普段、裁判事件が多いスケジュールを組んでいると、この時期は若干余裕があります。あるように感じます。
うちの事務所も珍しく弁護士が全員事務所に揃うスケジュールだったりします。
法律事務所を利用する側のみなさんからしてみると、相談の予約が入りやすかったり、弁護士と連絡取りやすいというメリットもあるかもしれません。
ただ、こういう時期には、外回りの仕事をまとめてやったり、長めの書面を書いたり、尋問の準備を進めたりするのが普通。
また、この時期は、弁護士が休みを取りやすい時期でもあります。毎年、この時期に休暇を取って旅行に行っている弁護士もいますね。
私も先日、1日休みを取ってみました。
パソコンや本、iPhoneなどから1日離れてみました。たまには、こういう休暇が必要です。
脳にとっても目にとっても。
休暇後に本を読んでみると、休暇前よりも速く読めました。
どうやら以前はパフォーマンスが落ちていたらしいことに気づきました。
高校の陸上部時代に、先生から、大会前には休むよう言われていたことを思い出しました。
気持ちだけではどうにもならない身体の力があります。
休めるときに休むことで、良いパフォーマンスを維持しましょう。
「脳もよく休むほど、よく覚えられる。頑張って学習して経験した分、休息もそれだけ十分に必要になるのです。」
『脳を休める』より
脳を休める

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以前、高すぎる慰謝料を請求されている事件を担当しました。
高すぎる請求をされる事件はよくあります。
損害賠償、離婚、不貞など多くの事件であります。
裁判を起こし判決で認められるであろう最終金額よりも上乗せをして裁判を起こすこと自体はよくあることです。
いわゆる相場よりも高額な請求です。
これは、多くの場合、裁判を無視させないためや、裁判における交渉材料として機能させるなどの目的があります。
最近みかけるのは、こういう目的以上に高額、例えば相場の何倍も請求されている事案です。
判決で認められるであろう金額がせいぜい300万円程度なのに、3000万円の請求がされているような事案。
何が狙いなのでしょう。
相手をびっくりさせるのが目的なのでしょうか。
社会への波及効果でしょうか。
私個人としては、必要以上に金額を上げた請求をするのは好きではありません。
しかし、最近読んだ本にはこんな記載がありました。
架空の損害賠償請求事件について、学生を模擬陪審員にした実験です。
学生や四グループに分けられ、各グループは、要求された損害賠償金は、それぞれ一〇〇ドル、二万ドル、五〇〇万ドル、一〇億ドルだったと聞かされた。
要求額 認定額
一〇〇ドル 九九〇ドル
二万ドル 三万六〇〇〇ドル
五〇〇万ドル 四四万ドル
一〇億ドル 四九万ドル
陪審員たちは驚くほど乗せられやすかった。
陪審員が認める金額はつねに原告側の要求よりも低かったが、その額は、要求額に比例して高くなっていた。
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則

請求額がアンカリングとして機能し、認定額の判断の際にその影響を受けるという内容です。
あくまで陪審員という一般市民の判断であり、実験の結果です。
しかし、このような効果があるなら、高すぎる請求をしてみようという動きが起きてもおかしくありません。裁判は請求金額によって印紙代が変わりますので、印紙代の増額分を上回る効果があるなら、経済的にはやってみる価値があるということになります。
ただ、上記と異なるのは、日本の慰謝料金額を決めるのは、職業裁判官という点です。
アンカリング効果を狙っての高額請求だな、と職業裁判官なら気がつくはず。
そうだとしたら、最終金額が上がるだろうと見込んで、請求金額を上げることは、印紙代の無駄。
