員を選ぶ際には、クジという偶然で決まる部分だけでなく、人為的に決まる部分があります。

それが、検察官や弁護側からの拒否です。

検察官と弁護側は、裁判員候補者のなかから、それぞれ4人まで、何の理由も言わずに拒できます。


検察官「あの男性、どことなく被告人に似てるな・・・拒否しておこう」
弁護人「あの人、怖そう!厳しい意見を言いそうだから拒否しておこう」
などと、わざわざ裁判所に来た市民の方を理由も言わずに拒絶することができるのです。

ここで拒否してもらえば、クジの対象から外れるので、裁判員にはならないのです。


それでは、私たち弁護側は、どういう場合に、拒否をするのでしょうか。
じつは、拒否をするかどうか決める際に、私たちに与えられる情報は極めて少ないのです。

事件についてとった1枚の簡単なアンケート
外見チェックができる数分間の時間

くらいなのです。

これだけの情報で拒否するかどうかを決めるのです。
アンケートの結果、裁判所が個別に質問をすることもありますが、弁護側からは質問もできず、原則はこれだけの情報で決めるのです。


性別や年齢という属性を理由に拒否する弁護士もいるでしょうが、皆さん側からコントロールできるものとしては、
アンケートの筆跡
連絡先電話番号
外見
オーラ
などがコントロールできる要素です。

以下、個別に見ていきましょう。

1.筆跡

弁護側や検察官は、みなさんと接する前に質問票に目を通します。
その際に、氏名欄などの筆跡をチェックすることも多いのです。明らかに変わった筆跡であれば、チェックされます。


2.電話番号

アンケートには、電話番号を書く欄がありますが、ここには携帯電話の番号を書く人と自宅の番号を書く人がいます。

片方しかなければ仕方がありませんが、両方ある場合にはどちらを書くか選択することになります。
弁護側からすると、多くの事件は、被害現場の近くの人に裁判員になられるのは危険だと感じます。

遠くで起きた事件と隣で起きた事件では、恐怖度が異なり、その人が考える刑の重さも変わってきてしまうと考えるからです。

もし、裁判員になりたくないという気持ちでいて、かつ、事件が自宅と同地域になるなら、記載する電話番号は、自宅の番号を書きましょう。市外局番によって、弁護側には、「ああ、この人は、事件現場の近くに住んでいるのかもしれない。拒否しておこう」と思わせることができます。


3.外見

変な服装をしている人ははじかれる可能性が高まります。
服装だけではなく、髪型・姿勢なども含めた外見、ということになります。

明らかに不良っぽい外見の人を検察官が拒否していたという話を聞いたことがあります。

弁護側も、明らかに姿勢が曲がっている人がいると、法廷をイメージしたとき、「あんなに姿勢が悪い人がいると調子が狂いそうだ」と考える可能性が高まります。


4.オーラ

これもバカにできません。その人の雰囲気です。

「あの人、怖そう!」というオーラを出されると、弁護側としては無視できません。

評議の際に、「あの被告人は、絶対に許せません!」なんて叫んでいる絵が浮かぶと、護人としては拒否するか、という気持ちになります。



以上の4点をうまくコントロールすれば、弁護側や検察官の目にとまり、拒否される可能性が高まるでしょう。

もちろん、弁護側と検察官はそれぞれ違う視点で見ますので、どちらかを狙うようにしましょう。

「俺のターゲットは検察官だから、被告人に甘いと思わせる筆跡で名前を書くぜ」
「私のターゲットは弁護側だから、眉間にシワを寄せておくわ」
というイメージです。

ここまで、どうしても裁判員になりたくない人のために、色々と書いてきましたが、発想を変えてみるのも手です。裁判員に選ばれる確率はかなり低いのです。何段階ものクジで選ばれ続けないとなれませ
ん。

