AV出演を断ったら違約金を請求された問題
弁護士石井琢磨です。

先週、AV違約金問題が話題になっていました。

女性が芸能プロダクション等と契約
→AV出演を求められ、断る
→プロダクションから女性に対し違約金請求

この請求が裁判まで発展していたところ、9月上旬に東京地裁が請求を棄却。その判決が確定したということで、記者会見が開かれ報道されていました。

AV違約金



この問題は、私が弁護士になったばかりの十何年前にも同期の弁護士との間で話題になっていました。

一応、契約上は、違約金請求が認められそう。
契約を無効にできる事情まではない。
などの建前論を話し合った後、
「でもさー、裁判になったときに、裁判官が『AVに出ろ』って判決を書くとは思えないよね」
という常識論で、当時は、酒と共に飲まれていってしまったのですが、
常識論の判決が出たようで良かったです。


今回の判決文は見当たらなかったのですが、女性の代理人弁護士の記事によれば、
判決では、
プロダクションと女性との間で結ばれた営業委託契約を雇用類似の契約と認定
そのうえで、雇用契約を解除する「やむを得ない事由」(民法628条)を認めたとのことです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151001-00049989/

AVは、出演者である被告の意に反してこれに従事させることが許されない性質のものなのに、これを強制されるのでは「やむを得ない事由」があるとされたわけですね。

代理人弁護士の記事では、意思に反していることを証拠化しておくのが大事とされています。
まさにそうですね。
メールやLINEなどで形に残しておくべきだと考えます。

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この件の報道では、悪質商法の勧誘と同じ手口が紹介されていました。

たとえば、こんな感じ。

女子高生や大学生が繁華街で、「芸能事務所のスカウト」や「テレビ番組の出演」を理由に勧誘され、断り切れずに事務所や 車の中に連れて来られる。
「年齢確認のため」という理由で、学生証や免許証などのコピーを取られる。
その後、複数の男に囲まれるなどして、服を脱いで写真を撮影される。
身分証明書とともに写真を公表すると言われ、契約書へサインさせられる。
契約書にサインをしてしまうと、それを理由に、アダルトビデオへの出演を求められる。
撮影が終わると、女性側は数千円の謝礼を受け取らされたり、領収書にサインさせられたりする。「合意のうえでの撮影だった」と主張するための証拠として使われる。

少しずつ外堀を埋めて断れない状況に追い込んでいく手口は悪質商法そのもの。
悪質商法なら、被害の大部分は、まあお金なわけですが、今回のケースではお金では取り返せない性質のものですからね。
気をつけないといけません。


一方で、このような、「AV業界けしからん」というムードには、業者側からの反論もあります。

『AVビジネスの衝撃』という本では、上記裁判の代理人弁護士の過去記事に対して、反論がされています。

「スカウトではなく、求人サイトで自分の意志でプロダクションに応募できるようになって、現在は自らAV女優になりたいという女性が激増している。人権派の弁護士事務所に駆け込むような"意に反して出演し続ける”女性をプロダクションは所属させる必要はないし、女優に前向きに働いてほしいAVメーカーはキャスティングしない。わざわざ、このような危なっかしい女性を使う必要性がないのだ。」

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この本の中では、10年以上前には悪質な勧誘が横行していたことも指摘されていますが、今は需給バランスが変わったと主張されています。


ただ、悪質な勧誘手法の一般的な傾向としては、流行していた手口が急に消えることは少ないです。
減ったとしても、ゼロにはなりにくい。
まして、この本の中では、AV業界は経営が厳しいことが繰り返し書かれています。


おそらく、以前は、ものすごい数の被害が遭った。
それが減っては来ている。
ただ、ゼロではなく、被害者がいて、被害団体にもアクセスできるようになり、救済者が増えている。
という話なのではないでしょうか。


プロダクション側も意に反する女性を所属させる必要性はないということですので、誤解されぬよう多額の違約金条項なんかは契約書から削除しておくとよろしいかと思います。


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2015/10/09(Fri) | news | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
想定内。司法試験の問題を漏らしたニュース
弁護士石井琢磨です。

司法試験の問題を学生に漏らしたニュースが話題になっていますね。
http://www.sankei.com/affairs/news/150909/afr1509090031-n1.html

大したニュースになっていないだろうと思っていたら、テレビ好きの方から「今日は1日中、そのニュースだった」と聞かされ、ビックリしました。

テスト



私も、司法試験の問題を教えてもらったことありますよ。

私が受けた論文試験の民法では、大学1年のときに期末試験で出たテーマが出ました。
たまたま、その先生が、私の受験時に司法試験委員になっていたのでした。
3年前に問題を教えてくれるなんてステキな先生でした。