しかし、稀に、職業裁判官でもアンカリングの影響を受けていると思わざるを得ない方がいます。
こちら側が相場に近い金額を払うと譲歩しても、相手方がなかなか応じないケース。
裁判官から、こちら側に「もう少し金額を上げられませんか」と相場以上の譲歩を迫ってくる。
「これ以上の譲歩は無理ですよ、金額は十分に上げてきたじゃないですか」
「いやー、でも、相手もね、3000万円からかなり減額してくれてるわけですよ」
「いや、その3000万円って不当に高すぎる請求ですから。そこがスタートっておかしいですから」
裁判官が本気で「相手が3000万円から譲歩した」と思っていたとしたら、日本でも高額請求をしてみる価値があるということになってしまいます。
そういうことはよろしくないだろうと思いますので、目的なく高額な慰謝料請求をされたときには、『プライスレス』を証拠提出しようと思います。
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則

ほんのむかし、あるところに、ベンゴシと相談者がいました。
相談者は「慰謝料は100万円くらいですかね?」と聞きました。
ベンゴシは答えました。
「高めに請求をした方が良いですよ。低すぎる金額を請求しても、相手に無視されちゃうかもしれないし」
「じゃあ、150万円くらいですかね」
「いやいや、もっと高めに請求しておいた方が良いですよ。
そうそう、この本を見なさい。プライスレス。
高い請求をした方が、最終的に認められる金額は多くなるそうだよ」
「え、じゃあ、いくらくらい?」
「3000万円くらい請求してみようか」
「そ、そんなに?」
「いやいや、これはもらえる金額ではないですよ。
これくらいの請求をすることで、最終的にもらえる額が増える可能性があるということです」
「ホントですか?いくらくらい増えるんですかね?」
「それは裁判官次第なので、何とも言えませんよ」
「うーん、よし、じゃあ3000万円請求して下さい」
「じゃあ、3000万円の裁判を起こす場合の印紙代が11万」
「げっ、そんなにかかるんですか?」
「あと、ベンゴシの着手金は、請求金額の5%だから・・・」
「え、そこもそんなに!?」
なーんて、事態にならないように注意して下さいね。
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先日、事務所スタッフ1名が出産退職するため、送別ランチをしました。
本厚木駅南口の「じょ里ぃ」さん
デザートにサービスで文字を入れてくれました。

「安産」
西洋懐石料理お店ですが、完全“和”の文字入れにも対応してくれました。
しかも、普通に予約の電話を入れたら、
「なにかイベントですか?」
「デザートになにか文字を入れましょうか?」
と何も聞いていないのに、サービスに誘導してくれました。
予約をしたときには、文字を入れてもらうなどという発想は全くありませんでしたが、お店から言われてみて、初めて「楽しそうだからやってもらおうか」という気持ちが湧いて出てきました。
人と接する仕事で、大事なもの。
質問。
我々の仕事にも当てはまります。
相談者の本心やニーズはすぐには語られないもの。なかには自分では気がついていない方もいます。
いろいろな質問を投げかけて、本当に良い解決は何かを探っていくことがあります。ときには挑戦的な質問をすることもあります。
質問を受けて答えているうちに、ごちゃごちゃしていた物事が整理されることもあります。
法律トラブルを抱えている方は、一度、専門家からの質問を受けてみると良いかもしれません。
なお、この「安産」
チョコレートで描かれていたので食べられるのですが、
「この安産って、崩して食べても良いんですかね?」
とスタッフから質問されました。
「安産」を崩す。うーん、そういえば、なにか良くないような気も!?
