ニコニコクレジットの過払い金
弁護士の石井です。

民事再生の手続中である、貸金業者・丸和商事株式会社(ニコニコクレジット)から、債権届出の連絡が来ました。
提出期限は、6月30日となっています。

うちの事務所で依頼を受けている方の利息制限法計算をチェックしましたが、適正な計算となっていました。

丸和商事からの通知に記載されていた計算方法についての説明書において
取引の分断がある場合には、

分断期間が1年以上かどうか
取引再開時に契約書を新しく作成しているかどうか

で、一連計算をするかどうかを決めているようです。

うちの事務所に届いた計算書では、取引が分断している方がいなかったため、金額を修正する必要がある方はいませんでした。




2011/05/30(Mon) | 過払い | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
貸金業者からの提案に注意

最近、過払い金の相談が増えています。



武富士が会社更生手続をとったから増えたということもあるのですが、問題は、相談者が来るルート。



一部の消費者金融では、見かけ上の借金がある一方で、グレーゾーン金利の再計算をすると過払い状態になっているお客さんに対して、

「いまある借金はなくすから、それで解決しない?」

という提案を持ちかけているそう。



要は、「過払い金請求しないなら、これで終わりにするよ」という提案。



どうしてこんな提案がされるのでしょうか。



新聞報道がされたり、一部の法律事務所や司法書士が過剰に宣伝したからか、過払い金という言葉は、かなりの割合の多重債務者に知られています。

業者からの提案を受けた利用者は、

「そんな提案が来るってことは、実は過払いなんですよね?」と切り返す。



業者は、正直に「そうです」というケースもあれば、「それは何とも言えません」と濁すケースもあります。



いずれにせよ、過払い金は返してもらえないらしい。

お互いにもう請求しない、という内容の和解。

これを俗にゼロ和解と言います。



ということで、弁護士に相談に来るという話。



消費者金融がこのような方法を取っているということは、おそらく、提案を受けた多重債務者の多くがゼロ和解に応じているのではないでしょうか。



過払いの話を知らないでゼロ和解に応じている人もいるのでしょう。



この構造・・・



とりあえずたくさんの債務者に提案しておけば、何人かは応じてくれる、そうすれば一部の債務者は弁護士の所に行って、徹底的に請求されるとしても利益がでる、と考えているように見えます。



この構造って、

とりあえず何人もに請求しておけば、何件か引っかかるんじゃない?

という架空請求のそれに似ています。



あー、やるせない。

納得したうえで応じているなら良いのですが、「無知に乗じて」だとしたら気が滅入ります。


なお、このような提案を受けてゼロ和解をしたとしても後に争える可能性は十分にあります。







ランキング参加中です→人気blogランキングへ







2010/11/14(Sun) | 過払い | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
『Q&A過払金返還請求の手引 第4版』
『Q&A過払金返還請求の手引 第4版』を買いました。

Q&A過払金返還の請求の手引―サラ金からの簡易・迅速な回収をめざして
Q&A過払金返還の請求の手引―サラ金からの簡易・迅速な回収をめざして



定価4100円(税別)とお高めですが、裁判例が入ったCDも付いていますので、こちらを目当てに買ったものです。

消費者に有利な裁判例は、各種ルートから集めていますが、どうしても漏れてしまいます。
そういった裁判例をフォローしてくれるものとして書籍はまだまだ重要です。


すでに第4版となっているこのシリーズですが、前回の第3版からの変更部分を見ると、時代の流れを感じます。
法律的な話では、新しい判例も出ていたりするので、その部分の変更はあります。

しかし、驚いたのが2箇所
「危険な大量宣伝事務所-悪質事務所の見分け方」
「過払金の徹底回収-差押えと動産執行」
という部分です。


「危険な大量宣伝事務所-悪質事務所の見分け方」

一部の事務所の過払金回収の処理が問題視されたため、日弁連では債務整理事件処理に関する指針というものを出しました。これを反映した【悪質事務所の見分け方】チェックリストが載っています。

このシリーズは、一部マニアックな理論も展開されています。章ごとに「本人」向けというような読者対象の記載はあるのですが、どちらかというと専門家向けなのだろうと感じています。お値段も含めて。

