最近、人狼ゲームに夢中です。
何人も集まって嘘つきを見抜くゲームです。

ルールを単純化すると、
10人程度集まって、ランダムに狼役を2,3人決め、その人たちが「自分は狼ではない」と嘘をつきます。
嘘がばれなければ狼役の勝ち、嘘を見抜けば人間役の勝ち。
この基本に色々なオプションがついていく、という感じです。
詳しいルールはウィキペディアでもみてください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9D%E3%81%AF%E4%BA%BA%E7%8B%BC%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%82%84%3F
人狼という名前だけは1年くらい前に聞いたことがあったのですが、まあ、ルールを聞いても、「何だそりゃ」と流しちゃいますよね。
私も、ふーん、って聞き流していました。
が、半年ほど前に、偶然、この人狼の動画を観て、「何これ、面白い」と夢中に。
今年に入り、実際にプレイしてみて、ますます抜けられない状態になっています。
何がおもしろいのか
狼の嘘をどう見抜くか、というのが、しぐさや表情などの直感型から、会話の矛盾、不自然性を探る論理型まで総合しないといけないんですね。
狼役と人間役の主張が対立するシーンが出てくるので、どちらの言い分を信用すると、どういう論理になるのか。これを決められた短時間で考えなければいけないのです。
脳にすごい刺激になります。
狼役ではないときは、嘘を見抜くために脳をフル回転しますし、狼役になったときはどう罠を仕掛けて騙すかを瞬間的に考えます。
裁判の証人尋問で、罠を仕掛けたり、矛盾を追及したりするのに似ているんですね。
きっと、弁護士には、はまるタイプが多い気がします。
Youtubeなどで動画検索すると、将棋の棋士の方や囲碁の方が人狼ゲームをプレイしているものをよく見かけます。
論理的に何パターンかに分岐する、それを脳内でシミュレーションしている人は、はまりやすいんでしょうね。
文字での説明をいくら聞いても魅力は感じないと思いますので、気になった人は動画を見てしまった方が良いと思います。
嘘の見抜き方
嘘を見抜くゲームということで、一つその話を。
私も仕事柄、嘘の見抜き方とか、表情・仕草から嘘を見抜くとか、心理学的な話など学んでいます。
しかし、書籍などでは、結局、誰にでも共通する嘘の見抜き方というのは存在しない、という考え方にたどり着く人が多いです。
私もそう。
目の向きが斜め右上だったらどう、とかいう話もありますが、観察してみるとそうでない人もいます。
また、嘘をついて騙してくる人が、これらの情報を持って、対策してくると見破りにくくなります。
そのため、嘘の見抜き方、という類の話は、確率的に高いよね、というレベルで捉えるべきです。
それよりも、重視すべきは、変化です。
人それぞれに嘘をつくときの癖があったりするので、その変化をチェックした方が良いです。
人狼をやっていても、
「この人、さっきと違うわ」
「なぜ、このゲームだけ、こんなに物を食べているのか」
「なぜ、今回は、手が震えているのか」
というような変化に着目すると、より当たりやすいです。
妻の嘘より夫の嘘がバレやすいというのは、女性の方が観察力があり、変化に気づきやすいからでしょう。
メンタリストのDaigoさんが人狼ゲームをしている動画を観ましたが、めちゃくちゃ強かったです。
そもそも会話が始まる前に、誰が怪しいか当ててしまうのですね。
強すぎてゲームバランスがおかしくなります。

彼のパフォーマンスを生で見たことがあります。
相手が何色のペンを引いたのか、見ないで当てるというものです。
なぜ当てられるのか観察したところ、Daigoさんが相手に質問を投げかけ、その表情の変化を見て当てるというものだったと推測しました。
私が参加したある人狼ゲームの回では、主催者のお子さん(9歳)が参加していました。
まあ、子どもなので、スマホゲームとかやりながら、中途半端に参加しているわけですよ。
大人同士の嘘を見抜く会話には参加してこない。テキトーな感じで参加していたのです。