結局、安産ごと飲み込んでお腹に入れれば良い、という話になって食べていました。私の、先読み力が少し足りなかったようです。
元気なお子さんを無事産んで欲しいと、事務所みんなで願っています。
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いくつかの借金をひとつの金融機関にまとめるものです。
銀行や消費者金融の中に取り扱っているところがあります。
もともと複数の消費者金融などで年利20パーセント台の借金をしていた人が、「借金がたくさんあってわからなくなってきたので一本化したい」と考えて使うことが多いようです。
借金をまとめさえすれば、生活が楽になるという発想。
実際に返済がラクになるケースもあります。
年利20パーセント台の借金を支払っていたものが、10パーセント台まで落ちれば、当然支払総額は減ります。

「おまとめローン、比較」などで検索すると、
多くの銀行は、年利を数パーセント~10パーセント台中盤までで設定しているようです。
今まで20パーセント台の利息を払っていると、10パーセント台中盤でも安いと感じてしまう。人はそういうものらしいです。
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則

「買う側が気にかけるのは、主に値段の違いという相対的なことであって、絶対的な値段ではない。」
「物の値段がどれくらいに「設定されているか」をおぼえているので、物の価値を間違いなく感知できるような気がしていられる。」
『プライスレス』より
ただ、おまとめローンには少なくとも3つの問題があります。
まず、そもそもまとめた後の利息払えるの?という問題。
10パーセント台でしかまとめられない人が、この利息を支払うことが厳しいのであれば、そもそもおまとめローンを使うことは望ましくない。問題の先送りにすぎません。
業者でも審査はしているのでしょうが、最近、おまとめローンを過去に使ったけど、結局支払えなくなって、借金相談に来るという方が増えています。
何のためにまとめたのでしょうか?
2つ目が、完済業者からまた借りちゃうという問題。
おまとめローンのメリットとして信用情報に登録されないという点があげられます。しかし、これは両刃。再度借入ができてしまう。
完済した業者から「もう一回借りませんか?」と勧誘が来ることもあります。誘惑に弱い人は借りちゃう。
おまとめローンを使って、それまで借りていた消費者金融に完済したのに、数ヶ月後にまた借りちゃう。
おまとめローン+今までと同じような借金
を返すような状態になってしまい、結果的にかえって苦しくなっているケースも。

借金相談に来る方には、「もう借金はしたくない。借金ができないようになった方がいいんです」と言ってくる方が結構います。
おまとめ後の~10パーセント台の利率と、再度借入ができる環境。
この環境に自分を置いてみて、本当にラクになるのか、イメージしてみましょう。
3つ目は、グレーゾーン金利の精算がされないという点。
おまとめローンで完済をした業者が利息制限法の利率を上回っている場合には、完済業者に過払い金の請求ができます。
もし、おまとめ時点でグレーゾーン金利の計算をしたら過払いだったという場合には、そもそもおまとめローンで払う必要がなかったということになります。
この3点の問題点が気にならないなら、利用してみるのも一つの考え。
でも、単に問題を先送りにすることだけは止めましょう。時間の無駄、命の無駄です。
弁護士等によって、おまとめローンと比較されるのが、任意整理という方法です。自分で頑張るなら特定調停。
借金が減るスピードだけ考えるなら、こちらの方が優れています。
一応、弁護士業界では、任意整理をする際の基準が決められていて、将来は利息を付けない形で和解をするようになっています。つまり0パーセント。
200万の借金を年利10パーセントで月に3万円ずつ返すと、完済まで約8年。
15パーセントなら10年以上。
これに対し、年利0パーセントなら5年半で返し終わる計算です。
ただし、現在、一部の貸金業者は、上記のような0パーセントの和解を拒絶するケースも出てきていて、残念ながら和解がまとまるという保証がないという状態になってきています。今はせめぎ合いの段階。
任意整理の場合には、上記のように過去に払ってきたグレーゾーン金利の精算がされるので、その分の借金の元金自体が圧縮される効果もあります。
専門家の立場からすれば、費用をかけてでも任意整理をした方が経済的なメリットは大きいことがほとんどだと感じます。