せっかく候補者にまで選ばれたのですから、できれば拒否されようなんて考えずに、選ばれるように望んだ方が良いかもしれませんね。

この裁判員裁判制度自体に反対する意見も多いです。もし早々と制度が終われば、裁判員の経験|まかなり希少価値が出てきますからね。



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2010/12/20(Mon) | 刑事事件 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
なぜ我が家ではテレビの話ばかりされるのか?
弁護士の石井です。


最近、家に帰ると、家族からは

「えびぞうが大変」
「犯人が捕まった」
「血痕が出てきたんだって」

などと某芸能ニュースの話をされる日が続いていました。

それ以外にも、
「リンゴは○○に良いんだって」
「あのコンビニの○○が美味しいんだって」
などという、全てテレビからの情報。

皆さんの周りにも、こんな人いませんか?

もはやテレビに支配されているとしか思えません。


弁護士という立場上、心配になります。
うちの家族は、騙されやすいんじゃないかと。
テレビでタレントが勧めたら、何でも買っちゃいそうな気がします。怖い。

このようなタレントの信用力は悪用されることがあります。

微妙なポジションのタレントが、悪質商法の広告に載っている、ということはよくある話。
タレントが勧めている(とは限らないけど)んだから、間違いがないだろうと安心させるという効果があるからでしょう。

「自分はそんな影響を受けない」と半信半疑な人もいるでしょう。
しかし、この効果は事実なのです。

私自身、この心理効果を感じたことがあります。
学生時代に、怪しい会員権を買うように勧誘されたことがありました。そのときに見せられたパンフレットには、微妙なポジションのタレントが何人か載っていました。
その写真を見たときに、私自身、「あれ?ひょっとして、これってまともな商品なのかな?」という気持ちが芽生えてしまいました。

人は、ふだん接している人、目にしている媒体には親近感を抱き、警戒心が減るのです。

そのため、ふだん読んでいるパチンコ雑誌に詐欺広告が載っていると、思わず信じちゃったりします。
新聞広告に間違っている情報が載っていても、信じちゃったりするのです。

あなたが宣伝していたから、あの媒体が宣伝していたから買ったのに・・・

ということで、広告に出ていたタレントや媒体の責任が追及される裁判も多いです。


パチンコ攻略法詐欺に関する雑誌の責任は過去の記事で触れたことがあります。

このような裁判は昔からされています。

最高裁平成元年9月19日判決では、新聞発行体や広告代理店の責任が問われました。
新聞広告を見てマンションを買ったところ不動産会社が破産してしまい、マンション着工にも至らなかったことから、買主らが新聞発行社や広告代理店の責任を追及した事件です。判決では、「広告媒体業務にも携わる新聞社並びに同社に広告の仲介・取次をする広告社としては、新聞広告のもつ影響力の大きさに照らし、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、又は予見しえた場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を読者らに提供してはならない義務」があるとしています。

つまり、新聞社や広告代理店は、広告内容をしっかり調査しなきゃだめですよ、と言っています(結論としては責任を否定)。


大阪地裁昭和62年3月30日判決では、詐欺広告に推薦文を載せた芸能人にも責任を認めています。
「被告会社の不法行為が詐欺を内容とするものであることに鑑みれば、被告会社及びその扱う商品を紹介・推薦し、これに対する信頼を高めることは、とりもなおさず被告会社の不法行為を容易ならしめることに外ならない」
「そして本件では、広告主たる被告会社の事業内容・信用性はもとより、その扱う商品(北海道の山林、原野)の価値についても原告ら一般人はその判断資料を殆ど持ち合わせていないのであるから、(中略)いわゆる有名人による第三者的な立場からの推薦が大きな判断資料となる可能性が高いといわなければならない。」


このように、広告やタレントを信じてしまったばかりに騙される例は昔からあるのです。

騙されてしまった事後処理としては、裁判例のように、広告に関わった人の責任追及をしていく方法が考えられますが、一番大事なことは、メディアの情報を信じる、信じないを、自分でしっかりと考えないといけないという点です。