あと、今回の件で、私の時代まで捜査の手が伸びるのではないかと怯えています。

実は、私、民事訴訟法の論文試験前日、1コ下の後輩から
「石井さん、明日の民事訴訟法、何が出ますかね」
と聞かれ、ドンピシャで当ててしまったのです。

あの後輩から「石井は試験問題を知っていたに違いない」と告発されたら厄介なことになりそうです。


その後輩は、私のおかげで、さぞかし良い点数を取ったのだろうと思って聞いてみると、
「当たったって言っても、あの程度じゃどうしょうもないですよ」
と石井の言うことなんぞ全くあてにしてなかったようで、その年は残念な結果になっていました。



私の時代とは試験の仕組みが違っていますが、受験生は必死なのは同じです。
みんな、少しでもラクして受かろうと、司法試験委員になった先生方が興味を持っているテーマを探り、情報が出回るのです。
その人の出している本を買ったりだとか。
なかには、他の大学の司法試験委員の講義に潜り込んでいた人もいます。普通に勉強した方が早そうなものですが。

偉そうな事は私も言えず、3年生になるときに、司法試験委員をしている先生のゼミに入ろうとしました。
きっとゼミに入れば、問題を教えてもらえるに違いない、と淡い期待をしていたのですが、私の下心はあっさりと見破られたようで、友人たちがそのゼミに入るなか、私だけが落とされてしまいました。

このように受験生は必死ですので、司法試験委員の先生がそんな受験生の心理につけこもうとすれば簡単ですね。

偉い先生がそんなことするはずない!
なんて前提に立つと、
警察が性犯罪を犯した
弁護士が横領した
とかのニュースで騒ぐんですよ。

どんな分野でも、一定の割合で問題を起こす人が出てくる、確率論的な考え方をしておくことが大切ですね。

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2015/09/10(Thu) | news | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
不倫SNSで責められ、自殺を考えている人向けの対策
弁護士石井琢磨です。

以前に取り上げた不倫SNSの情報流出問題で、自殺者も出てしまったと報道されました。
http://www.cnn.co.jp/tech/35069362.html

参考記事「不倫サイト情報流出問題」
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-765.html

危惧していた詐欺以外に、恐喝事件も起きているようです。



仕事用のアドレスで登録していたりすると、地位もバレバレですから、恐喝のターゲットになりやすいのでしょう。

Newspicksで、このニュースに対する荘司雅彦弁護士のコメントが刺さりました。引用します。
https://newspicks.com/news/1124948?ref=user_100616


『社会的非難に遭いやすい「公職」に就いている人たちは、確かに恐喝のターゲットにされる怖れがあります。
対処法が難しいですね~。
誰か暴露被害者が出れば、犯人は「要求に応じなければ○○のようになる。(実は違っていても)あれは俺の仕業だ」と脅すでしょうから、毅然たる態度がとりにくい。
かといって、一度要求に屈するととことん搾り取ろうとするのが恐喝犯の常道です。
まあ、公職を捨てればいいのでしょうが、命がけで地位を守りたいのが公職者の性(さが)ですし・・・。
警察もバカじゃないので、自殺する前にしっかり相談することをお勧めします。

詐欺や恐喝の摘発のために、被害対策担当の警察官やわれわれ弁護士等が個人名でどんどん登録することが有効でしょう。
「犯人さん、いらっしゃい」ですね(*^_^*)』




われわれ弁護士等が個人名でどんどん登録することが有効。

この発想はなかったです。

登録者に対して詐欺犯や恐喝犯がアクセスしてくる。
しかし、それは摘発のために登録していたワナ。
振り込め詐欺で使われている、だまされたふり作戦と同じです。
おどされたふり作戦。

ワナが増えれば増えるほど、犯人は動きにくくなりますね。

不貞はよろしくありませんが、自殺するほどの問題かよ、と思いますので、こんな二次被害は避けたいところ。

今から登録したところで、犯人がアクセスできる環境下に置かれるのかよくわかりませんが、日本での被害多発を回避するためにも、警察や弁護士の方々は身を挺して登録してみましょう!


というわけで、万一、不倫サイトから、私の情報が出てきたとしても、ええ、社会正義のために登録したものですので、誤解なさらぬように!!