ただ、そもそも任意整理でも(利率0パーセントでも)払えそうもないという方もいます。元金を分割するだけでも払えないという場合です。
おまとめローンの問題点1は任意整理にも当てはまる話。
おまとめローンだけではなく、任意整理まで問題の先送りになってしまっては仕方がありません。
任意整理をしたことで、借金ができなくなった、ヤミ金から借りちゃった、では事態が悪化しています。
借金した原因はなんなの?というところを突き詰めて解決しておくことも必要です。
そして、借金に追われる生活をいったん離れ、仕事や生活に集中する。
たぶん、問題は借金の状態だけではなく、色々なものの負のスパイラルなのです。そこから抜け出すことが大事なのです。
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渋滞のとき、2車線が1車線になる際の合流箇所。
1台ずつ入れてもらうというのが暗黙のルールになっていますよね。
しかし、その合流箇所を抜けて、かなり先の地点で、何とか割り込んで入れてもらおうとしている車を何台か見かけることがあります。
渋滞でイライラしているような運転で、なりふり構わなくなっているように見えます。
人は、追い詰められると、なりふり構わなくなってしまうものです。
ルールなんて関係なくなってきてしまいます。
車の運転には余裕を持ちたいものですね。
最近、ある裁判で問題が起きました。
裁判期日で主張することは、準備書面という文書にして事前に提出しておきます。
裁判期日の前に、相手方に届いていれば、その準備書面を陳述し、書いてある内容を主張したことにできます。
そのため、期日前に相手方に届けておく必要があります。
一般的に、この準備書面を届ける方法は、直送と呼ばれ、当事者間でおこなうことになります。
具体的には、書面を相手方にFAXや郵送して、相手方から受領書を裁判所に送ってもらうことになります。これで届いたと扱われることになります。
書面を受け取ったからには受領書を出さないといけません(民事訴訟規則83条2項)。
しかし、最近、この受領書を出さない業者が出てきています。
書面を確実に受け取っているのに、受領書を出さない。
裁判期日にも来ない。
そのため、余裕をもって準備書面を作成して提出しているのに、裁判期日で主張したことにならない。
裁判でも、「じゃあ、これは次回期日に陳述と言うことで」と言われ、裁判が無意味に延びていく。
たまたま受領書の提出ができなかったのか?と思いきや、他の弁護士や裁判所の話を聞くと、こういうことが何度か起こっている業者ようです。
これでは直送というシステムが機能しなくなります。
人も会社も、追い詰められると、なりふり構わなくなってしまうものです。
ルールなんて関係なくなってきてしまいます。
そんなときは、ルールが形骸化しないように、ルールに則って解決するしかないですね。
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昨年、ヤマダ電機で買い物をする際、ポイントを使おうとしたところ、「有効期限が過ぎて失効しています」と言われてしまいました。
そういえば、ヤマダ電機に来たのは久しぶりでした。
5000ポイント以上貯まっていたので、ショックでした。
それ以来、あらゆるポイントは、すぐに使うことにしています。
TSUTAYAでも本厚木ミロードでも、貯まったポイントはすぐに使う。
最近読んだ本。
激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ 10円缶コーヒーでもなぜ利益が出せるのか?

「激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ」
タイトルは怪しげですが、世の中の価格のカラクリから、賢い消費者になるための知恵を学ぶことができる良書です。
この中に、ポイント制度のカラクリを店舗側から説明した後、「ポイント」を利用する側の私たちが、ポイントにどう接するべきか書かれた箇所があります。
「ポイントを貯めることを自己目的化せず、目の前の商品が本当に安いかを確認して買う。ポイントをバックする店ではなく、現金値引きの店で買う。ポイントを発行する店では、ポイントを残さず、常にすぐに使い切る。」
というのがポイントのポイント。
ポイントに限らず、誰かと取引をする際には、相手の立場から物事を考えることが大事です。
そういう視点を持ち続ければ、変な商法に引っかかることも減るはずです。
この本の第5章には「バラしてはいけない商売の裏手口」とあり、展示会商法、詐欺占い師、宗教商法などの手口が書かれていて、勉強になります。