そういう本に、チェックリストを載せた趣旨には、一般の方が悪質事務所に引っかからないためという趣旨のほかに、このチェックリストに当てはまる事務所は早急に軌道修正せよ、というメッセージも含まれているのではないかと感じます。



「過払金の徹底回収-差押えと動産執行」

過払金に限らず、裁判を起こして請求が認められると判決が言い渡されます。
ところが、相手がこれに従わない場合もあります。その場合には、財産を差し押さえる強制執行手続をするしかありません。
今回の第4版では、この部分が加筆されました。
加筆されたということは、ニーズがあるということ。

つまり、裁判所が過払金を払いなさい、という判決を出しても、払ってこない業者が増えているということですね。だから差し押さえる必要があるということです。

うちでも差押えは何件もやっていますが、銀行預金口座に残高がなかったり、差押えが何件も競合しているということもあります。

差し押さえても回収できない場合、民事執行法上は「財産開示」という手続があります。
他の財産を開示せよ、と裁判所が命じる手続です。
うちの事務所でも、某貸金業者にこの手続をしてみましたが、無視されてしまいました。
ただ、事件に多少の進展はあったので、まったく効果がないわけではない、という程度の意味はあるかもしれません。
その他にも色々と試してみています。


このように、一部の業者に対しては、過払金が認められるかどうか、ではなく、回収できるかどうか、が重要になってきています。
実際に民事再生手続をとった業者も出てきています。
一部の弁護団や事務所では、過払金を返さない業者に対して債権者として破産申立をするという方法までとられているようです。


何年後かに出されるかもしれない第5版では、「徹底回収-返還できない業者の破産申立」や「業者が倒産した場合の債権届出の書き方」などの項目が追記されるかもしれませんね。その際、「危険な大量宣伝事務所-悪質事務所の見分け方」の項目は、必要性がなくなり、削除されていれば良いと願います。

ランキング参加中です→人気blogランキングへ



ツイッターやっています。http://twitter.com/takuma141


2010/06/11(Fri) | 過払い | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
最高裁平成22年4月20日判決
平成22年4月20日、利息制限法の計算方法についての最高裁判決が出されました





利息制限法という法律で、お金を貸したときの利率の上限は次のとおり決められています。



 元本10万未満→年20%

 元本10万以上100万未満→年18%

 元本100万以上→年15%



一度だけお金を貸したというケースでは、貸した金額が元本ということでわかりやすいのですが、貸し借りが継続していると、そもそも元本ってなに?という問題が出てきていました。



サラ金、消費者金融、クレジットカードのキャッシングでは、最初に契約を結んだあと、カードを使うなどして、続けて借りたり返したりできてしまいます。

上記の利息制限法で決められた利率を超えた高い利率設定がされている場合、弁護士などが入って整理すると、グレーゾーン金利の精算をおこなうことになります。



そのなかで、取引によっては、業者が設定した利率をもとにした計算で、途中から元金が100万円を超える場合があります。


100422-1










この取引を利息制限法で計算し直す場合、当初は元本20万円のため18パーセントで計算をしなおします。

その後、業者の設定利率では100万円を超えるのですが、18パーセントで計算をしなおすと元金が100万円を超えていません。

この場合に、業者の設定利率による計算をもとに、途中から100万円を超えた契約として年15パーセントで計算できるかどうかが争われていました。

100422-2



100422-3















途中から年15パーセントで計算できた方が消費者にとっては有利。

実際に、このような計算を認めた裁判例や、もっと進めて限度額を基準にして利率を決める裁判例もあり、うちの事務所でもこのような内容の判決をとっていたのですが、今回の最高裁判決はこれを否定。

全部18パーセントで計算しなさいよ、という判断です。

残念ですね。



最近では、利息制限法のことを何となく調べて来所される方がいて、「100万円以上なら15パーセントなんですよね?」と聞かれることもあります。

これに対しては、計算してみないとわからない、という回答になってしまいますね。

見かけ上は100万円以上の借金があっても、計算してみたら1度も100万円以上にならないということが出てくるわけです。


最高裁判決での該当部分です。
「従前の借入金残元本の額は,有効に存在する利息の約定を前提に算定すべきことは明らかであって,弁済金のうち制限超過部分があるときは,これを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算することになる。