しかし、たまたま、私が狼のカードを引いたときです。狼役は3人いたのですが、会話が始まった数秒後、
その子どもが、
「あー、イシイ、怪しいな。狼だろ」
「あと、狼は、○○さんと、うーん、○○さんっぽいな」
と発言。
3人とも的中だったのです。
もう、狼3人、汗ダクダクです。
なぜ、3人とも瞬時に当てられたのかというと、
「あのゲームだけ、それまでと違った」
とのこと。
こっちはバレないように、自然に振る舞っていたつもりだったのですが、一瞬で見破られました。
目つきとかが変化してしまったのでしょう。
嘘は、変化で見抜く。
この力は、裁判で大いに役立つものです。
人狼ゲームでその力を磨いていきます。
決して遊んでばかりいるわけじゃないですよ。
もし、お近くで人狼やってる、やりたい人がいたら、気軽に声かけてくださーい。
そういえば、うちの事務所の相談室(大)を使えば、10人くらいは入れるな・・・
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弁護士石井琢磨twitter
突然、父から質問されました。
「ツムツムって、どうやったら高い点が取れるんだ?」
ツムツムとは、LINEとつながったスマホのゲーム。

今の父の悩みはそんなものらしい。
昨年、父が4か月弱の間、入院していた話は、本にも、

STORYS.JPにも書きました。
STORYS.JP
http://storys.jp/story/14092
本の中の記載は、こちらのブログで紹介されています。
『WHAT IS SOCIAL WORK? 』
http://wish0517.blogspot.jp/2015/01/55.html
その入院中に、iPad miniを差し入れました。

入院中はリハビリ以外の時間がヒマだということで、弟が家にあるマンガやライトノベルをせっせと運んで差し入れていました。
その弟から「お父さん、読む本がなくて困ってるらしい」と相談されたので、改めて自分の本棚を見てみました。
差し入れる本、あるかな?
『影響力の武器』
![影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51pgx0tWooL._SL160_.jpg)
うん、入院中でも挫折しそうな厚さ。
『オタクの息子に悩んでます』

いま、他人の悩みを聞ける状態じゃない。
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』

看護師相手にプレゼンしますかー
『今日が「最後の1日」だとしたら、今の仕事で良かったですか?』

今日が最後の1日・・・って、縁起でもねえ
というわけで、自分の本棚には、入院中の親に差し入れる本がないことに気づきました。
私もマンガや小説を読むけど、すぐに裁断・スキャンしてしまうので本棚に残りません。
どうしようかと本棚を見ていくと、端に刺さっている白いものを発見。
そう、買ってみたものの、イマイチ、使いこなせていないiPad mini。
これを貸してみました。
父は、タブレットやスマホはおろか、携帯電話も使っていないアナログ人間でしたが、iPad miniをあっさりと使いこなしました。すごいなアップル。
中には、前向きになりそうな本やマンガを入れておいたのですが、
『海賊と呼ばれた男』