業者側の考えとして
「人の財布を開かせるには、①おだてる、追い込む、帰らせない ②騙す ③洗脳するの3つのどれかを実行するだけでよかったのです。」
とあります。
これが全てではありませんが、このような考えを相手が持っていると知っていれば、警戒することができます。
「せんせ~、お若いのに独立されていてすごいですね~」などと営業マンから言われても、「さーて、この的外れなおだての後に何が来るんだろう?」と一歩引いてみることができます。
エステなどのお試しだけで帰ろうとした際、「いまの○○さんにオススメのクリームがあるんですよ」と言われたときは、オススメなんだ~と思うだけでなく、「帰らせない」手法の一つかもしれないと考えることも必要です。
一歩ひいて、相手の立場から物事を考える癖をつけましょう。
さらに、本書では、
「人は、根源的な誤解を持ちがちです。」
とあり、その具体例の一つとして
「あまり知識がないのに、「誰もが知らない、絶対儲かるビジネスを見つけた」という誤解。」
が挙げられています。
絶対に儲かるなら、相手の立場からすれば、自分で買って儲かれば良い話ですからね。
国民生活センターでも注意が呼びかけられています。
「絶対儲かる」「必ずモテる方法」などという情報商材に注意。
「必ずモテる方法」だと、引っかかりそうな知人の弁護士がいます。注意喚起しておかねば。
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「秋田県での不招請勧誘禁止条例制定の取り組み」という記事が載っていました。
県民に対する悪質商法の勧誘を条例で規制しようという動きです。条例自体はまだできておらず、その制定に向けた取り組みの話。
今回の記事は、高齢化率全国一の秋田県で、県民を悪徳商法から守ろうと、有志議員や弁護士による活動の報告記事です。
法律だけでは規制が弱いため、「法律がダメなら条例で」をモットーに活動されているとのこと。
この活動のきっかけは、「雑談の席上、秋田県議に、秋田県の消費者被害の現状について話をしたところ、これは何とかしなければならないということになり、党派を超えたプロジェクトチームができ」たとのことです
条例案の内容は、
勧誘を受けたくない人は、登録をすることでステッカーを知事から交付してもらう。
これを標示している人に勧誘をした業者には罰則もある。
というもの。
残念ながら、いま審議は止まってしまっているようです。
一般的に秋田県民は真面目だと思われているようで、私が何人か会った秋田出身のお客様も真面目な方が多かったです。
真面目ゆえに、人の話を聞いてしまい、悪徳商法にも引っかかってしまうのでしょうか。
強い勧誘規制には、多くの業者が抵抗を示すでしょうし、線引きも難しいでしょうが、全国に先駆けて地方から動こうという発想はすごいと思います。
神奈川が全国に先駆けて屋内での喫煙を規制する「受動喫煙防止条例」を施行するのと似ています。
この話の場合、知事の実現に向けた決意が強かったということもあります。
この話が出た当時、まさかマクドナルドが全面禁煙になるとは予想していませんでした。
一人の意思、一人の動きが、世界を変えるきっかけになるのかもしれません。
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裁判員裁判では、裁判を連日開くというスケジュールが基本です。
いままでは、あの日は証人尋問、弁論はその何週間後、というスケジュールだったのですが、裁判員の方がそんなスケジュールに対応できるわけもなく、裁判を連日開くということになりました。
ということは、弁護士は、今まで、証人尋問の結果を紙にした調書ができるのを待って、弁論を作れば良かったのですが、これができない。
基本的には、証人尋問の話を聞いて、すぐに弁論に反映させなければいけない。
ただ、弁論の準備をする際に、「あれ?あの証人、この点はどんな証言をしてたっけ?」と思い出せないこともあると思います。
そんな場合のために、裁判所では、証人尋問を録画したDVDを貸してくれるそうです。
ただし、その場合には、DVDを再生するパソコンについて、条件があり、その条件を守るという誓約書を書かされるようです。
支部の研修会で配布された誓約書の内容を一部抜粋すると
「1 音声認識再生ソフト及びリンクデータ(以下「ソフト等」という。)の利用に当たっては,次の(1)又は(2)のパソコンを使用します。
(1)今後インターネットに接続することのないスタンドアロン機のパソコンであって次のアからウまでの要件をいずれも満たしているもの」