そして,上記取引の過程で,ある借入れがされたことによって従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における上限額を超えることになったとき,すなわち,上記の合計額が10万円未満から10万円以上に,あるいは100万円未満から100万円以上に増加したときは,上記取引に適用される制限利率が変更され,新たな制限を超える利息の約定が無効となるが,ある借入れの時点で上記の合計額が同項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても,いったん無効となった利息の約定が有効になることはなく,上記取引に適用される制限利率が変更されることはない。」







ランキング参加中です→人気blogランキングへ



ツイッターやっています。http://twitter.com/takuma141



2010/04/25(Sun) | 過払い | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
検証過払い
貸金業者側からの過払い金について述べた書籍。

検証過払い―多重債務問題の解決にならない過払金返還請求の実態




過払いは容認できない」との意見を述べた本です。

この本でも、一時期テレビのコメントでもされていた主張は、

過払いというのは、かつて法律で有効だったものが遡って無効になるのでおかしいというもの。

これに対する消費者側の意見としては、利息制限法という強行法規があって、例外的に厳しい要件を満たした場合に限り有効となる規定があるに過ぎないというもの。





遅くても私が弁護士になった平成13年以降、多重債務問題の現場では、当然に利息制限法の適用を前提にした処理が進められていました。

任意整理では、貸金業者側も当然のように利息制限法が適用されることを前提にしていました(商工ローン以外)。また、自己破産や個人再生を申し立てる場合にも、利息制限法にしたがって計算をおこなって、負債額を出して、破産や再生をしなければならない状態なのか検討をしていました。過払い金があれば、その回収をしたうえで処理を進めていました。今と変わらない。あえて変わった点があるすれば、過払い利息の有無、利率くらい。



弁護士の現場では、利息制限法を上回る利息が有効だったなどとは全く感じていません。それにもかかわらず、有効だったものが平成18年最高裁判決によって遡って無効になるのはおかしいという主張をされても、まったく納得できないのです。



もちろん、弁護士に辿り着けなかった人は、利息制限法の主張ができず、高い利息を払っていた事実はあります。

しかし、貸金業者さんも弁護士が入った場合には、上記のような対応をしていたはず。

弁護士が関与する人が増えれば、今のような事態になることは十分予想できたはずではないでしょうか。





この本では、利息制限法の話のほか、過払いを容認できない理由として、専門家の脱税など、一部の問題行為を指摘しています。

そりゃぁ、一部の専門家が、過払い金事件の売上を意図的に除外して脱税していた話などあってはならない話ですが、これは過払いに限ったことではありません。



本では、専門家の費用の不透明さについての指摘もありますが、いまどき、費用を明示しないで事件処理を進める弁護士事務所があるのでしょうか。

日本司法書士連合会では、ようやく報酬を明示するよう定めた指針を作成したようです。

一部の問題ある専門家によって、全うに過払い事件の処理をしている専門家の存在が疑問視されるとしたら、残念です。

近時の最高裁判決は、多重債務問題を解決したい、自殺者を減らしたいなどの目的を持って長期間活動し続けた先輩方によって勝ち取られたものと感じています。

過払い金によって多重債務問題が解決した人もたくさんいるのです。

専門家の問題行為を理由にするなら、専門家に頼まなくても過払い金を返すような対応を取れば良いのです。そうすれば問題は一挙に解決するのに。



本の主張が全ておかしいということではなく、

「基本的な家計管理の能力を高めることと、必要があって借入を行う場合でも適切なサービスを選択できる能力を身につけることが主眼となる。」

など、賛成できる部分もあります。



大事なのは、多重債務問題を解決するために、どういう世の中を作っていきたいのか、しっかり考えながら仕事をすること。



ランキング参加中です→人気blogランキングへ



2010/01/22(Fri) | 過払い | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
 ホームに戻る  次のページ