最近、読んだ『ドキュメント戦争広告代理店』という本では、メディアを使った広告代理店が、国同士の戦争の結果に大きな影響を及ぼし、国際的な国のポジションまで決めてしまうという恐ろしい話がされています。
広告代理店が準備した一つのキーワードや一枚の写真で、国の運命が変わってしまうことが実際に起きていたのです。
ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)
ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)


入ってくる情報をそのまま鵜呑みにしていると、恐ろしいことになります。
一歩離れてみる習慣を身につけることが大事です。

私自身についていえば、この習慣を身につけてから、一時的な情報に踊らされず、時間やお金を有効に使えるようになりました。

唯一の問題点は、テレビ狂の家族との会話が微妙に険悪になっていることくらいです。



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2010/12/16(Thu) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
自営業者はダマされ損だ
法律には書かれています。自営業者は保護しない、と。

悪徳商法のような消費者問題では、業者側から「この契約は、営業でしたんでしょ?だから、あなたは救済されないよ」と、よく主張されます。

たしかに、消費者を救済する法律には、このようなルールが決められていることがあります。

たとえば、訪問販売などを規制している特定商取引法という法律では、「営業のために」とか「営業として」契約した場合には、保護しないよ、と書かれちゃっています。

また、消費者契約法という、ウソや強引な勧誘を規制している法律がありいます。ここでも、「事業として」「事業のために」契約した場合には、個人も保護されないようなルールになっちゃっています。

こういうルールは存在するのです。


自営業者の皆さんは、「不公平だ」と感じることでしょう。


そんなときはルールの趣旨から考えてみましょう。


こんなルールはなんで作られたのでしょうか?

そもそも、人が「消費者」として保護されるのは、保護しなきゃかわいそう、と思われているからです。

なんで、かわいそうだと思われるのでしょうか。

それは弱いと思われているからです。


消費者は弱い、事業者は強い。

これが前提になっています。

これは多くの状況で当たっています。

たとえば、事業者が訪問販売をする際、そもそも事業者から仕掛けるもので、訪問される消費者は受け身なのです。
この構造だけでも、消費者は弱い立場に見えます。

さらに、事業者は、事業としてやっているくらいだから、何度も訪問販売を経験しています。
経験値があります。スキルがあります。

それに対して、消費者は、ふつう、あまり経験を積んでいません。

経験を積んでいる場合には、次々商法の対象になっているなど、カモリストに載っている場合です。
ろくな経験じゃありません。

この場合、過去に取引をしたことがあるという経験は、むしろ弱いことの証拠となっています。

このように弱い立場の消費者は守ってあげなきゃね、という考えが出てきてルールが作られたのです。

だから、強いはずの自営業者は守らなくてもいいでしょ?と言われてしまうのです。

今までの考え方は、人は「消費者」と「事業者」の2つにハッキリ分けられるという前提に立っています。

事業者vs消費者

を前提にしています。

事業者vs自営業者

という場合、自営業者も「事業者」なんだから「消費者」として保護しなくて良いよね、という前提。

しかし、実際には「消費者」なのか「事業者」なのかどっちだろう?と迷うケースも出てくるのです。



年金暮らしのおばあちゃんが布団を買わされたのは、営業ではない。消費者です。

では、おばあちゃんが、八百屋を経営していて、ダンボールに入ったトマトの訪問販売を受けたらどうでしょう?

トマトについての商品知識はあり、むしろトマト歴60年のおばあちゃんは、そこらへんの業者よりもトマトについて詳しいトマトマニアなわけだ。
保護してあげた方が良い?

これは大丈夫でしょう。

つまり、営業のためにした契約だから、保護しない、という結論もうなずけるでしょう。


では、八百屋のおばあちゃんが、消火器の訪問販売を受けたらどうでしょう。

営業と関係ない?でも、自営業者だから営業慣れしていますよね?