今後インターネットに接続することのないパソコン自体がない。
クラウドにデータを置いている事務所もあるというのに、ネットに接続するな、とは厳しい要件です。これは無理。ちなみに、アからウは以下の(2)とほとんど同じ要件です。
というわけで、誓約書の(2)のパソコンを見てみると
「(2)インターネットに接続しているパソコンであって,次のアからウまでの要件をいずれも満たしているもの
ア ウイルス対策ソフトウェアがインストールされ,最新のウイルス定義ファイルが適用された状態であり,かつ,最新のセキュリティパッチが適用された状態に保たれていること。
イ ファイル共有ソフトウェアを一度もインストールしたことがないこと。ファイル共有ソフトウェアをインストールしたことがある場合には,オペレーティングシステムの再インストールを行い,ファイル共有ソフトウェアを完全に消去していること
ウ ログインパスワードを設定していること。」
さらに、この場合には、次の要件が必要になります。
「1の(2)のパソコンを使用する場合,パソコンの内蔵ハードディスクに音声認識再生ソフトをインストールしダリンクデータを取り込んだ後,4によりこれらを完全に消去するまでの問は,無線LAN利用の場合も含めパソコンをインターネット環境から物理的に切り離して使用します。」
ネットに接続するパソコンを使うなら、ウイルスソフトをしっかり入れて、ファイル共有ソフトウェアを使わない。アとイは、法律事務所なら当然ですね。
問題は、ウのログインパスワードの設定。
私は設定していません。データを持ち歩くときには、データフォルダ自体にはパスワードをかけますが、ログイン自体は制限していません。
この設定をしないとDVDは借りられないようです。
さらに、厳しいのが、証言データを利用中は、ネットから切り離さなければいけないという条件。
これは厳しい。
いまどき、パソコンをネットにつなげないと、なにもできません。
結局、弁論の準備など作業をするパソコンとは別に、無線LAN機能をオフにした、DVDだけ観るパソコンがもう1台必要になりそうです。
出番がきたか、レッツノート集団。
いざ自分が裁判員裁判を担当した際、はたして、過密スケジュールのなかで、結構面倒な作業をしようと思うでしょうか。
DVDを観ること自体断念しそうな気がします。
むしろ、ここまでの誓約書を書かせるなら、裁判所がDVD再生用パソコンを貸与してくれれば良いのに。
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相続財産管理人は、死亡した人に相続人がいない場合に、その人の財産を管理して債権者に配当したり国に納めたりする仕事です。
同様に裁判所から選ばれて他人のお金を預かる仕事として破産管財人や成年後見人があります。
破産管財人は破産者の財産を回収・管理して、債権者に配当する仕事。
成年後見人は、高齢などで判断能力がにぶってしまい、契約ができないような方の財産を管理する仕事。
これらの仕事に弁護士が選ばれることも多いです。
法律的な処理ができるということのほかに、弁護士ということで信頼できる、財産を管理させても大丈夫と思われていることも理由の一つでしょう。
弁護士というだけで信頼できると思われている。
しかし、残念ながら、「破産管財人 横領」「成年後見人 横領」などのワードで検索すると、弁護士の横領事件があったこともわかります(成年後見では親族や他士業の事件も多いですが)。
横領事件というのは、なくなりませんね。
いろいろな会社から、従業員の横領事件について相談を受けます。
同業者のなかにも、そういう人が含まれていることは非常に残念なことです。
残念だけにとどまらず迷惑でもあります。
破産管財人などの立場で、スムーズに活動するためには、ある程度の裁量を認めてもらうことが望ましいです。
以前は破産管財人名義の預金口座でキャッシュカードを作ることができませんでしたが、数年前にこれが可能になり、ちょっとした支払が簡単にできるようになり、管財人としては便利になりました。
しかし、不祥事が続けば、裁量を減らして裁判所が監督する方向に話が進むでしょう。
被疑者国選の接見回数水増し問題で、現場の負担が増えたのも似たような話です。
弁護士に対する信頼が失われるということは、利便性が失われ、我々の時間が奪われるということ。
時間は命の一部と考えれば、我々の命が奪われるということ。
迷惑な話です。
どんな気持ちで横領したのか分かりませんが、直接の金銭的被害だけではなく、多くの人への影響があることも考えてもらいたいです。