なんか読んでいたようです。
そして、退院で荷物を整理していたところ、父がiPad miniを胸に抱えて、
「これ、返さなきゃダメだよね・・・」
と涙目で訴えてきたので、いまだに父の元にあります。
返還請求しても時効を主張されそうです。
そのiPad miniにLINEを入れて、家族でやりとりを始めたのですが、
いつの間にか、ツムツムで孫と競い合っていたようです。
父は、弟と高得点を取れる方法を話し合ったようですが、孫に勝てないため、
「ツムツムって、どうやったら高い点が取れるんだ?」
と私に聞いてきたもよう。
まあ、平和そうで良かったです。
このゲーム、LINE上の友人のデータを取り出して、勝手にランキングに載せるようです。
いつの間にかLINEの友人と競争させられるという。
どうやったら高い点が取れるのか、私もやってみましたが、無料で始められるスマホゲームにありがちな構造です。
ディズニーのキャラクターを3つつなげて消すという単純なパズルゲームを装っています。
しかし、レベル制(時間をかけるほど得点が上がる)。
何ゲームも続けると、コインが貯まり、新しいキャラクターをもらえます(コレクション願望)。
ただ、そのキャラクターは選べない。ランダム(ガチャってやつ?)。
つまり、ひたすら時間をかけ、レベル上げとランダムに出る強いキャラを願うのが、高得点の秘訣という・・・。
しかし、そこには抜け道がありました。
コインは、ゲームを続けて貯めるほかに、「円」で買えるのであります。
現実世界の通貨「円」をもって、ゲーム内のコインを買えるのです(厳密には、円でルビーを買って、ルビーでコインを買うという、お金を使っている感を巧妙に消しているようであります)。
ミクシィのモンスターストライクなんかも、同じ構造ですね。
という話を、父に伝えたところ、「円」で買うという選択肢はないらしく、ひたすら時間をかけてレベルを上げているようです。
父は、別にゲーム好きではなく、私が小さい頃も、95%のゲームには興味を全く示さないのですが、残る5%のゲームには夢中になります。
深夜にマリオブラザーズを夫婦でひたすらプレイしていたのを目撃したときは衝撃でした。
その後も、
Wiiスポーツのテニスにはまり、家庭内でリモコンを吹っ飛ばしたり、腕を振りすぎて周囲の人間にぶつかりDV疑惑を持たれたり、
Wii Sports

Wiiの釣りゲームで腱鞘炎を患ったり、
ファミリーフィッシング (ソフト単品版)

入院中も、iPadminiに入っていた花札のゲームをやり続け、3週間で820回もやっていたようです。

私は、820÷20・・・1日40回?
割り算を間違えたかと不安になったものです。
今回のツムツムも、同じようにはまりそうな印象です。
さすがに、オレオレ詐欺には引っかからないだろうと思いますが、「ツムツム攻略詐欺」が来たら引っかかりそうで怖いです。
先日、ある多重債務者の家計状況を見る機会がありました。
食費 月2万円
返済が大変で、食費を抑えているのですね。うんうん。
電話代 月6万円
「ちょ・・・、一人暮らしですよね?営業で電話使ってるとかではないですよね?この金額の内訳は一体?」
「普通の電話代の他に、スマホゲーム代が入ってます」
こういう人が、何人かいます。
コロプラ貧乏なんて言っているサラリーマンもいました。
食費を削ってまで、ゲーム代を捻出している人が結構いるのでしょうか。
「先生、ほら、時間を金で買えって言うじゃないですか」
そうですね、色々なビジネス書に書いてありますね。
「お金と時間、どちらが大切か」という質問を受けて、あなたは何と答えますか。私は圧倒的に「時間」と答えます。
『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』より

「経営者や弁護士は、「時間をお金で買う」という発想をする。時間を有意義に使うため、ムダな時間を過ごすくらいならお金を出すという発想である。電車移動であれば特急料金を払って、その中で仕事をする。バスよりタクシーに乗って、そこで電話をかける、というような発想だ。」
『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』より
うんうん、ゲームでレベル上げたりする時間は無駄だから、お金で買っちゃった方がいいよね?
で、その浮いた時間で、何するか?
「もっとゲームする。」
そうかー、そのゲームで、またお金を使って・・・
エンドレスで金がなくなるじゃないですか。
「時間を金で買え」の使い方、間違ってるから。
みなさま、名言の誤読には気をつけてください。
あと、ツムツム攻略法詐欺にもお気をつけください。
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あけましておめでとうございます。

年末年始は、元旦のみ完全に休んで、あとの日は多少は事務所に出ていました。
別に忙しい自慢をしたい訳ではなく、自分の休みをカレンダーに決められたくない、という自己都合です。
パフォーマンスが上がってきたときにカレンダーに「休め」と言われても、従うのは癪です。
あえて人混みに行って消耗するのもよろしくないですしね。
というわけで、今年は世間に左右されず、パフォーマンス重視で行きます。
そういえば、今年はモチベーションが上がらなかったので年賀状を1枚も出していません。
事務所や石井宛に年賀状を出したのに返ってこないとチェックしている方。ご安心を。
あなただけに返していないのではなく、誰にも出してないから。
さて、正月には法律相談の希望者もいないので、自由な時間が増えます。
なので、気楽にマンガを読むことが多いです。
今年は、マンガHONZで気になっていた『レッド』という作品を読みました。
http://honz.jp/articles/-/40521
レッド(1)