自営業者や会社が契約した場合、「営業」のための契約なんだから、消費者として保護しなくてよいはずだ、という主張は、非常に多くされます。

この問題はグレーゾーンの問題で、ハッキリとした結論・基準はありません。
いくつかの裁判例をみて、何となくどっちになりそうか?を考えていかないといけない問題です。

たとえば、
大阪高裁平成15年7月30日判決では、自動車販売会社に消火器を訪問販売したケースで、「営業じゃない」と判断しています。
事業内容、営業との関連性から否定し、会社だけど保護しています。

この問題は、内職商法で取り上げられることも多いです。
仕事があるよ、と勧誘してパソコンなどを売りつけて、仕事を紹介しない。
クーリングオフを主張したら、「あなた、仕事するつもりだったでしょ?じゃあ、営業だよね」という主張がされます。
こんな主張に屈してはいけません。

東京地裁平成18年2月27日判決では、在宅ワークを斡旋するといってパソコンを訪問販売したケースで、得られたであろう収入はわずかだったことを理由に、営業じゃない、消費者を保護します。


自営業者や法人だからといって、本来の事業と関係ない契約の場合には、まず主張してみましょう。
ルールの趣旨からしたら保護されてもいいんじゃないの?と。



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2010/12/14(Tue) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「反省文を書け」と言われたときの心構え
弁護士石井琢磨です。

先日、自己破産事件の依頼者と一緒に、裁判官面接に行ったところ、「反省文を提出するように」と言われました。
破産に至ってしまった原因の一つに浪費もある事案です。このような事案であっても、反省文を書くように言われたことは初めてでしたので、驚きました。

そういえば、ある裁判官が担当する刑事裁判では、毎回、被告人に反省文を書いてくるように指示されていました。

裁判官の中には、反省文を書かせたがる人が結構いるようです。


反省文と聞くと、小学生っぽいですよね。
悪いことをしたら、先生から「反省文を書け」と言われて、放課後に教室で書いている。
社会人になってからも始末書なんてありますよね。

このように反省文の類を書かせる側には、反省文を書けば間違いを繰り返さないだろうという狙いがあるようです。

少なくとも間違いを繰り返す確率は減るだろうと。
反省文を書けば浪費しなくなる。
反省文を書けば犯罪を繰り返さない。

破産をする人や刑事事件を起こした人は、ほとんどの場合、反省しています。

それなのに、あえて反省文という文章を書くことに意味があるのか疑問に思う方がいるかもしれません。

しかし、それは違うのです。

紙に書き出すというのは、実は、思った以上に効果があるのです。


サッカーの中村俊輔選手が、高校生の頃からサッカーノートを書いていたのは有名な話です。
不安や自分の弱点もそこに書いていたとか。

脳の中で全てを整理して記憶できる、とっても頭の良い人は別ですが、整理するために紙に書くというのは有効な方法です。

ノート術やメモ術の本がなくならない理由もそこにあるのです。

紙に書くということは、考えをまとめるうえで、基本中の基本だといえるでしょう。

心理学者の内藤誼人さんも、
「自分の内面の状態を紙に書き出すと、気分が落ち着くのである。」
と著書の中で述べており、紙に書き出すことの有効性を説いています。


「気持ちの整理」が一瞬でできる法―もう、対人ストレスで泣かない! (East Press Business)
「気持ちの整理」が一瞬でできる法―もう、対人ストレスで泣かない! (East Press Business)




私も、抱えていることが多すぎて混乱気味のときには、真っ白な紙を机に置き、そこにチマチマと書き出してまとめるよう心がけています。こういう作業をすると、考えが整理され、その後の行動もブレなくなります。

間違いをしてしまったり、問題を抱えている人は、酒に逃げたり、ショッピングなどに現実逃避する前に、紙に書いてみるほうがいい。そのほうが、遙かに問題解決につながることを覚えておいてほしいです。


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2010/12/05(Sun) | 借金問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
カニを送りつけられる
みなさんの家に荷物が届きました。

「お届け物です。代金引き換えで2万円になりますね」

「えっ・・・?なんか頼んだっけ?」

「宛名は○○さんになってますけど、こちらですよね?」

「そうですけど、うーん、誰か頼んだのかなぁ」

「中身はカニになってますね」

「うーん。カニか。食べたいかもなぁ」

目の前に立って、早く仕事を終わらせたがっている運送会社の男性。
さあ、どうします?