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「フルマラソン完走しました」
彼女は、走り始めて、まだ数ヶ月。
初の本格的レースがフルマラソン。
なぜ、そんな短期間に目標を達成することができたのでしょうか。
もちろん本人の努力、素質などもあるでしょう。
しかし、一番の理由は、彼女のセリフから発覚しました。
ランニングの話をするたびに
「先生から週に○回、○キロを走るように言われているので、そうしています」
「1ヶ月前には○キロ走って、3週間前には○キロ、2週間前には○キロと言われています。○日前から休みます」
と言っていました。走ることについて、師事する人を見つけて、その教えを素直に実行しているのです。
勘だけで練習していたら、おそらく今ほどの結果は出せなかったでしょう。
私は、人の「教えを素直に実行する」という点が苦手です。
高校時代、陸上部の練習で、先生の教えを聞かず自分の勘だけで練習していたので、練習し過ぎて疲労骨折するという大失敗をしました。
この素直さを少しは学ばせたいものです。過去の自分に。
短期間に目標を達成するコツは、既に目標達成した人から教えを受けること。
その人は、近道を知っていますからね。
ただし、近道をうまく教えられるかどうかは別問題。
近道の通り方をうまく教えられる人物であることが大事です。
つまり、目標達成をした過程をノウハウ化できているかどうか。
さらに突き詰めると、その人自身は、目標達成をしていなくても、多くの目標達成者を生み出している人から教えを受けることでも良いですね。
目標達成方法をノウハウとして持っている専門家の教えを受けるという視点です。
そういう人を見つけて、教えを実行すれば、目標を達成できるはずです。
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第三者から見れば、どう考えても、この場で話をまとめるのが金銭的な側面からはベスト。調停事件で、調停委員も同様の考えで、説得しているのに、感情面のみを理由に話をまとめない。
その後、訴訟等になり、当初の条件よりも悪化した内容でしか解決できなくなる。
感情的な問題は時間が経たないと解決できないということもわかりますが、後悔することもあるのではないでしょうか。
いずれ解決しなければならない問題で、なんらかの解決を望むのであれば、一度自分の感情を離れて見てみることを勧めます。
最近読んだ本にこんな記述を発見しました。
効果的交渉を妨げる意思決定バイアスの例として
「人は合理的分析によって推奨されるやり方よりも、過去に選んだ行動の方向性を継続しがちである。誤った方向性へのこうした固執は、膨大な時間、労力、資金の浪費につながりかねない。」
『組織行動のマネジメント』より
【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

一貫性の法則が悪い方向に出た場合の例ですね。
関連記事「人は一貫していたい。法律問題の場面でも。」
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http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100303_1.html
りんごやみかんの訪問販売です。
試食をさせたうえで、買うと決めた後に高額代金を提示したり、強引に購入を迫ったり、試食したものと売られたものの味が全く違うという点が苦情として出てきています。
もっとも問題なのが、売主の連絡先が一切わからない、という点。
現在の法律では、3000円以上の代金であれば、クーリングオフが可能ですし、3000円未満でも上記のような事情があれば、消費者契約法などを使って契約を取り消すことができそうです。
法律上は。
法律上は請求できますが、実際にクーリングオフなどの通知はどこに送る?誰に請求する?という問題がでてくるのです。
お金の請求をする際に、一番大変なのは
相手が誰だかわからないということ。
次に大変なのは
相手が誰だかわかっても、お金がないこと。
「お金の請求をしたい」という相談を受けたとき、私は、法律上請求できるのか?という点を細かく検討する前に、まずこの2点を確認します。
振り込め詐欺のような事件では、相手が誰なのかわからないことがほとんど。
振り込んだ口座からお金が引き出されてしまうと、被害の回復が難しくなります。
相手がわからないから。
居場所も名前もわからない外国人女性にお金を貸したなんてケースも難しい。
相手がわからないから。