連合赤軍をモデルとしたマンガです(現在も連載中)。
あさま山荘事件など単発で映画を観たりしてはいたものの、事件として詳しくチェックしたことがなかったので、この機会に知っておこうと軽く読み始めましたが、重い重い。
政治的な話を除いて単純化すれば、若者がグループを作って、内部でリンチや処刑をして仲間を何人も殺害するという話。
集団が間違った方向に暴走する姿が生々しく描かれています。
1巻から、登場人物には番号が振られ(死ぬ順)、毎回、この人物が「死ぬまで何日」と書かれていたり、「逮捕されるまで何日」と書かれているマンガです。
正月といっても、これっぽっちも、おめでたくない気持ちで過ごせました。

たしか昨年の正月は『デビルマン』を読んでいた気がします。
デビルマン (完全復刻版) 全5巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]
![デビルマン (完全復刻版) 全5巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61ytCPdNPeL._SL160_.jpg)
適当に選んでいるのですが、世間がめでたがっているときに、本能的に逆を突いてしまうみたいね、私。
みんなの意見は案外正しい

ですが、みんなと同じ方を見ていると、全体が暴走したときに逃れられないリスクがあります。
周りと違う道を行く勇気も必要なのですよ。
「他人に合わせすぎて辛い」と感じている人は、ぜひ正月に読んでみてください。
ちなみに、そういう人向けの本を、たぶん1月に出す予定です。
今年もよろしくお願い致します。
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SNSでの不適切投稿が続いていますね。
アイスケースの中に寝たり、食材をくわえたり、
みたいなアレです。
最近は、研修医が酸素マスクを付けて意識を失ったという画像が話題になっていました。
中には、店舗閉鎖、損害賠償請求の検討、と報道されたケースもありました。
みなさんは、やはり「最近の若者は・・・」とか「不快だ」と思うのでしょうか。
個人的には、世間って厳しい、という感想です。
確信犯はともかく、多くは、評価を求めての行為。
それがずれてしまったという過失に近いものなんですよね。
おもしろい投稿をすれば、いいね!やリツイートで評価されまくる時代です。
いいね!の数、PV数が、戦闘力になっています。

つい、これを求めてしまうものです。
マカンコウサッポウの画像を撮ったり、
子どもの寝相アート
http://matome.naver.jp/odai/2134141177569551101
と根っこにある感情は同じでしょう。
この感情表現が、場合によって、不適切とされてしまうのです。
今の若者がどうという話ではなく、これって、自分たちの若い頃もあった話のような気がします。
大学時代に、グランドキャニオンに行った際に、崖から落ちそうな写真を撮ってもらいました。
今なら、迷わずSNSにアップしていたと思いますが、自分の知らないところで、崖から転落した人のニュースが流れていれば、不適切だとして炎上してしまう可能性が高いです。
女性から「こんなサービスがあるんだよ、すごくない?」と言われて、
「何の会社が始めたの?競合は?ターゲットは?」と
ビジネスモデルジェネレーション的な分析を始めてしまうより、
「すごいね」「そうだね」と紋切り型で対応しておいた方がモテ度は上がるらしいです。
私など、一時期、「とりあえず『そうだね』と言う」と目標を紙に書いてデスクに貼り付けておいたこともあります。
そう、人は同意・評価してもらいたいのです。
これは、最近に始まったことではないようです。
アダム・スミスは、
人間が他人から関心をもたれること、同感されることを望む存在だということでもある。社会は、このような人間が言葉や表情や行為を用いて互いに同感し合う場である。
と言っています。
アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)