払っちゃう?



カニ送りつけ商法の業者が逮捕されたというニュースが流れました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/262388.html

電話勧誘により粗悪なカニを送りつけたという事件。
逮捕された理由は、特定商取引法違反です。電話勧誘で契約する際に必要な書面を送らなかったというもの。

カニに関する悪徳商法は、2008年から増えています。

国民生活センターに寄せられた相談件数も
2005年は40件なのに対し、
2008年以降は、年間2000件以上と大幅に増えています。
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/kani.html

最近では、あのジャパネットたかたさんの名前を騙って送りつけてくる業者もいるようです。
http://www.japanet.co.jp/shopping/support/info12.html


カニ送りつけ商法の一部は、カニカニ詐欺などと言われ、特定商取引法の改正にも影響を与えたものです。


恐るべし、カニ。


2年前から騒がれていた事件ですが、一向に減りません。
この秋に逮捕者が出た事件でも、詐欺罪ではなく特定商取引法違反の罪により罰金刑を受けているに過ぎません。
詐欺罪より軽い。

これも事件が減らない原因の一つでしょう。


「なんでそんなのに、ひっかかるんだよ?」
とみなさんは思うでしょう。

しかし、カニ送りつけ商法は、ワンパターンではないのです。

パターン1:連絡なく送りつける
パターン2:勧誘して送りつける→話と違うものが届く


今回逮捕された事案は、パターン2。

パターン1は、頼んでもいないカニが届くので、業者との間で契約が成立していません。

この場合、法律では14日間はカニを保管しなさい、その間に食べたら契約が成立したものとみなす、14日過ぎるまで業者が引き取らなかったら、業者は権利を失います。その結果、食べても捨てても代金を払わなくて良いことになります。

ネガティブオプションと呼ばれるものです。
架空請求のようなイメージですね。


パターン2は、勧誘して送りつける→話と違うものが届くというケース。
承諾をしているため、一応の契約が成立しています。
こちらは買ったものがイマイチだった、というケースに近いイメージです。

このパターンで、一番ラクな対処法は、クーリングオフ。クーリングオフは契約をなかったことにする制度です。

電話勧誘販売ではクーリングオフができます。法改正でカニもクーリングオフの対象になりました。


パターン1でもパターン2でも契約が成立していなかったり、クーリングオフした場合には、おカネを払う必要はありません。
とは言っても、おカネが前払いか後払いかで結果は大きく変わります。

これらのカニ送りつけ商法では、商品を送った後におカネを請求されるというケースが多かったようです。

後払いの請求に対しては、ネガティブオプションやクーリングオフなど理論的に戦える材料があるなら、それを主張して拒絶すればOK。業者が何か言ってきたら、裁判をしてもらいましょう。

問題は、前払いや代金引き換えで払ってしまった場合です。
もし、相手が詐欺業者の場合、払ったお金を取り返すのは大変なのです。

カニ送りつけ商法では、送りつけた業者の住所が架空だったというケースもあります。


おカネを払え、返せと主張する側が動かないといけないのです。
つまり、トラブルになった場合、払っていない方が強い。

日常生活でも頭に入れておきましょう。
払っていない方が強い。
支払はなるべく後にする。
こうすることで被害に遭いにくくなります。

カニ送りつけ商法の対処法。
パターン1のような覚えがない商品の代引きは拒絶。
パターン2のような勧誘を受けて買う場合も、前払いや代引きはなるべく避ける。


「頼んでないもの、代引きで届いても受け取らないよ」
みなさんがそう考えるのはよくわかります。

じゃあ、みなさんの家族は大丈夫ですか?


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2010/12/02(Thu) | 消費者問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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