誰だかわからない人にお金を渡すということは、それを返してもらえる可能性はものすごく低くなるのだということを忘れない。
相手が誰だかわからない、の一つの類型として、相手会社の名前は聞いたけど、覚えられないというのも問題ありそうですね。
「社名が覚えにくい会社の一部には、あえて「社名を覚えにくくすること」を狙って命名している場合もあるのではないか
つまり、被害者からの「口コミ」や「被害届け」を回避するための命名かも知れないということです。」
『人にはぜったい教えたくない「儲け」の裏知恵』より
人にはぜったい教えたくない「儲け」の裏知恵 (青春文庫)
例「こんにちは、株式会社スリジャナワルダナプラコッテですが、りんごいかがですか?」
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「裁判を起こす、という通知が来たんですけど、どうすれば良いですか?」
という相談を受けることがあります。
私の回答は「相手次第」というものです。
「裁判を起こす」という通知には
架空請求から、弁護士が代理人に就いて裁判を起こす前のほんの警告に過ぎない場合まで幅広くあります。
相手によって、対応は変わります。
架空請求なら無視すれば良いし、弁護士が就いて裁判前の警告である場合に、裁判を起こされたくないなら、早急に弁護士に連絡するなど何らかの対応をする必要があります。
「相手次第」の内容が、「架空請求」から「弁護士」の間のどこかに位置するという場合、相手のポジションを考えます。
どの程度、どちら側に近いか。
「裁判を起こす」と言われて、あわててはいけません。
冷静になってみましょう。
相手の立場になって考えてみましょう。
そもそも相手は裁判を起こせる立場にいますか?
例えば、ヤミ金。
弁護士が就いてヤミ金に連絡する場合、普通は
ヤミ金から受け取ったお金は返さない
払ったお金は全額返すよう請求する
という最高裁判決で認められた法的主張をします。
ヤミ金から10万円を受け取って、利息として13万円払った場合、
13万円全額を返すよう求めます。差額の3万円ではありません。払った全額。
このような主張が通った場合、ヤミ金から借りたことで経済的にプラスになるケースが出てきます。受け取った元金ですら返さなくてよいわけですから。このような理屈を最高裁が認めたのは、あまりにもヤミ金が違法だからです。
ただし、実際にヤミ金から回収できるかどうかは別問題ですし、ヤミ金から借りるということは経済的なプラスマイナスでは計り知れない精神的負担が伴いますので、間違っても、ヤミ金から借りようなどと思わないようにしてください。
ヤミ金に対して、上記のような法的主張をしていくなかで言われることがあります。
「先生、元金くらい返してよ」
「返せないですよ」
「なんで?おかしくない?」
「おかしくないですよ。最高裁の判決が出てますからね。」
「そんなんじゃうちも商売やっていけないよ」
「商売やることが違法だからね。やめた方がいいんじゃないですかね」
「いやー、先生、私は、個人的に貸しただけなんですよ。だから元金だけは返してよ」
「みんな、途中からそう言いますよ。でも返せないですね」
「じゃあ、本人に請求するよ」
「だめ。さっき、私が間に入ったって言いましたよね?本人に請求したら、慰謝料も請求しなきゃいけなくなりますよ。」
「だって、先生の言ってることおかしいじゃん」
「もし、私の言っていることがおかしいと言うなら、裁判を起こして主張してくださいよ。
裁判所が認めるなら仕方がないですから」
ヤミ金が裁判を起こしてくると思いますか?
元金と年利1000パーセントの利息を裁判で請求してきますかね?
他人名義の口座と他人名義の携帯電話を使って、個人的に貸したと主張してきますかね?
いまは身分も明かさずに遠くから電話をしているだけ。そんな彼らが裁判所で身分証明書を提示しますか?
ヤミ金や極端な例ですが、同じような発想をしていくと、相手方に法律的な弱みがある場合には裁判を起こしてくる可能性が減ってくるということになります。
相手が、本当に裁判を起こした際に、こちら側から大反撃されてしまう事情があるときには、裁判は起こされにくいです。
その場合には、裁判を起こされにくいことを前提に動けば良いということになります。
もちろん、100パーセントも1000パーセントも正しく相手の行動を当てることはできませんが、冷静になり相手のポジションを考えることで、予測の精度は上がります。
裁判を起こすという言葉だけで無意味にあわてないようにしてください。
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