人は、昔から「いいね!」と反応を求めてしまうものだったのです。
そういう意味で、これを簡単に可視化したフェイスブックやツイッターはすごいです。
アダム・スミスによれば、人間は、このような反応から、自分の中に、基準を持つようになるということです。
一般的諸規則は、他人との交際によって、そして非難への恐怖と称賛への願望という感情によって形成されるといえる。
いったん一般的諸規則の具体的な内容が確立されれば、私たちは、ある行為に対して、それが一般的諸規則に適合(または違反)しているか否かに応じて、称賛(または非難)に値するか否かを判断する
私たちは、一般的諸規則に反する行為をすれば、たとえそれが世間から非難されなくても、胸中の公平な観察者の非難を受けることになる。この場合、私たちは平静な心を保てないであろう。
行動が正しいかどうかの基準は、最初からあるものではないのです。
他人との交際によって作られるもの。
交際経験が乏しい場合、この基準が確立されておらず、不適切と評価される行動をしちゃうのではないでしょうか。
地雷を踏んでしまうのです。
このような行為自体は、研修等でも規制できるのかもしれません。
ただ、「これ、おもしろくない?」という感情が、良いものを生み出している例も多数あるでしょう。
規制しすぎて、感情まで抑えてしまう社会はなんだか楽しくなさそうです。
何が不適切かは、状況によって違います。
しかし、他人の権利を害する行為は、どんな状況でも評価されにくいです。
研修、指導の際には、他人の権利という視点で考えてもらうようにし、あとは、失敗は失敗ということで認識してもらい、基準に反映させ、それ以上の過剰反応を控えたほうが住みやすい社会になりそうな気がします。
過剰反応社会が行きすぎると、これを悪用されるリスクが出てくるとも思います。
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先日のiPhone5カメラ修理のため、初めて銀座のアップルストアに行ってきました。
私の行き先は、4階。
エレベーターに乗り込むと、変なのです。

ボタンがない。
閉めるボタンも、各階のボタンもありません。
固まっていると、エレベーターのドアが閉まります。
2階へ移動すると、ドアが開く。誰も乗ってこない。降りない。
そのままドアが閉まり、3階へ。ドアが開く。誰も乗ってこない。降りない。
どうやら、全階にとまるエレベーターなのです。
iPodやiPhoneが、ボタンをなくして成功したことは有名ですが、この会社、エレベーターからもボタンを取ってしまったようです。
各階にとまるため、階段よりも遅いスピードで、正直、イライラします。
時間がもったいないではないか。
ここで気づきました。
私たちは、普段から、時間をコントロールしようとしています。
エレベーターで他に乗り込む人がいなければ、さっさと閉めるボタンを押す。
行き先の階ボタンだけを押し、他はスルーする。
そして時間を取得する。
エレベーターだけではなく、エスカレーターでも同じです。
右側が空いていれば、歩いて進んでしまう。
少しでも時間を得ようと考えて行動してしまいます。
そして、いつしか、時間を短縮する権利があると思い込んでしまいます。
さっさと行く権利があると。
この権利は、ときに、他人の権利とぶつかり合います。
閉めるボタンを押すことで、エレベーターに駆け込もうとしていた人が乗れなくなる。
エスカレーターを歩くことで、立って乗っている人にぶつかったり、驚かせたりする。
他人の権利とぶつかり過ぎると、権利だと思っていたものは消えることもあります。
この夏、JRでは、エスカレーターでは歩くな、という放送を流し始めました。
私の友人が、スペイン旅行後に興奮して語っていました。
「スペインのエレベーターって、閉めるボタンがないんだぜ!
そんなの急ぐなって、ラテンだよ、ラテン!
エレベーターを慌てて閉めるなんて、慌ただしい日本だけなんだよ。」
きっとスペインには、ゆったりと移動する権利があるのです。
自分が勝手に権利だと考えているもの、それは他人の権利とぶつかり合っていないだろうか。
ぶつかり過ぎると、消えてしまうかもしれません。
全階に止まるエレベーターのスピードがあまりにも遅いので、こんなことを考えていました。
当たり前だと思っていた幸せは、奪われて初めてその価値に気づくのかもしれません。
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