「ちょっと、アンタ、不倫サイトに登録してるでしょ!」とパートナーから責められた際には、
「あれ、知らないのかい?いま、弁護士や警察では、詐欺や恐喝対策のために、実名で登録する動きがあるんだ。僕も日本での被害を発生させないために、囮として登録しているだけだよ。あ、この話は内密にね」と主張できますね。

バラされても怖くない状態に持っていけば、詐欺や恐喝にはひっかかりません。

やましさをなくすのが、最高の対策。


最後に、このサイトの中の女性はほぼ偽物という報道もされました。
http://news.livedoor.com/article/detail/10520347/

「不倫サイトに登録してるでしょ!」と責められたら、
「あれはいくら頑張っても不倫できないサクラサイトなんだよ」と切り返すのも一つの方法です。

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2015/08/29(Sat) | news | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
不倫サイト情報流出問題
弁護士石井琢磨です。

世界で展開しているアシュレイマディソンという出会い系サイトで個人情報流出の報道がされていました。
不倫SNSなどと言われるサイトです。

ハッカーが「サイトを閉鎖しないと個人情報をオープンにする」旨、警告したと報道されています。


このサイトの利用規約によると、情報を完全に消してもらうオプションがあるようです。

「ユーザーは、基本的な解約とは別として提供されている「プロファイル完全削除」オプションを選択することもできます。この機能は、サービスに既存するアカ ウントおよび送受信されたすべてのメッセージ(通常、回収、優先メッセージ)、ウィンクス、ギフト、アップロードしたすべての写真、サイトの利用履歴、そ の他の個人を特定可能な情報を削除します。」

ハッカーの主張では、これを利用した人の情報も完全に削除されていないとのこと。
サイト側はこれを否定している、というようです。

有償で情報を消すと言いつつ、残していたら大問題ですからね。



日本人の利用については
不倫サイトから個人情報流出 日本の会員は180万人
http://www.asahi.com/articles/ASH7Q2F17H7QUHBI00B.html
なんて、報道されています。

180万人もいるのですね。

これだけの人数がいると、情報が極秘なだけに、関連する架空請求とか詐欺とか出てきそうです。

「あなたの情報だけは開示しないであげるよ。byハッカー」
なんて通知を、属性しぼって何千万人かにすれば、かなりの確率で利用者に当たりそうです。

詐欺業者以外に、世の中の奥様たちが、食後に一杯飲んでいるときに「アシュレイマディソン」
なんて、つぶやき、あなたの反応を見てくるかもしれませんね。

利用したことがあるみなさまは、情報の真偽に注意しましょう。


ホントに全員の情報がオープンにされたら、日本中で不貞慰謝料訴訟が頻発、統計上は減少傾向にあった民事訴訟件数が一気に増えるかもしれませんね。
不幸な家庭が増えることは明らかなので、個人的にはオープンにされないことを願っています。

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2015/07/30(Thu) | news | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
神奈川県弁護士会への名称変更
弁護士石井琢磨です。

私の周囲では盛り上がっている人もいるようですが、
私たち神奈川県の弁護士が所属する弁護士会の名前が変わることになりました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015052602000113.html

昨日の総会で決まりました。

神奈川には弁護士会は一つしかありません。

この名前が
横浜弁護士会
から
神奈川県弁護士会
という名前に来年4月から変わります。

過去にもこの問題には触れています。
※ 参考記事 モテたいから「横浜」弁護士会なのだという見解
http://sagamigawa.blog73.fc2.com/blog-entry-634.html

これを変えようという議論は4回目。
過去には夜遅くまで議論していたようですが、昨日の総会は覚悟していたより相当あっさり決まったとのことです(出席者談)。

これ、変えないと、また数年後には議論が出て、いつまでも終わらないので、スッキリして良かったです。
県民のみなさんにも分かりやすくなったでしょう。

うちの支部も、
横浜弁護士会県西支部から
神奈川県弁護士会県西支部
になるわけで、ようやく論理的に意味が分かる名前になりました。

私の尊敬する山本安志先生のブログでは、小田原支部と書かれちゃったりしてますが、たしか、名前が変わって何年も経っているはずです。まあ、どっちでもいいんですけどね。
http://blog.livedoor.jp/bengoshiya/archives/68378979.html

この会名問題、1960年代から議論していたと報道されています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015052602000113.html

税理士の友人と飲むたびに「弁護士会って意外にヒマだよね」とバカにされていましたが、このやりとりにも終止符を打てそうです。



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2015/05/26(Tue) | news | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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